こんにちは。ヤマザキです。
『レイジングループ』は、ケムコより2015年12月3日に配信されたスマートフォン用アドベンチャーゲーム。
その後、PS Vita・PS5・switchに移植され、じわじわと評判が広がっている作品です。
山奥の村の中で行われる人狼ゲームを題材にしている本作ですが、プレイして一番に感じたのは「こんなとんでもない作品がまだあったのか」という衝撃でした。緊張感あふれるシナリオと次々に起こる衝撃展開、狂気的な展開やホラー要素を混ぜたその惹きこみはすごいです。あまりにも先が気になって長時間ぶっ通しでプレイしてしまい、気が付いたら深夜なんてこともありました。
正直なところ、気になる部分も多い作品ではありますが、そのシナリオのクオリティは本物でぜひプレイしてほしい作品です。今回はそんな『レイジングループ』の魅力を語っていきます。
この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
気になる方は購入の参考にしてみてください。
※シナリオのネタバレはできる限りしないようにしていますが、気になる方は注意を
- 『レイジングループ』の購入を検討している人
- 『レイジングループ』の評価・感想が知りたい人
ゲーム概要
まず本作のゲーム概要についておさらいしてみましょう。
ストーリー
大学院生である主人公「房石 陽明」はバイク旅行中に道に迷ってしまい、崖で転倒してしまう。
そこに現れた「芹沢 千枝実」に助けられ、休水という集落に身を寄せることになるが、そこに住む人々には歓迎されたいない様子。そこに霧が発生して、謎の生物に殺されてしまうが、気が付くと時が遡っていた。
何度もループしていく中で、休水に現れたバケモノの正体とそこで行われる「黄泉忌みの宴」というリアル人狼ゲーム。なぜ陽明は殺されたのか、住民たちはなぜ人狼をしているのか、様々な謎とその背後にある陰謀の真相に迫っていくというあらすじ。
ゲームの特徴
休水で行われているリアル「人狼」ゲーム
本作は前述した通り、人狼を題材にしています。
山奥にある閉鎖的な村「安水」では「黄泉忌みの宴」というものが行われており、これは一言でいえば超リアルな人狼ゲームです。
簡単に人狼について説明しておくと…
住民の中に混じったオオカミは毎晩、一人ずつ人間を殺していきます。
住民たちは対抗して会議を開き、話し合いでこちらも一人ずつ処刑していきます。
最終的に残った人数のうちオオカミが過半数を占めれば、人狼側の勝ち。
その前にすべてのオオカミを処刑できれば人間側の勝ちというもの。
これが非常にリアルに描かれており、その緊張感は非常に強く、物語の引き込みにもなっていました。
へび・からす・さる・くもの存在
実際の人狼にも占い師・霊媒師・騎士などの役職がありましたが、「黄泉忌みの宴」においてもそれにあたるものは存在します。本作ではそれは加護という名称でそれぞれこんな感じ
加護の種類とその効果
「へび」は一晩につき1人、自分以外の人がオオカミかそうでないかが分かる。
「からす」は前日に処刑された人がオオカミかが分かる。
「くも」は一晩につき1人、対象を守ることができる。
「さる」は2人おり、それぞれが人間であること分かる。
これらの役職が力を発揮できれば人間側の勝利に大きく関りますが、その分オオカミに狙われやすく、先に退場すると人間側にとって大きな痛手となります。これらの加護を活かしたそれぞれの陣営の戦略と心理戦が物語の中でも大きな魅力になっているわけです。
プレイヤー自身が誰が人狼なのか推理しつつ、物語を読んでいくホラーサスペンス的な展開が強くなっています。
主人公の死に戻り能力
本作の主人公は死に戻りをしています。
最初のほう訳も分からず殺された謎が物語の終盤で回収されたり、その張り巡らされた伏線とその回収には注目したいところです。
何度死んでも生き返りができるからこそ、謎が少しずつ解かれていく感覚は、「STEINS;GATE」「ひぐらしのなく頃」にといったものに近く、そういった作品が好きな方は特に注目です。
良いところ・評価点
その1:リアルな人狼の恐怖と深まる謎に引き込まれる
本作の題材は人狼ゲーム。
人狼自体はなじみあるものですが、では実際に人狼が行われ、そこに自分が参加したらどう思うでしょうか。
殺されなけば殺されるが、かといって信頼する仲間や愛する家族を殺せるのか、そういったリアルな人狼の緊張感が本作ではあります。
特に話し合いの際は、実際に殺す人を選ぶ投票が行われ、その緊張感は半端じゃないです。
本作では投票で、処刑が確定した場合、首に縄をつけた状態で突き落とされ殺されるのですが、最後に自分に投票した人たちとオオカミを恨んで死んでいく様子などは本当に印象に残っています。
こういった色々な人が何思い、行動するのかそこが丁寧で、周りの人や自分自身がくるっていく様子は狂気にも感じられ、正直怖いシーンもたくさんあります。
そういった怖さと先が気になる謎が良い塩梅で散りばめられていて、結果として一度読み始めると止まらない没入感を生み出しているのです。
