「マブラブ オルタネイティブ」はなぜ不朽の名作なのか? 絶望を描き切った名作が、今日まで愛され続ける理由

レビュー
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こんにちは。ヤマザキです。

今回は、『マブラブオルタネイティブ』のクリア後の評価・感想・レビューになります。

この記事では、衝撃的な世界観と壮絶な物語で多くのプレイヤーを魅了した本作の良いところや気になったところなど、率直なレビューをお届けします。
気になる方は購入の参考にしてみてください。

この記事はこんな人におすすめ
  • 壮大なSF戦争物語や、絶望的な状況に立ち向かう物語が好きな方
  • 深く練り込まれた世界観と設定に没頭したい方
  • テキストアドベンチャーゲームの最高峰を体験したい方
  • 感動と衝撃で心揺さぶられる作品を求めている方

※本記事では致命的なネタバレは含まないように注意していますが、どうしても最低限のネタバレが含まれます。

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はじめに

『マブラブ オルタネイティブ』は、2006年に発売されたテキストアドベンチャーゲームです。その前作『マブラブ』から続く壮大なSF戦争物語の完結編になります。日常を描いたギャルゲーパートから一転、突如として人類存亡をかけた壮絶な戦場へと巻き込まれていくという衝撃的な展開で、発売以来、多くのファンに語られ続ける名作とされています。

今回、その歴史的な傑作『マブラブ オルタネイティブ』をクリアまでプレイしましたが、結論から言えば、「人類の絶望と希望、そして個人の尊厳を描き切った、テキストアドベンチャーの最高到達点」といえる作品でした。

ギャルゲーというジャンルのゲームでありながら、しかしその内には想像を絶するシリアスなSF戦争が秘められており、緻密な世界観、壮絶な戦闘描写、そして心をえぐられるような人間ドラマが凝縮されています。本作がなぜこれほどまでに多くのプレイヤーに語り継がれているのか、その理由を深く理解することができました。

今回は、そんな『マブラブ オルタネイティブ』の魅力や気になったところを、詳しく見ていきましょう。

『マブラブ』について(※オルタネイティブを最大限に楽しむために)

本作『マブラブ オルタネイティブ』について語る前に、その前提となる知識を説明しておきましょう。

まず、本作は『マブラブ』という作品の続編にあたるタイトルです。2003年に『マブラブ』が発売され、その続編である『オルタネイティブ』が2006年に発売されました。元々は一つの作品として構想されており、マブラブ』の前提知識がないと『オルタネイティブ』の内容を深く理解することが難しいため、ここで簡単にご説明します。

『マブラブ』は「エクストラ編」と「アンリミテッド編」の二部構成となっており、エクストラ編、そしてアンリミテッド編の順にプレイを進めることが推奨されています。

エクストラ編について

「エクストラ編」は、一言で言えば学園物のギャルゲーです。主人公・白銀武(しろがね たける)のもとに、突然、隣の家に引っ越してきた冥夜(めいや)という財閥の令嬢が現れるところから物語は始まります。彼女に巻き込まれる形で、武の日常は非日常へと変化していきます。

幼馴染の鑑純夏(かがみ すみか)をはじめ、クラスの委員長である榊(さかき)、珠瀬(たませ)、彩峰(あやみね)、個性豊かなクラスメイトたちと共に学園生活を送るのがこのパートです。選択肢を選び、ヒロインのルートを進めていく典型的なギャルゲーで、正直なところ特筆すべき点はないかもしれません。2001年の作品というだけあって、ノリが古く、古き良き漫画のような雰囲気を感じる人もいるでしょう。

人によっては少し抵抗があるかもしれませんが、最低限コメディとしては楽しめるので、純夏と冥夜のメインヒロインルートだけでもクリアしておくことをお勧めします(もちろん、全員のルートを見ておくと、後の展開がより深く味わえます)。

アンリミテッド編について

そして「アンリミテッド編」では、一転して衝撃的な展開を迎えます。主人公が目覚めると、見慣れた日常は失われ、そこは地球外生命体「BETA」に侵略され、人類が絶滅寸前の状態にまで追い込まれた別世界でした。家から一歩外に出れば、荒廃した街と戦場の光景が広がり、主人公は否応なくその世界に巻き込まれていきます。

