【OMORI】クリアレビュー・評価|どんな作品よりもよりも心に残る名作

レビュー
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こんにちは。ヤマザキです。

今回は『OMORI』の評価・感想・レビューになります。

この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
気になる方は購入の参考にしてみてください。

本記事では、多少のネタバレを含んでいます。
本作は事前の説明がほとんどないため、どうしても作品を説明するうえでネタバレを含んでいます。本作は何も知らない状態でプレイしたほうが新鮮な感情を得られる作品になっており、すでにプレイを決めている方は今すぐプレイすることをお勧めします。

この記事はこんな人にオススメ!
  • 『OMORI』がどんなゲームか知りたい方
  • 『OMORI』の評価・感想が知りたい人
  • 『OMORI』を購入しようか迷っている人
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はじめに

OMORI』は、アメリカのインディゲームスタジオ「OMOCAT」が開発し、2022年6月17日にNintendo Switchで発売されたRPGです。2Dの見下ろし視点と独自のストーリーテリングが特徴となっており、プレイヤーはうつ病で引きこもりがちな主人公「オモリ」を操作し、夢と現実の世界を行き来しながら冒険を進めます。

本作のテーマは「鬱」と「死」
基本的には2D視点のオーソドックスなゲームプレイながらも、ホラー要素ときつめの内容が含まれており、独特の雰囲気を醸し出しています。

本作の評価を一言で表すのであれば、すごく怖いが、何よりも多くの感情を与えてくれる名作と言えるでしょう。
独創な世界観、感情を考慮して戦うバトルシステム、夢と現実の世界の冒険を通して描かれる、1人の人間の後悔とトラウマ、そことどう向き合い、今後の人生をどう生きていくかを考えさせる深いテーマのストーリー体験はあまりにも完成度が高いものでした。何より心に残る作品になっており、ぜひ1度はプレイしてほしい作品になっています。

今回はそんな「OMORI」の魅力と注意してほしいポイントについて語っていきますので、興味がある方はお付き合いください。

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ゲームシステムについて

ゲーム性は昔ながらの2D見下ろし方のRPG

本作は見下ろし方の2D視点を採用しており、プレイヤーは主人公である「オモリ」を動かしながら、夢の世界を冒険することになります。夢の世界では多くのが登場し、それらを倒しつつ、ダンジョンを攻略しつつ物語を進めていくことになります。RPGらしく敵を倒すことでレベルが上げ、戦闘のスキルなどを獲得し、強化していく昔ながらのRPGのゲーム性が踏襲されています。

夢の世界では、主人公(オモリ)の他に、ケル、オーブリー、ヒロの3人の仲間と共に行動することになります。それぞれのキャラの特徴も攻略の鍵になっていてリーダーに設定することで探索に役立つスキルを使用でき、キャラを切り替えつつギミック攻略していく楽しみもあります。

正直、2024年にやるには、不親切な設計も多く、遊びづらいと感じてしまう部分もあるのですが、基本的に違和感なく楽しめると思います。開発者の方が日本のゲームやアニメに影響を受けたと語られていて、ゲーム性やビジュアル面についても、良い意味で海外のゲームという感じせず、日本人が親しみやすいものになっていました。

不思議で独創的な世界観の魅力

なんといっても一番に目につくのが独創的なビジュアルだと思います。

特に夢の世界では一貫してふわふわとした不思議なタッチで描かれており、その魅力が目につきやすい部分かと思います。夢の世界での冒険で登場する場所も個性豊かな不思議な場所が多く、宇宙基地やお姫様の城、クジラの中など、様々です。特に戦闘時の敵のビジュアルはそれぞれのステージに合わせて個性豊かな敵が起り、各敵の魅力もさることながら、その独特のタッチが全体の世界観の解像度を上げるのに一役買っています。

加えて、色の使い分けにも注目したいです。

夢の世界では蛍光色が多めの幻想的な世界が広がっていましたが、現実世界では普通の色使いが使われています。他にも黒と白しかない圧迫感を感じさせる表現や、場面に合わせて色を切り替えて、プレイヤーを物語に引き込みやすくしたり、巧妙に色を使い分ける場面が散見されました。この色という要素はゲームの独特な雰囲気を作り出し、プレイヤーを物語の世界へと引き込む重要な要素となっていました