また人狼だからこそ、誰がオオカミのなのか推理していくサスペンスとしての要素も素晴らしかったです。誰が人狼なのか考え、発言の裏を読みながら、その正体を推測していく感覚は人狼でしか味わえないものでした。
物語が進むと主人公がオオカミ側になるルートがあるのですが、こちらもすごいです。詳しいことは言いませんが、狂気さと人狼における心理戦が全く変わった展開で描かれるので、こちらもぜひ体験していただきたいところです。
いずれにせよ、それぞれの思惑が入り乱れる中での心理戦とその奥深さは間違いなく本作の大きな魅力になっていました
その2:癖が強すぎる主人公と周りの人物
本作の登場人物はあまりにも癖が強いです。
何よりも主人公の頭がおかしいです。
ここが本作における魅力でもあるのですが、初対面の人間に「いかれてる」と評されるほどにはサイコパスですし、変人的な行動をとり始めることも多いので、非常に印象に残ります。それでいて頭の良さと行動力も兼ね備える独特な主人公の行動と掛け合いには注目です。
他のキャラも最初はきついかもしれませんが、物語が進むにつれて愛着を持てるようなキャラばかりです。キャラの魅力は相当高いと言えると思いますよ。
その3:作り込みが丁寧
作り込み自体は非常に丁寧だったと思います。
いつでも移動できるフローチャートなどのシステム面。
最初の説明や各バッドエンドのヒントコーナーや充実したおまけの数々など、一つの作品として、洗練されていた部分は多かったです。
割と驚いたのが、最初の分で、本作における説明や配信規定に至るまで、キャラがフルボイスで説明してくれます。もちろん飛ばすこともできるのですが、こういった細部における作り込みは非常に良かったと思います。
気になったところ
その1:癖が強く、数が少ないイラスト
問題点ではないのですが、気になる部分として癖の強いその絵柄と単純な枚数の少なさが挙げられます。
まず一番に感じられるのはこの絵柄でしょう。
クリアしたあとでは本作の魅力になっているとも感じるので、何とも言えないのですが、やはり古臭い印象も強く、新規層が入りづらい要因になっていると感じます。筆者も長らく絵柄の雰囲気が合わないと思っていたので、プレイを見送っていた部分もありました。本当はそこは気にせずプレイしていただきたいのですが、これからプレイする方は気になってしまいますよね。
またイラストの総数が少ないです。
シナリオ上の見せ場となるシーンでも背景すらない場合があり、「ここにイラストがあれば、プレイヤーの印象に強く残るシーンになったのに…」という場面は多くありました。また言い方が悪いのですが、チープな演出も多く、没入感をそいでしまっている部分もあり、もったいないと感じてしまうのは残念なところでした。
その2:声優陣の演技が気になる
正直、ここも触れたくないポイントではあるのですが、触れざる負えないでしょう。
声優さんたちの演技が気になります。
プレイ中の声優陣の演技に素人臭さを感じてしまい、「俳優が起用されているのか?」と思い、調べたところ登場人物全員が専門学校の学生さんのようでした。
一応、言っておくと、決して下手ではないです。何なら最後のほうは慣れもありながら、演技もどんどんうまくなっていて、違和感はほとんど感じなくなっていましたし、他のユーザーの感想を見ていてもそこに全く違和感を感じなかったという方も多くいました。決して「専門学生だから…」で批判するつもりはありません。
しかしながら、調べてしまった以上、気にならなかったとは言えません。
ノベルゲーというジャンルである以上、絵のないシーンも多く、声優さんの演技が作品の魅力に直結します。声優さんには作品の魅力を底上げするような演技を求めたいし、実際に名作と呼ばれる作品の多くにそれが備わっているようにも思います。
どうしてもその部分はもったいないと言わざる負えません。
前述したイラストの少なさも踏まえると「予算がないのか…?」と思ってしまう部分は多いです。シナリオの魅力がすごいからこそ、その部分にもう少し力を入れられていたら名だたる名作の仲間入りができたのではないかと思い、どうしても歯がゆさが残ります。
その3:グロテスクな表現が苦手な方は注意
本作グロテスクな表現が多くなっています。
直接的なイラストなどはありませんが、テキストとしての表現はきつめなので、そういったものが苦手な方は注意が必要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は『レイジングループ』の評価・感想・レビューをお届けしました。
本作は人狼をテーマにした作品で、その圧倒的なリアルさからくる狂気と心理戦、謎の数々の引き込み方は本当にすごかったと思います。プレイした感覚でいえば「ひぐらしのなく頃に」に近く、シナリオのポテンシャルには衝撃を受けました。
指摘したように気になる部分もありますが、続きが気になりすぎて寝不足になるようなゲーム体験を味わいたい方にはぜひおすすめしたいそんな作品になっていました。
少しでも気になる方はぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。