【クライマキナ】クリアレビュー・評価|純粋なアクションとしてのクオリティは低いが、尖った魅力を持ち、人によっては名作になりうる作品

レビュー
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はじめに

クライマキナ/CRYMACHINA』とは2023年7月26日にフリューより発売されたアクションRPG。

人類滅亡後の未来にを舞台に、機械として蘇った少女たちが「本物の人間」となるために戦っていく作品になっています。開発には「CRYSTAR -クライスタ-」のスタッフが参加しており、作りこまれたシナリオで話題になった作品であるからこそ、本作のシナリオにも注目が集まっていました。

そんな本作を一言で表すのなら、作りこまれたシナリオや魅せ方へのこだわりややりたいことが追求されている挑戦的な作品である反面、純粋なアクションRPGとしてクオリティは決して高いとは言えず、人を選ぶ作品であることは間違いありません。ただ、尖った魅力を持つ作品でもあり、人によってはどんな名作よりも心に残る体験を味わえるそんな作品にもなっていました。

この記事ではそんな『クライマキナ/CRYMACHINA』の評価・レビューになります。
気になる方は購入の参考にしてみてください。

機械が「本物の人間」になるための物語

クライマキナ/CRYMACHINA_20240623011624

本作のあらすじは以下の通り

奇病の蔓延する現代。病によって死の淵にたつ少女レーベン・ディステルは声を聞く。「あなたは選ばれた。」そして訪れる死。しかしレーベンは再び目を覚ます。人類滅亡後の未来。エノアと名乗る機械の少女に迎えられて。そこはエデンと呼ばれる構造体のなか。エデンでは機械たちが人類再生のために「本物の人間」を創造しようと稼働をつづけていた。レーベンはエノアに導かれ、「本物の人間」になるための戦いに巻き込まれていく。

公式サイトより
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シナリオについて

テーマ性の強いシナリオとキャラの魅力

まずは本作の一番の魅力と言えるそのシナリオについて見ていきたいと思います。

物語は病によって死んだ少女「レーベン」が機械として目覚めるところから始まります。そこには「レノア」と呼ばれる少女がいて、彼女や仲間と共に「本物の人間」になるための戦いを描くというものになります。

物語自体かなり重い展開ではあるものの、数多くの伏線が回収される展開が多く目が離せないものになっていますし、物語全体の見方が大きく変わるような仕掛けは見事でした。

そしてプレイしていて感じたのが、キャラの魅力という部分です。それぞれのキャラが個性的ですしビジュアルにかなり力が入っています。立ち絵の表情が豊かで、引き付けられるものがありました。

また、主人公と「レノア」の関係性など、主要キャラの関係を通した「家族愛」の描き方は非常に良かったと思います。拠点にて「お茶会」という形で掛け合いを見ることができるのすが、この数も多いですし、最終的なキャラに対する愛着の深さにつながっていたと思っています。

シナリオ上の仕掛けや魅せ方にこだわった挑戦への意欲

こだわって作られたタイトル画面

また、随所に見えたのが魅せ方に対するこだわりです

まず、プレイして最初に見えるタイトル画面ですが、機械の少女が何かこちらに語り掛けている様子が静止画ではなく動いている状態で描かれます。雰囲気漂うこのビジュアル表現には引き込まれた部分はありますし、デザインにおいては全体的に独自性が強く、本作ならでは魅力が作り出せていたと思います。

シナリオ進行においても、目まぐるしく視点が変わるストーリーは、どんでん返しもあり、現代のオーソドックスなRPGから想像できないような仕掛けがつまっているように感じました。本作は全体のクオリティとしては決して高い者とは言えないものの、こういった挑戦的な姿勢が見えた部分はすごく良かったです。

本作は音楽のこだわりが強く、すごく印象に残っています。Youtubeにて戦闘BGMが100万回以上の再生数を稼いでおり、気になる方はこちらものぞいてみてください。MVが可愛くて個人的には好きです。

個人的にすごいと思ったとこ

※ここからはシナリオのネタバレを含みます。

クリックで開く 

そして個人的にすごく斬新だと感じたのが、ラスボスを倒した後に遷移するタイトル画面での仕掛けです。

ラスボス戦後、ボロボロになったレーベンを助けるため、力を使い果たしたエノアが消えてしまいます。そして、その後も説明もないままタイトル画面に戻ってきて、一見すると訳も分からないまま終わったのかと思う場面です。

しかしよく見るとタイトル画面が変わっていて、そこには立ちすくむエノアがいます。タイトル画面にて、エノアを扉の向こうに動かすことで、真エンディングにつながる仕組みになっていました。