音楽の魅力

また、本作が音楽がすごいです…

場に合わせて表現される音楽はストーリーの魅力と相まって、プレイした人の印象に強く残ります。実際、世間的にもかなり評価されており、コンサートなども開かれているみたいです。筆者はプレイし終わってから「my time」と「DUET」をずっと聞いています。クリアした後には音楽を聴くだけで、シーンが鮮明に思い出せるようになると思うので、ぜひ聞いてみてほしいです。

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バトルについて

感情を活かして戦う戦闘システム

本作の戦闘システムはターン性のコマンドバトルになっています。

4人の行動をあらかじめ決定するとそれ従ってバトルが進行します。通常攻撃とMPを消費するスキルがあり、これらを使い分けながら戦います。

一番の特徴が感情というシステムでしょう。

「にこにこ」「いらいら」「しょんぼり」といったものがあり、スキルや持ち物によって自身や相手の感情をコントロールすることができます。感情は画像のようにさんすくみの関係になっており、これをコントロールすることで、戦況を有利が進めることができるのです。

それもあってか、バトル時のビジュアルも敵を中央に4つのすみにキャラの表情が並ぶようになっていて、かなり独特ですよね…。BGMも相まって独特の世界観をここでも表現してきていて、びっくりしました。

ただ、テンポはあまりよくありません。
4人の行動を入力し、その後入力した行動と敵の行動が行われるのを見守るというゲーム性からこちらが待っている時間が多く、退屈に感じてしまうこともあります。

現実世界での感情は別の意味を持つ

この戦闘システム、現実でも同じシステムで戦闘する場面があるのですが、その際「感情」というキーワードは別の意味を持つことになります。

現実世界での戦闘は、夢の世界のような戦略性があるものではなく、いわばイベントバトルがほとんどです。しかし、感情という枠があるおかげで、どういう感情で何と戦うのかを主人公のその時感情が伝わるようになっています。特にそれを感じるのが、「恐怖」の演出で、ストーリーを表現するうえで非常に重要な意味を持つ要素になっていました。バトルシステムの特徴をストーリーの表現に活かしてくる部分はすごいと感じます。

ストーリーについて

「鬱」と「死」あまりにも重いテーマとその描き方

ここまでいくつかの『OMORI』という作品の魅力について、語ってきましたが、本作の一番の魅力はそのストーリーにあると思っています。

前述したように本作はうつ病で引きこもりの少年を主人公とし、ストーリーが進んでいきます。そのテーマ上、どうしたって話はずっと重たいです。「なぜ主人公が引きこもりになってしまったのか」「過去のトラウマとは」そういったテーマを深く描くうえでどうしてもつらいシーンも多く存在し、プレイするのに疲れてしまうかもしれません。

ただ、それ以上に本作は、優しい作品であると感じています。詳しくは言うことはできないのですが、RPGとしてのゲーム体験を通して、1人の人間が抱えきれない後悔とトラウマと向き合い、懸命に生きていくそのストーリーには心が打たれるものがありました。

そしてそれを支えるのが、プレイヤーが主人公に感情移入し、ストーリーに対して没入していく仕掛けの数々だと感じていて、その点について、紹介したいと思います。

全てを説明せず、ゲーム体験で理解させるストーリー

本作はストーリーが良いと伝えてきましたが、そのストーリーというのは「文章として読む」ものでも、「映像作品として見る」ものでもありません。本作は「RPGとしてプレイヤーが体験する」ストーリーが意識されており、これが圧倒的なストーリーの魅力につながっていると感じています。

ゲームとして体験させるストーリーとして、一番わかりやすいのが、夢の世界です。

夢の世界と呼称していますが、現実の世界に行く前に、この夢の世界を冒険することになるため、ここが夢の世界であるという情報はない状態で物語が進みます。「不思議な世界の謎」や「世界の中で、なぜ主人公だけが白黒なのか」「一緒に冒険している仲間たちは誰なのか」「随所のホラー演出の謎」など謎が展開されていくと思います。

しかし、これらの謎はRPGとして攻略を進めていく中で、解消されていきます。例えば、オモリがベッドから起き、現実世界を探索するときに、あの世界が現実ではなかったことに初めて気づきますし、夢の世界で一緒に冒険していた仲間たちの現実世界での変わりはてた姿を見て、夢の世界は主人公が理想とする過去の思い出でしかなかったことに気づくのです。

