こんにちは。ヤマザキです。
今回レビューしていくのは2023年1月23日にMAGES.より発売された『サマータイムレンダ Another Horizon』。ジャンルはタイムリープADVになっています。
本作は2022年4月~9月に放送されたアニメのゲーム化作品となっており、原作やアニメのファンが楽しめるかというのも気になるところですよね。
本作の筆者のクリア時間は全ルートクリアで13時間ほど。
この記事では『サマータイムレンダ Another Horizon』の良いところや気になったところ、感想、どういう人にお勧めできる作品なのかを評価・レビューしていきます!
購入の参考にしてみてください。
※ネタバレはできる限りしないようにしていますが、少しはあるので気になる方は注意を。
- 『サマータイムレンダ Another Horizon』の購入を検討している方
- 『サマータイムレンダ Another Horizon』の評価・感想が知りたい人
- サマータイムレンダ のアニメを知っていても楽しめるか知りたい人
『サマータイムレンダ Another Horizon』とは?
タイトル | サマータイムレンダ Another Horizon |
ジャンル | タイムリープADV |
発売日 | 2023年1月23日 |
発売元 | MAGES. |
クリア時間 | 13時間(トロコンまで) |
評価 | 46点 |
アニメの体験をゲームで! アニメの物語をなぞるノベルゲーム
『サマータイムレンダ Another Horizon』は2023年1月23日にMAGES.より発売されたアドベンチャーゲームです。
少年ジャンプ+で連載していた人気漫画「サマータイムレンダ」のゲーム化作品になっています。
サマータイムレンダのゲーム化作品と聞くと、幅が広いですが、
本作を一言で表すのなら「アニメを原作としたノベルゲー」と言えます。
基本的に原作の物語をノベル形式でなぞるものになっていて、原作やアニメでの体験をゲームで味わうことができるものになっています。
加えてゲーム独自オリジナル要素もあり、それを楽しみにプレイするのもありかもしれません。
漫画やアニメを知らなくても楽しめる?
この点に関しては全く問題ありません。
十分に楽しむことができるでしょう。
前述した通り、アニメが原作になっているため、むしろ漫画やアニメを知っている方だと内容が同じで飽きてしまう恐れもあります。
漫画やアニメの内容を知らないほうが楽しめるかもしれませんよ!
『サマータイムレンダ Another Horizon』の評価
まず全体の結論から言ってしまうと本作における筆者の印象はあまり良いものではなく、正直言って期待外れなものとなっていました。元々アニメのゲーム化作品ということもあり、めちゃくちゃ期待が高かったわけではないんですが…
一言でいえばあえてゲームをプレイする意味がないのです。
本作は前提としてアニメを試聴済みかで評価が大きく変わります。
というのもアニメを原作として、そのストーリーをなぞっていくものになっているためです。
CGの多くがアニメのスクショを使いまわしているため、オリジナル要素は少ないうえ、尺稼ぎが目立ち大半が蛇足に感じてしまいます。
ストーリー的には面白いのですが、「アニメでよくない?」と感じてしまいました。
また何よりも残念なのが、オリジナル要素が薄いこと。
例え、大筋のシナリオは原作と同じでもヒロインごとの個別ルートやスピンオフのようなイベントが作りこまれていれば、十分に価値はあると思っています。
しかしながら、本作はそういったオリジナル要素に魅力がほとんどありません。
そのためサマータイムレンダのゲーム化作品としては個人的には残念でした。
しかしながら、サマータイムレンダをゲームでプレイできるというのは、普段アニメや漫画を見ないユーザーが本作に入るきっかけになっていますし、物語自体は非常に面白いので、アニメや漫画を見たことがない方であれば十分に楽しめると思います。
- サマータイムレンダをゲームでプレイできる
- CG枚数は多い
- オリジナルのルートとエピローグの追加
- オリキャラの追加
- CGのほとんどがアニメのスクショ。オリジナルCGは少ない。
- 主人公はパートボイス(基本ボイスなし)
- 個別ルートは強制分岐で短いうえ、見どころがない
- オリキャラの存在意義はほとんどない
- テンポが悪くなっている
- 価格の割にボリュームが少ない
『サマータイムレンダ Another Horizon』の良いところ
タイムリープ系のシナリオはすごく面白い!
1つお伝えしたいのが、話としてはめちゃくちゃ面白いんです!
