今だからこそプレイしたい!『テイルズオブエクシリア』の魅力

レビュー
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こんにちは。ヤマザキです。

今回は、2011年にPlayStation 3で発売された「テイルズ オブ」シリーズの第13作目、『テイルズ オブ エクシリア』のクリア後の評価・感想・レビューになります。

この記事では「往年の名作を今プレイしたらどう感じるか?」という視点から、本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。

この記事はこんな人におすすめ!
  • 仲間との共闘間の強いバトルシステムを楽しみたい方
  • 自由度の高いキャラクター育成を楽しみたい方
  • 癖がありつつも、個性豊かな仲間たちの物語を楽しみたい方

※本記事では、できる限りネタバレは避けていますが、気になる方はご注意ください。

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はじめに

『テイルズ オブ エクシリア』は、シリーズ15周年記念作品として2011年にPlayStation 3で発売されたRPGです。ハードを新世代機に移したことでグラフィックは飛躍的に進化し、ufotable制作の美麗なアニメーションも相まって、当時大きな話題を呼びました。そして来る2025年10月30日、待望の現行機向けリマスター版が発売が発表されています。今回はその発売に先駆け、本作がどのような作品だったのかを改めて振り返ってみたいと思います。

物語は、心優しき医学生「ジュード」と、精霊の主を名乗る謎の女性「ミラ」の二人の視点で描かれる「W主人公制」が特徴です。
そんな本作をクリアした結論から言えば、「多くの輝かしい長所を持ちながらも、シナリオなど一部の欠点によって傑作になりきれなかった、非常に惜しい作品」でした。

グラフィックの進化や、仲間との共闘感を強く味わえるバトルシステムは素晴らしく、魅力的な部分も数多くあります。しかしその一方で、終盤の描写不足の物語展開、機能不全のW主人公システム、そしてシリーズとしては物足りないボリュームなど、欠点が多いのもまた事実です。決して悪い作品ではないものの、手放しで絶賛するにはためらいが残る。それが私の正直な感想です。

今回は、そんな本作の素晴らしい魅力と、リマスター版で改善されていることを願いたい課題点について、詳しく見ていきましょう。

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『テイルズオブエクシリア』の魅力

ここからは本作の魅力について、見ていきましょう。

その1:仲間との“共闘感”を追求した、爽快なバトルシステム

『テイルズ オブ エクシリア』のバトルシステムは、「DR-LMBS(ダブルレイド-リニアモーションバトルシステム)」と称されています。

基本は、これまでのシリーズと同様に、操作キャラクターと敵を結ぶラインを軸に戦うアクションバトルでありつつも、3Dフィールドを自由に駆け巡りながら、ボタン一つで多彩な術技を繰り出し、爽快なコンボを繋げることができます。そして本作では、そのシステムをさらに進化させ、特に仲間との連携(共闘感)に焦点が当てられているのが最大の特徴です。

本作の核!パートナーと連携する「リンク」と「共鳴術技」

仲間との連携を感じられる一番の要素が「リンクシステム」です。

戦闘中にいつでも仲間の一人と「リンク」することができ、リンクしたパートナーはプレイヤーの背後を守ったり、敵を挟み撃ちにしてくれたりと、二人一組で連携して戦うようになります。
さらに、リンク中に特定の術技を繋げると、ド派手な演出と共に強力な「共鳴術技(リンクアーツ)」が発動。これを繰り返すことで、最終的には「秘奥義」へと繋げることも可能で戦闘における非常に重要な役割を果たしていました。

この「リンク」と「共鳴術技」は、仲間と共に戦っているという“共闘感”を格段に上げてくれるものになっていて、非常に楽しむことができ、本作のバトルにおける最大の魅力だと感じました。

ゲージ管理と、便利な「オートアイテム

戦闘では、行動回数に関わる「AC」と、術技の使用に必要な「TP」という2つのゲージを管理します。

一見複雑に思えるのですが、戦闘中のリソース管理の負担はそれほど大きくありません。本作には従来のシリーズと同様に仲間ごとに行動指針を指示する作戦を設定できます。エクシリアでは作戦と一緒に、立ち位置を指定する隊列と仲間がアイテムを自動で使うタイミングを指定できるオートアイテムという機能があります。オートアイテムは「HPが50%以下になったら自動で回復アイテムを使う」といった内容で指定ができ、これによりアイテムさえあれば、仲間が即座にサポートしてくれます。