そこには、エクストラ編で共に学園生活を送った月詠や委員長などの仲間たちが、軍人として存在しています。彼らと共に主人公も訓練学校の生徒として生活していくことになりますが、ただ一人、純夏だけが存在しませんでした。そして、この世界の人類はBETAに敗北し、地球外への脱出という形で終焉を迎えることになります。

平和なギャルゲーパートから一転、このとんでもない設定変更から始まる衝撃展開は、当時の多くのプレイヤーを釘付けにしました。

マブラブからプレイすべきか?

その上で、『オルタネイティブ』は、アンリミテッド編で人類が敗北した世界からタイムリープしてきた主人公が、再び人類を救うために物語を始める、という展開で幕を開けます。

このように物語が密接に繋がっているため、原則として『マブラブ』からプレイすることをお勧めします。しかし、『マブラブ』という作品は、『オルタネイティブ』ほどの圧倒的な異質さはなく、現代のプレイヤーにとってはその導入部分(特にエクストラ編)が長く、プレイへの敷居がかなり高いです。そのうえで、本作を名作として知らしめている要因の9割が『マブラブ オルタネイティブ』にあるのは確かで、『マブラブ』の途中で挫折してしまう方も少なくないのではないかと懸念しています。だからこそ、『オルタネイティブ』から始める選択肢を完全に否定はしません。

しかし、それでも『オルタネイティブ』を一つの作品として深く味わい尽くしたいのであれば、『マブラブ』のプレイを推奨したいと思っています。特にエクストラ編とアンリミテッド編で描かれる「平和な日常」と「絶望的な非日常」の対比を知ることで、『オルタネイティブ』の壮絶さ、キャラクターたちの心情、そして物語全体の重みが何倍にも増幅されるからです。もしプレイ時間がどうしても確保できない場合は、せめてあらすじを詳しく調べてから『オルタネイティブ』に臨むのが良いでしょう。

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『マブラブ オルタネイティブ』の魅力

ここからは、本作『マブラブ オルタネイティブ』の魅力について、詳しく見ていきましょう。

その1:心が折れる絶望と、それに立ち向かう壮絶な物語

『マブラブ オルタネイティブ』は、前作『マブラブ アンリミテッド』の結末から、主人公が再び意識を取り戻すところから始まります。しかし、それは元の平和な世界に戻ったわけではなく、アンリミテッドの世界で時間が巻き戻っただけの「タイムリープ」であることが判明。主人公は、この残酷な運命に抗い、人類を地球外生命体「BETA」の脅威から救うため、今度こそ最善の未来を掴むべく、再び戦いに身を投じることを決意します。

本作の最大の特徴は、プレイヤーの心を何度も折るような壮絶な物語展開にあります。

特に地球外生命体BETAとの戦いはまさに絶望的です。BETAは圧倒的な物量と強さ、そして明確な戦略を持っており、人類は容赦なく追い詰められていきます。次々と同法が悲鳴を上げながら命を落としていく描写は、プレイヤーに深い恐怖を植え付けますし、プレイヤーをどん底に突き落とすような展開が多発します。

特に中盤、ようやく挫折から立ち直った主人公の目の前で信頼していた人間がむごい殺され方をするシーンは、あまりにもえぐく、本作を象徴するシーンの一つとなっています。パニックを誘発する演出も相まって、臨場感がすごいですし、そのあとも次から次へと主人公に襲いかかる絶望は、プレイヤーも一緒に精神を壊されていくような感覚に陥ると思います。「もうやめてやってくれ」と感じるほど、追い詰められていく主人公の境遇は、本作の大きな核となっています。

同胞たちも容赦なく殺されていく姿が丁寧に描かれ、まさに心が折れるような絶望の連続です。
物語は終始一貫して絶望的な展開が続き、何度「嘘だろ…」とうならされたことか分かりません。

