こんにちは。ヤマザキです。 今回は、『アクアリウムは踊らない』のクリア後の評価・感想・レビューになります。 この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。 気になる方は購入の参考にしてみてください。
- 『Ib』や『殺戮の天使』のような探索型ホラーADVが好きな方
- 考察しがいのあるストーリーや、伏線回収のカタルシスを味わいたい方
- 少女たちの友情や、少し切ない物語に触れたい方
はじめに
『アクアリウムは踊らない』は、個人開発者の橙々氏によって制作されたホラーアドベンチャーゲームです。
元々はフリーゲームとして公開され高い評価を得ていた作品ですが、今回、主要キャラクターのフルボイス化や新シナリオを追加した「完全版」として、2025年8月1日にNintendo Switch/Steam向けにリリースされました。
舞台は、恐怖の世界と化した水族館。過去に溺れた経験から水が苦手な主人公「スズ」が、行方不明になった親友「ルル」を探すため、「クリーピー」と呼ばれる異形の存在から逃れながら謎を解き明かしていく物語です。
そんな本作をクリアまでプレイしましたが、結論から言えば、
「圧巻のシナリオと伏線回収が心を揺さぶる、名作ホラーアドベンチャーの決定版」でした。
元が個人制作のフリーゲームとは思えないほど練り込まれた世界観と、フルボイス化によって深みを増したキャラクターたちのドラマ。そして、全ての謎が繋がる終盤の展開はまさに鳥肌モノです。クリア時間は大体8時間ほどでした。
今回は、そんな本作の魅力や気になったところを詳しく見ていきましょう。
『アクアリウムは踊らない』の魅力
ここからは本作の魅力について、見ていきましょう。
その1:圧巻の伏線回収と、謎が謎を呼ぶシナリオ

本作最大の魅力は、プレイヤーを引き込んで離さない重厚なシナリオにあります。
物語は、主人公のスズが親友のルルと共に「ビアンカ水族館」を訪れるところから始まります。館長の妻・クリスによるガイドツアーを満喫していた最中、ふとルルが姿を消してしまいます。

彼女を探すスズが迷い込んだのは、血だらけの惨状と不気味な怪物が徘徊する「異界の水族館」でした。そこで出会う、剣を携えた軍服姿の女性・レトロや、行方不明の少女たち。
なぜ水族館が変貌したのか? クリーピーとは何者なのか? そして、「裏切者は誰なのか?」を軸に物語が進んでいきます。
絡み合う謎と真実

物語は、ほかにもスズが手に入れる「クラゲに変身できる能力」や、次第に薄れていく記憶、そして仲間の中に潜む裏切りの気配など、数々の謎が並行して描かれます。
それらの伏線が終盤に向けて一気に収束していく展開は見事で、真実が明らかになった時の衝撃とカタルシスは素晴らしいものでした。

感動的なシーンも多く、それぞれのキャラクターの想いが交差する終盤の展開は情緒にあふれており、クリア後には深い余韻を残してくれます。マルチエンディング形式となっているので、ぜひ全ての結末を見届けてほしい作品です。
また、BGMのクオリティも非常に高く、美しくもどこか恐ろしい水族館の雰囲気を完璧に演出しつつ、感動的なシーンでは涙を誘う素晴らしいスパイスとなっていました。
その2:謎解きと探索要素の楽しさ

本作は見下ろし型の2D視点で物語が進行していきます。
基本的にはフィールドを探索しながら謎を解き、先へ進めていくスタイルです。
程よい難易度の謎解き

謎解きは、手掛かりを集めて解くものなどバリエーション豊かです。
難易度はそれなりに高いものの、良くも悪くも古典的なギミックが多めで、じっくり時間をかければクリアできる絶妙なバランスになっています。もし詰まってしまっても、攻略サイトなどを参考にすれば問題ないでしょう。
ホラー要素について
ホラーゲームということもあり、探索中の驚きや恐怖演出、不気味な敵から逃げるチェイス展開も多く存在します。
どれもドキッとする演出ですが、あくまでシナリオを引き立てるスパイスといった印象で、心臓が止まるような「超本格ホラー」というわけではありません。シナリオ重視の方は、ホラーがあまり得意でなくても楽しめると思います。ただし、ホラーが極端に苦手という方は少し注意が必要かもしれません。
その3:フルボイス化で魅力が増したキャラクターたちと追加シナリオ

今回のコンシューマ版では、主要キャラクター5人にボイスが実装されています。これにより、物語の解像度と没入感が格段に向上しました。
親友思いの主人公スズはもちろん、親友のルルなど、個性的なキャラクターたちが物語を彩ります。
特に本作はショッキングな展開も多く、彼女たちが過酷な運命に翻弄されながらも、時に残酷な死に直面するシーンも描かれます。声優さんの熱演によって、彼女たちの感情の揺れ動きが痛いほど伝わり、シナリオへの没入感が格段に上がっていました。
ファン必見の追加シナリオ

本編クリア後には、「アクアリウムは満たされない」などのアナザーストーリー(追加シナリオ)も楽しめます。
あくまで30分程度でクリアできるおまけの内容ではありますが、キャラクターの更なる深掘りがなされており、新規CGも用意されているため見どころは十分です。本編を気に入ったプレイヤーにとっては嬉しいプレゼントと言えるでしょう。
気になったところ・不満点
名作であることは間違いありませんが、元がフリーゲームであるがゆえの気になる点もありました。
その1:全体的に感じるチープさと粗さ

本作は「RPGツクールMZ」で制作されており、グラフィックや演出面ではどうしてもコンシューマの大作と比べるとチープさを感じてしまう部分があります。
また、謎解きのUIに関しても、一度開いた画面が閉じにくいなど、操作性に若干の不親切さを感じる場面がありました。
とはいえ、これらはインディーゲームとしての「味」とも取れる範囲であり、個人的にはそこまで気になりませんでした。物語の面白さを損なうほどのものではないでしょう。
その2:こまめなセーブの推奨

ゲームプレイは、探索と謎解き、そして即死ギミックの回避が中心となります。本作には「即死系ビックリ要素」や「初見殺し」が多く存在します。死んでしまうとタイトル画面に戻されてしまうこともあるため、こまめなセーブは必須です。
理不尽さを感じさせない配慮
しかし、危険なイベントの前には必ずセーブポイントが配置されていたり、イベント発生前に「強制的にセーブ画面が開く」などの配慮がなされています。
「あ、ここ死ぬかも」と察することができるため、理不尽なやり直し作業は意外と発生せず、ホラーゲーム特有のストレスを感じさせない親切な設計になっていました。
また、エンディング分岐もあるため、セーブデータはこまめに分けておくのが無難です。
その3:グロテスクな描写への注意

ドット絵ベースではありますが、流血表現や残酷な死に様など、グロテスクな描写が含まれています。
そういった表現が苦手な方は、あらかじめ心構えをしておくことをおすすめします。
まとめ

いかがだったでしょうか。今回は『アクアリウムは踊らない』のクリアレビューをお届けしました。
恐怖と美しさが混在する水族館を舞台に描かれる、少女たちの切なくも温かい物語。圧巻の伏線回収と情緒あふれるエンディングは、プレイヤーの心に長く残る体験となるはずです。
ホラー要素はそこまで強くないため、ホラーが苦手な方でもストーリー重視の方なら十分に楽しめます。プレイ時間も8時間程度と程よいボリュームなので、週末に一気にプレイする作品としてもおすすめです。
気になった方はぜひ、この不思議な水族館へ足を運んでみてください。