そのため、あらかじめ戦術を見定めておくことで、プレイヤーは純粋にアクションに集中できるようになっています。戦闘前の戦略性を上げ、戦闘中の負担を減らすうまい仕組みだと感じました。

その2:自由度が非常に高い、ユニークな成長システム

本作は、キャラクターの成長システムも非常にユニークで、高い自由度を誇ります。

自分だけの成長ルートを切り開く「リリアルオーブ」

本作の育成の核となるのが、「リリアルオーブ」システムです。

いわばスキルツリーのようなシステムで、円状に配置されたマスを解放し、繋げていくことで、キャラクターのステータスを強化したり、新たな術技を習得したりすることができます。
どの能力から伸ばしていくかはプレイヤーの自由。一つのエリアを全て埋めるとボーナスが得られるなど、やりこみ要素もあります。また、一括で自動的にマスを解放する機能もあり、快適性への配慮も万全だった印象です。

SPを割り振る、戦略的なカスタマイズができる「スキル」

本作では、成長具合に応じて、スキルを習得します。

スキルは、SP(スキルポイント)というコスト割り振られており、自身の所持するSP量の中で、効果のオン/オフに切り替える仕様になっています。限られたSPの中でどのスキルを有効にするか、プレイヤーは常に取捨選択を迫られます。この戦略性の高さが、キャラクタービルドの面白さに繋がっていました。

こちらについても、「攻撃重視」「防御重視」といった大まかな方針で自動設定することも可能で、複雑なシステムながらも親切なサポートが用意されている点は、非常に良いと感じました。

素材納品で店を発展させる楽しさをもつ「ショップ」

本作のショップは、ただ買い物をするだけの場所ではありません。

フィールドで集めた素材を納品することで店のレベルが上がり、品揃えが豪華になったり、商品が割引されたりします。どの店のレベルから優先的に上げていくか。この「店を育てる」という感覚が、探索のモチベーションにも繋がる、非常に面白く独自性のあるシステムでした。

その3:W主人公で描かれる、世界を揺るがす壮大な物語

本作の物語は、人間と精霊が共存する世界「リーゼ・マクシア」を舞台に繰り広げられます。

精霊の主を名乗る謎の女性「ミラ=マクスウェル」と、ごく普通の医学生「ジュード・マティス」。本来なら交わるはずのなかった二人が出会い、共に追われる身となって町を旅立つところから、壮大な冒険は始まります。
精霊やマナといった独自の世界観の中で、二つの大国間の思惑や、仲間たちとの葛藤が入り混じる展開は、非常に引き込まれるものがありました。

そして本作の大きな特徴が、ジュードとミラの視点を選んで物語を進める「W主人公制」です。
ゲーム冒頭でどちらの主人公を選ぶかによって、一部のイベントやゲームの進行が変化するため、物語を異なる側面から楽しむことができます。

PS3になったことでグラフィックも飛躍的に進化し、キャラクターの表情や世界のディテールがより豊かに描かれるようになりました。その高い解像度が、この王道な物語への没入感をさらに高めてくれていました。

その4:個性的で忘れられないキャラクター

本作のパーティメンバーもまた、非常に個性的で忘れられないキャラクターばかりです。

引っ込み思案でどこか頼りない主人公ジュード。精霊の主であるがゆえに、どこか人間離れした感性を持つヒロインのミラ。常に飄々としているが、その裏で何かを企んでいる傭兵アルヴィン。本音がダダ洩れの人形ティポを連れた気弱な少女エリーゼ。歴戦の老兵でありながら、今は執事として働くローエン。そして、ジュードの元気な幼馴染レイア

見事にバラバラで、一筋縄ではいかない彼らが織りなすドラマは、本作の大きな魅力となっていました。最初は共感しにくいと感じるキャラクターもいるかもしれませんが、物語を通じて彼らの葛藤や成長を知るうちに、きっと愛着が湧いてくるでしょう。

そして、この個性的なキャラクターたちに生命を吹き込んでいるのが、超豪華な声優陣です。ミラ役の沢城みゆきさん、アルヴィン役の杉田智和さん、レイア役の早見沙織さんをはじめ、実力派声優たちの熱演が、物語への没入感を飛躍的に高めていました。