ただ、そうした途方もない絶望があるからこそ、それでも主人公が、そして人類が、小さな希望を求めて立ち向かう姿は、プレイヤーに深く突き刺さります。特に、前作で残された多くの謎、幼馴染である「鑑 純夏(かがみ すみか)」の存在など、謎と伏線回収も見事で、物語は怒涛の展開を迎えます。息つく暇もなく、次々に物語が進んでいくため、終始飽きることなく楽しめますし、絶望の末にたどり着いた結末は非常に感動的で、強く心に残る作品になっています。

その2:圧倒的な解像度で描かれる世界観と戦争描写

本作を唯一無二の存在たらしめているのが、その圧倒的な解像度で描かれる世界観と戦争描写です。地球外生命体「BETA」の生態、その戦略、そして人類の反攻作戦や、各勢力の思惑などが、非常に詳細かつリアルに、徹底的に細かく説明されます。

例えば、主人公がBETAの種類や生態について学ぶシーンは、講義形式で展開され、実際に資料を交えながらその特徴が丁寧に語られます。ベータの種別解説だけでもかなりの時間が割かれることもあり、その設定の緻密さには驚かされます。こうした極めて丁寧な世界観の説明によって、プレイヤーは実際にその世界にいるかのような深い没入感を味わい、BETAという絶望的な敵の恐ろしさを骨の髄まで理解させられます。

その上で、特筆すべきは戦争描写のリアリティです。 「どの部隊がどこから攻め、それに対し敵の戦況がどう動き、どの部隊が犠牲になり、指揮官がどういった判断を下したか」といった状況説明があまりにも周到だからこそ、プレイヤーはまるで戦場に身を置いているかのような緊迫感で戦況を見守り、展開に絶望していくのです。

単なる派手な戦闘シーンだけでなく、極限状態における人間の心理戦、そして「人類の敵」との戦いの最中に「人間同士」が敵対するという皮肉な現実も容赦なく描かれます。仲間たちの死や、戦場で正気を失う兵士たちの描写はあまりにも生々しく、プレイヤーは戦争の悲惨さを嫌というほど思い知らされます。

特に作中で何度も語られる「何のために戦うか」という問いは、非常に印象的です。戦争に出向く前の兵士たちは「人類のため」「国のため」といった大義を掲げますが、実際に戦場に立った後は「隣で戦う仲間を死なせたくない」と答えるとのこと。主人公自身、この問いへの答えが物語を通して変化していくのですが、その兵士たちの心情にプレイヤーも深く共感できる点が、本作の描写の凄さかもしれません。

ここまでリアルな戦争描写の中で、幾多の人々が犠牲となり、主人公自身も大切な仲間を次々と失っていく。それでもなお、人類を背負って戦い続けるその重さと覚悟が、これほどまでに丁寧に描かれた作品は他に類を見ません。

その3:テキストアドベンチャーの常識を覆す、圧倒的な演出と枚数

『オルタネイティブ』を名作と唯一無二の存在たらしめている理由は、物語の深さだけではありません。

それは、テキストアドベンチャーゲームの常識を打ち破った、圧倒的な作画枚数と徹底的に凝った演出にあります。もちろん、その完成度は前作とは比較にならないほど飛躍しています。

本作はテキストアドベンチャーでありながら、戦闘シーンでは枚数の多い作画が目まぐるしく動き、あたかも3DCGを思わせるダイナミックなカメラワークまで駆使されます。撃墜される機体、飛び散る破片、そして兵士たちの悲鳴が、音楽や効果音と一体となり、戦場の極限の臨場感やパニック状態を鮮明に描き出しています。

これは、単なる背景の変化や立ち絵の切り替えといった従来のテキストアドベンチャーの枠を大きく超えた、もはや映像作品と見紛うほどのクオリティです。これほどまでに描写に手間をかけ、戦闘の躍動感と緊張感を演出したテキストアドベンチャーゲームは、当時としては異例中の異例であり、まさに「テキストアドベンチャーの最高到達点」と呼ぶにふさわしいでしょう。