タイトル画面はプレイした最初から十字キーでしかカーソルを動かせないようになっていたのですが、ここを最後の仕掛けにつなげてくるのは驚きました。

ゲームサイクルは非常に単調

本作ゲームサイクルは拠点となる箱庭で出撃するステージを選ぶダンジョン形式です。ですので、ダンジョンをクリアして、拠点に戻ってきて、キャラの掛け合いを見て、またダンジョンに潜るということの繰り返しになります。

ダンジョンに関しても、かなり簡素な造りになっていて、それほど長くない一本道で、それでいて景色もあまり変わらないため、探索が楽しいとは言えません。こういったゲーム性だからこそ、シナリオが面白いとは言え、飽きを感じてしまうところは否めません。

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戦闘について

オーソドックスなスラッシュアクション

本作のバトルはオーソドックスなスラッシュアクションになっています。

弱攻撃・強攻撃を駆使して、敵のゲージ削っていき、ゲージをっ削り切ると打ち上げ攻撃・フィニッシュムーブに派生することができます。いかにゲージを削るかという遊びは直感的で分かりやすいものになっていました。

また、本作にはエノアによる援護のシステムがあり、その中の一つに「覚醒」というものがあります。戦闘中に覚醒状態になると、ステータスの強化はもちろん、自動回避やフィニッシュムーブの演出が派手になるなどの変化もあります。他にも遠距離攻撃など、エノアとの連携をどう使いこなすかというのが攻略の鍵になっていました。

直感的な爽快感を得られるアクションになっていて、アクションゲーム好きの方は要チェックです。

膨大な育成要素

本作には膨大な育成要素があります。

それぞれのキャラのレベル上げから始まり、ステータス振り、装備・武器選び、装備・武器につけるスロット、エノアのサポートアクションの強化など多岐に及びます。プレイヤー側がカスタマイズできる要素が非常に多いため、自分だけのビルドを組んでいく楽しさ味わうことができます。

これらの武器や素材を集めるために何度も周回するハクスラ的な楽しさもあり、やり込み要素につながっていました。

バランスは悪いし、調整不足も目立つ

ただ、戦闘に関しては問題も多いです。

怒涛の連続ダメージで死ぬ敵の攻撃や、全く関係ない敵に向くロックオン(内部ターゲット)、回避ようとすると見えない段差や敵に引っかかるなど、調整不足の点も目立っていました

この大味さが良いと言えばそうなのかもしれませんが、近年のアクションゲームに比べると、純粋なクオリティの面で劣っていることは間違いありません。

遊びづらさが目立つも多い

デザイン性を意識しすぎて、使いづらいUI

装備画面

本作のUIに関しては、一貫してデザインを意識している反面、使いづらいものになっていました。

特に感じたのが、強化要素です。装備と強化要素が色んな所に散らばった配置になっています。レベルアップをしようにも、装備画面とは別に用意されており、どこに行けば何ができるのか直感的に理解ができませんでした。

他にも戦闘中のポーズ画面がないため、装備画面やオプション画面が直に開いたり、ダンジョンを離脱して、拠点に帰還するボタンがアイテムショートカットの中にあったり、慣れないと使いづらい部分は多かったです。

色んなことができるにも関わらず、UIが分からなくしている点もあり、この点については注意が必要です。

メインメニュー

またこの分かりづらさに拍車をかけているのが専門用語の多さです。

メインメニューに関しても、専門用語がのせいで、どのボタンが何を示しているのか、初見では分からないと思います。メインストーリーを進めるには「造換搬送機」を選択し、攻略するダンジョンを選ぶ必要があるのですが、これに関しても極端な話「ストーリー」という名称にしたほうが良かったのかもしれません。

他にも戦闘中のHPゲージの形が独特など、瞬時に情報が判断できず、遊びづらさにつながってしまっていました。

その他の遊びづらい要素

他にも遊びづらさを感じてしまう部分はあります。

例えば、敵にやられ、ゲームーオーバーになった際、復活ポイントは基本的にステージの最初からになります。
景色が変わり映えしない一本道のゲーム体験性だからこそ、復活地点というのは細目に設けてほしかったというのが正直なところです。

ゲーム体験を阻害している遊びづらさは目立ってしまいました。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は『クライマキナ/CRYMACHINA』の評価・レビューをお届けしました。

結論から言って、本作のクオリティは決して高いものとは言えず、誰にでもお勧めできる作品ではありません。
しかし、独自のビジュアル表現や独特の世界観、個性豊かなキャラたちに物語には尖った魅力があり、人によっては心に残るものになりうる魅力を持っている作品でした。

気になる方はご購入を検討されてみてはいかがでしょうか。