あらすじを簡単に説明しましょう。
本作の主人公の網代慎平は幼馴染・小舟潮の訃報を聞き、葬儀に参列するために2年ぶりに生まれ育った故郷・日都ヶ島(ひとがしま)に戻ることになります。
そこで耳にしたのは、潮の死には不可解な点があり、他殺の可能性があるということ。
潮は亡くなる前に自身と同じ姿の影(ドッペルゲンガー)を目撃しており、島には「自分と同じ姿の影を見たもの死ぬ」という伝承がありました。
潮の死の真相と影とは何なのか、その真相に迫る物語。
本作は次々とひきのある内容が展開されていき、シナリオに目が離せないのです。
潮の死をきっかけに展開していく物語は最初はどことなく悲しさが残る部分もあり、そこから惹かれてしまいました。
また、本作は謎に迫るサスペンス的な展開やタイムリープ要素など多くの要素がもあるのですが、魅せ方が整理されていて、非常に理解しやすい物語になっています。
正直タイムリープ系の物語としてはかなり名作の部類に当たると思っており、その物語をぜひ自身の手で体験してみてほしいです。
非常に魅力的なキャラ達
登場キャラも非常に魅力的です。
個人的に触れたいのが、主人公「網代慎平」の幼馴染、小舟潮。
潮の死が物語のきっかけになるわけですが、潮の性格はなかなかに癖が強い…
気が強く、バリバリの方言でしゃべる金髪ロングのヒロイン。
王道ヒロインとは言えない、性格ではあるものの、作品を通して彼女を含めて個性あるキャラたちの存在は大きく、作品を面白くしてくれたと思います。
舞台は和歌山市の離島!? 島ならではの雰囲気は独自の魅力がある
本作の舞台は和歌山市に実在する離島・友ヶ島をモデルとした、「日都ヶ島」。
作品全体を通して島が丁寧に解像度が高く描かれています。島とそこに住む人々を身近に感じられるのも本作の魅力でしょう。きれいな海と離島ならではの風景は作中のシーンと相まって印象に残ること間違いなしです。
また本作の場合、キャラたちが話す方言にも注目したい。
その舞台設定も相まって、登場する人物が話す言葉は少なからず訛りがあります。
それが作品の個性になっていることは間違いないですし、その土地らしさをより感じさせてくれるものになっています。
なかなかここまで特定の地域の雰囲気を作品に取り入れている作品も少ないので、個人的には新鮮に映りました。和歌山県と正式にコラボしていて、聖地巡礼に行ってみても楽しいかもしれません。
公式サイトもあるので気になった方は見に行ってみてください
サマータイムレンダをゲームでプレイできる
本作は物語やキャラが非常に面白いことはお伝えしてきましたが、それをゲームで体験できるというのが本作独自の魅力でしょう。
正直、ゲーム体験としてアニメと大きな違いがあるわけではありません。
だからこそ、「アニメや漫画は普段見ないけど、ゲームでならプレイしてみたい」というユーザーにとっては大きなメリットがあるわけです。
サマータイムレンダに入る一つの入り口として検討してみるのは良いかもしれません。
『サマータイムレンダ Another Horizon』の気になったところ
先ほども述べた通り、本作における筆者の1つのゲームとしての評価は決して高いものではありません。
今まで上げた良いところのほとんどが本ゲームの良いところではなく、サマータイムレンダという作品、ひいては原作の良いところなんです。
本作の一番の問題点はどうしてもアニメの下位互換になってしまっているところです。
いくつかの要素を確認してみます。
ゲーム性は薄く、ほぼ一本道のノベルゲーム
サマータイムレンダは漫画が原作の作品でそれをアニメ化し、更にアニメを軸にゲームが作られています。原作がある作品をゲーム化する場合、多くの場合はゲーム性を取り入れるか、オリジナル要素に力を入れるかだと思うのですが、本作はこれをどちらも失敗しています。
ゲームとしてはオーソドックスな選択肢で分岐していくタイプのアドベンチャーゲームで特質したゲーム性はなくノベルゲーに近い内容になっています。
ルート分岐としてはアニメをなぞる共通ルートを軸に選択肢によって、バッドエンドや個別ルートに分岐していきます。
そのため、一見多いように見えるCGもそのほとんどがアニメのスクショが使われています。
正確には共通ルートのストーリーの主軸部分はスクショで、個別ルートや分岐後バッドエンドなどのオリジナル要素では新たにCGが作られています。
立ち絵のみになるよりずっと分かりやすいのですが、「じゃあアニメで良くない?」というのが正直なところです。
UI部分などは不満はないのですが、映像で動くアニメをわざわざ紙芝居にしたような印象を受けました。
ゲームだからこそ、アニメでは描かれなかった部分も描かれるということはなく、むしろ割愛されている部分もありました。