現代においても、制作コストやノベルゲームの主流な在り方が変化した関係で、本作ほど徹底的に演出に注力した作品は、後にも先にも現れていないかもしれません。

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気になったところ・不満点

傑作であることは間違いありませんが、いくつか気になる点もありました。

その1:プレイ時間の長さと、導入のハードル

『マブラブ』シリーズは、『エクストラ』『アンリミテッド』『オルタネイティブ』と続くため、その総プレイ時間は非常に長いです。マブラブで30時間、オルタネイティブで40時間程度が目安です。

特に、最初の『エクストラ』パートは、後に続く壮大な物語とは裏腹に、ごく普通のギャルゲーとして進行します。このギャルゲーパートは、後の物語への伏線やキャラクターの魅力を引き出す上で重要ではありますが、人によっては導入部分が長く、退屈に感じてしまうかもしれません。この導入部分で諦めてしまうプレイヤーも少なくないため、作品全体の魅力を伝える上でのハードルとなっています。

その2:作品の古さと、元がアダルトゲームであること

オリジナル版は2003年、オルタネイティブは2006年の作品であり、現在の最新ゲームと比較すると、グラフィックはさほど厳しくはないのですが、キャラのノリなど古さを感じるのは否めません。

また、元々アダルトゲームとして発売された経緯があるため、そうした要素に抵抗がある方もいるかもしれません。コンシューマー版やsteam版ではそうした描写はカットされていますが、作品のバックグラウンドを知った上で、どう受け止めるかはプレイヤー次第となるでしょう。

その3:グロテスク表現と鬱展開について

本作は、あまりに陰鬱な展開とそのショックが大きい作品であるため、心構えが必要です。

凄惨な戦場描写、そして前述の通り、主人公や仲間の心を容赦なくへし折る鬱展開が終始続きますこれほどまでにプレイヤーを精神的に追い詰めてくる作品はそうないでしょう。 特に、キャラクターがむごたらしく命を落とすシーンなどのグロテスクな描写も含まれるため、これらの表現が苦手な方には強く注意を促したいと思います。気軽にはおすすめしづらい、非常にヘビーな内容であることを理解しておく必要があります。

そのほか留意点

アニメ化について

原作発売から15年の時を経て、2021年と2022年にテレビアニメ化されました。

  • 第一期: 2021年10月~12月
  • 第二期: 2022年10月~12月

アニメ版では、原作『マブラブ』のエクストラ編・アンリミテッド編の導入部分をカットし、『オルタネイティブ』から物語をスタートさせています。さらに、アニメは原作の途中の場面で終了しています。

筆者は未視聴ですが、残念ながら評判もあまり芳しくないようです。

『進撃の巨人』との関連性

本作は、後に大ヒットした漫画『進撃の巨人』の元ネタの一つとして、しばしば言及される作品でもあります。『進撃の巨人』の作者である諫山創先生自身が、過去に『マブラブ』からの影響を公言しているためです。

実際にプレイしてみて、絶望的な状況に追い詰められながら、登場人物の葛藤とその行く末という描きたい根幹の部分が非常に似ていると感じ、間違いなく影響を受けている部分があることが伝わってきました。

進撃の巨人が好きな方はハマれる作品かもしれません。ゲーム情報サイト「GameWith」でも進撃の巨人とマブラブの魅力について語られていたので確認してみてください。

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まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、テキストアドベンチャーゲームの名作『マブラブ オルタネイティブ』のクリアレビューをお届けしました。

『マブラブ』の導入部分の長さや、作品の古さといったハードルは存在するものの、それを乗り越えた先に待っているのは、テキストアドベンチャーゲームの常識を覆す、圧倒的なクオリティの物語です。

絶望的な世界で、人類の存亡をかけた戦いに身を投じる主人公と仲間たち。心が折れるような絶望と、それでも見つけようとする一筋の希望が、緻密な世界観と圧巻の演出で描かれています。プレイ後も深く心に残り続ける感動と問いかけは、他の作品ではなかなか味わえないでしょう。

壮大なSF戦争物語や、絶望的な状況に立ち向かう人間のドラマ、そしてテキストアドベンチャーの最高峰を体験したい方に、自信を持っておすすめできる歴史的な傑作です。ぜひ、この壮絶な物語に触れてみてください。

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