その5:ufotableが描く、息をのむほど美しいアニメーション

本作を語る上で、ufotableが手掛けるアニメーションの素晴らしさは外せないと思っています。
オープニングから作中に挿入されるムービーまで、そのクオリティは10年以上経った今見ても全く色褪せず、現代のアニメと比較してもトップクラスです。

この美麗なアニメーションが、ゲームの随所に挿入されることもあり、ゲームへの没入感を高めてくれていました。特にオープニング最初の風が吹き荒れる演出は、個人的にとても印象に残っています。

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気になった・知っておきたいポイント

その1:終盤における、説明不足と唐突な展開

本作のシナリオ、特に終盤の展開は、致命的にも思える説明不足によって、その評価が大きく分かれています。
※ここからの内容は物語におけるネタバレを含みます。

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主に第四章以降、物語は唐突な急展開の連続となります。専門用語が多用される上に、重要な出来事がダイジェストのアニメーションだけで描かれるなど、説明が不足している箇所がちらほら。まるでアニメの1話分を丸ごと飛ばしてしまったかのような感覚で物語が進むところもあり、多くのプレイヤーが置いてきぼりにされてしまった部分は否めません。

そのうえで、ラスボスとの対立構造には大きな疑問が残りました。敵側の主張の方がよほど筋が通っているように見え、なぜ主人公たちが戦わなければならないのか、その展開に感情が追いつかず、消化不良な印象を残しました。

そして、シリーズとしてはボリュームが少ない点もよく指摘されるポイントです。筆者のクリア時間はジュード編で約25~30時間。やりこみ要素も少ないため、どうしてもボリューム面は気になるところです。

その2:一部キャラクターへの感情移入の難しさ

魅力的な仲間たちが登場する一方で、一部の主要キャラクターについては、その描き方によって好みが大きく分かれると感じました。

例えば主人公のジュードは、優しさ故に決断力に欠け、行動指針が常にヒロインのミラにあるため、プレイヤーによっては頼りなく、イライラしてしまうかもしれません。また、とある別の仲間は作中で何度も裏切りを繰り返しますが、その動機付けの描写が薄いため、彼の行動に納得できず、好きになれないという方も多いと思います。

これらの問題は、しっかりとした描写があれば、印象は大きく変わる部分とも感じており、キャラクターのポテンシャルは高いだけに、描写不足が非常にもったいないと感じました。

その3:機能を活かしきれていない「W主人公システム」

そして、本作の物語が抱える描写不足の問題を、さらに深刻にしているのが「W主人公システム」です。

ジュードとミラの視点を選べるものの、体感シナリオの7~8割程度は共通であり、プレイ体験にほとんど差はありません。それにも関わらず、一方の視点でしか描かれない重要なイベントが存在するため、物語の全体像を理解するには両方の視点をプレイする必要があります。特にミラ編は、ジュード編の補足としての役割が強く、最初にミラ編を選んでしまうと物語についていけなくなるなんてことも。
そのうえで、これだけ内容が重複していると、シナリオのために、2周目をプレイするモチベーションを維持するのもなかなか難しいと感じました。

結果として、W主人公制に固執せず、一つの物語の中で視点を切り替える方式にしていれば、より満足度の高いシナリオになったのではないかと、少し残念です。

補足:待望のリマスター版が発売決定!

本作『テイルズ オブ エクシリア』は、シリーズ30周年記念プロジェクトの一環として、2025年10月30日に現行機向けのリマスター版が発売されることが決定しました。

リマスター版では、グラフィックが高解像度化されるだけでなく、目的地表示機能の追加など、現代のゲームに合わせて遊びやすさが向上するようです。

快適性については大きな進化が期待でき、これからプレイされる方は、ぜひこちらのリマスター版の購入を強くお勧めします。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、『テイルズ オブ エクシリア』のレビューをお届けしました。

仲間との共闘感を味わえるバトルシステム、自由度の高い育成要素、そしてufotableが描く美麗なアニメーション。本作には、間違いなく光る部分が数多くありました。
しかしその一方で、終盤の描写不足や機能不全のW主人公システムなど、物語の根幹に関わる課題を抱えているのもまた事実です。

「傑作」と手放しで賞賛することはできませんが、その美しいグラフィックと爽快なバトルは、一度体験してみる価値があると思っています幸いにも、遊びやすさが向上したリマスター版の発売も決定しています。この記事を読んで、本作に興味を持たれた方は、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

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