漫画原作であるからか、そもそもノベルゲーとしての表現ではうまく伝わってこない部分も多いですし、アクション部分などわざわざ文字にしたことで明らかにだれてしまっている部分が散見されました。後日、該当部分をアニメで見ると違和感なく見れました。
また、ゲーム化するにあたって主人公のボイスはなくなっています。
一般的に主人公視点の没入感を出したい場合にこのような形がとられることが多いですが、いわばアニメが原作であるこの作品ではないほうが違和感が強いですよね。
尺稼ぎ以外の意図が感じられないオリジナル要素
例え、共通ルート部分がアニメの劣化になってしまったとしても、オリジナル要素がしっかりしていれば、ゲームとしての価値は十分にあると思います。
しかしながら、本作はオリジナル要素の魅力がほとんどありません。
むしろ共通ルートのテンポを下げるてしまっており、フルプライスという価格をごまかすためのボリューム稼ぎにしか見えませんでした。
本作のオリジナル要素は3あります。
1.個別ルートの追加
2.オリジナルキャラの追加
3.エピローグの追加
それぞれについて解説していきます。
1.共通ルートに影響がない形でバッドエンドを迎える個別ルート
個別ルートに関しては共通ルート中の選択肢によって分岐していくのですが、今作では強制的に進みます。
個別ルートクリア後に新たな選択肢が生まれ、それを選ぶことで共通ルートを進めることができます。
肝心な中身なのですが、一言で表すならマイナーチェンジバッドエンドです。
共通ルート部分の核心には迫らないように、バッドエンドを迎えます。
もちろん個別ルートを語っているので、各キャラごとの見せ場はあるのですが、それを踏まえてもただの尺稼ぎに見えました。
各ルートのプレイ時間は1時間以下で大した中身もない。
しかも強制で挟まれるので、テンポが悪くなり、本筋の物語の邪魔になっています。
もう少し、独立した物語として作りこんで欲しかった。
2.いてもいなくても変わらないオリキャラ
本作には原作には出てこないオリキャラが存在します。
主人公の幼馴染で国民的なアイドルというなかなかの存在感ですが、こちらも微妙です。
魅力こそありますが、もともといなかったキャラを無理やり追加したため、物語上いてもいなくても変わらない立ち位置になっています。
それは仕方がないとしても、前述したとおり個別ルートもさほど作りこまれていないので、これも蛇足でしかないのが残念です。
3.エピローグは内容的には良いが、これだけを楽しみにするには弱い…
本作では特定条件を満たすとエピローグを見ることができます。
このエピローグですが、各キャラの魅力を深堀するものになっていて面白いです。
ただ、非常に短い…
どれも30分もないくらいボリュームですし、これだけを楽しみに購入する価値はないでしょう。
こういう深堀を個別ルートでやって欲しかったですね。
全ルートクリアまで13時間。価格に見合った価値はあるのか
本作の筆者のプレイ時間は13時間ほど。
お伝えした通り、基本的にアニメと同じ内容を見つつ、尺稼ぎも含めてこの時間になります。
筆者はサクサク読み進めていくほうなので、もう少し時間はかかるかもしれませんが、少なくともフルプライスの価値がある作品には感じませんでした。
価格に見合った価値があるかは人それぞれだとは思いますが、値段的にも良く検討する必要があるかもしれません。
本作をオススメしたい人
アニメや漫画を見たことがない人
何度も言うように内容としては面白いです。
魅力的なキャラたちと目が離せない展開は本作でも楽しむことができます。
MAGES.のゲームということもあってUI面では特に不満もなかったです。
アニメを元に丁寧にゲーム化されているため、こちらでプレイしてもそれなりに楽しめると思います。
アニメや漫画を見たことなければこちらで購入するのもありかもしれません。
とんでもなくサマータイムレンダのファンな人
前述したとおり少ないですが、オリジナル要素はあります。
それらを求めて購入するという選択もありでしょう。
総評:アニメや漫画を見たことない方であれば楽しめる
いかがだったでしょうか。今回は『サマータイムレンダ Another Horizon』の評価・レビューを紹介しました。
アニメを元にして作っており、大筋がアニメと変わらないのに劣化しているというのはどうしてもマイナスポイントです。
加えてオリジナル要素の多くが尺稼ぎのものが多いため、アニメを紙芝居にして、主人公のボイスを取り除き、余計なものを間に挟んだというのはどうしても感じてしまうんです。
個人的に一番残念だったのが、個別ルートです。
魅力的なキャラがいるのだから作りこんでくれれば、それだけで本作ならではの十分な魅力になったのに…
私自身サマータイムレンダは大好きな作品なのですが、原作ファンとしてはちょっと残念な内容でした