このようにRPGとして体験した謎が、RPGとしての攻略の中で見つかるようになっていて、非常に面白いですよね…特に夢の世界に関しては、主人公の心の中を表しているため、夢の世界での冒険を通して、後のストーリーにつながる伏線や主人公の内面の深い部分を理解できる仕組みになっていたのはとても良かったと思います。

何よりこういったストーリーテリングが非常にうまく、自然とのめり込んでプレイしてしまうと思います。

ホラー演出の使い方

また、ホラー体験に関してもとてもプレイヤーが感情移入の要素として使われています。

主人公は過去にきつめのトラウマをかかえています。その過去のトラウマに対する恐怖がホラー要素として表現されており、これがめちゃくちゃ怖いです。しかし、この恐怖が主人公(オモリ)が感じる恐怖とリンクしているので、自然とストーリーに感情移入してしまうのです。この恐怖を超えて、トラウマと向き合わないと前に進めないというのがプレイヤーにも分かるからこそ、よりストーリーに没入していく要素にもなっているのです。

失った記憶を思い出す、アルバムを修復するゲーム体験

また、もう1つ、ストーリーを活かすゲーム体験として好きな部分を紹介します。

ストーリーを進める中で随所に、アルバムを埋めるというゲーム体験を求められます。
アルバムは1つ1つの写真にイラストと文章が用意されており、非常に作りこまれているのが分かります。バラバラに散らばった写真を1つ1つの写真をピースのようにアルバムに埋め込んでいくのですが、これが非常に印象に残るのです。

この体験は過去の思い出を振り返っていくという行為になっていて、主人公が「逃げていた過去と向き合う」という行為でもあるんです。「過去の思い出に対するなつかしさ」や「思い出したくない記憶に対する恐怖」、「もう2度と起こりえない過去の幸せに対する後悔と切なさ」など、その1つの体験だけで色々な感情が表現されており、必然的にプレイヤーの心にも残ってしまうと思います。

本作のエンディングについて

ネタバレありのちょっとした感想になります。

※物語の重要なネタバレを含むため注意してください。

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本作のグッドエンディングは、主人公がみんなに真実を打ち明ける場面で終わるというもので、それから先はプレイヤーの創造に任せるというものでした。

このエンディングめちゃくちゃ良いですよね・・・
マリはもう2度と生き返ることはないし、完全なハッピーエンドもありえない状況で、打ち明けても許してもらえるのかは疑問が残ります。ただ、何より好きなのが、サニーが前を向いて一歩を踏み出したという点です。

今までのサニーは自身のやったことの苦しみに耐えかねて、現実逃避して何とか生きていた状況でした。決して、前に進むことはできず、1人でずっと苦しみ続けるような印象でした。そんなサニーが自身のしてしまったことを受け止めて、前を向いて生きていくのを決めたのは本当に感動しました。

何よりそれが描かれるホワイトスペースでのマリとのデュエットのシーン。自身のトラウマの象徴であるバイオリンを持って、オモリと戦い、姉との思い出をかみしめながら演奏する姿は心に来るものがありました。あれはさすがに泣く… 
そして最後にお辞儀をして、扉の向こうへ行くサニー。これはオモリに対するお辞儀なのか、できなかった演奏を終えることで、自身の過去のトラウマと決別するという意思表示の意味なのか、はたまたプレイヤーに対するお辞儀なのか、分かりませんが、あまりにも熱いですよね。

これまでゲーム体験を通して、プレイヤーはサニーの苦しみが痛いほどわかっていますし、自殺してしまったエンディングでも「あんなの抱えきれないよな…」という気持ちすらありました。そんな中であの過去と決別し、姉との思い出を背負って生きていく覚悟を決めたエンディングは、好きすぎました…

ここまで感動したゲームは今までにプレイしたことないですし、本作に巡り合えたことに感謝ですね。

どんな作品よりも心に残るそんな作品

ここまで述べてきたように本作は、ゲーム体験を通してうつ病の主人公のトラウマ・後悔・苦しみを色々な体験をどこまで伝えようとしてきます。これらの体験は、悲しい出来事だらけですが、主人公の感情をどこまでも理解させるからこそ、本作はどんな作品よりも展開に感情移入してしまう作品になっていますし、それこそが本作最大の魅力なんだと感じています。

だからこそ、本作はどんな作品よりも心に残るそんな作品だと思うのです。

気になる方はぜひプレイしてみてください。

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