こんにちは。ヤマザキです。
今回は、2012年にPlayStation 3で発売された「テイルズ オブ」シリーズの第14作目、『テイルズ オブ エクシリア2』のクリア後の評価・感想・レビューになります。
この記事では「往年の名作を今プレイしたらどう感じるか?」という視点から、本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
- 前作『エクシリア』のキャラクターたちのその後が気になる方
- 重厚で、心に突き刺さるような陰鬱で評価の高い物語を求めている方
- 前作からパワーアップしたバトルシステムを楽しみたい方
※できる限りネタバレは回避していますが、気になる方は注意してください。
はじめに
『テイルズ オブ エクシリア2』は、前作『エクシリア』から1年後の世界を描く正統続編として、2012年にPlayStation 3で発売されたRPGです。シリーズでも珍しい「喋らない主人公」と、プレイヤーの「選択」が物語を大きく左右するシステムが特徴的な作品です。
物語は、ごく普通の青年ルドガーが、ある事件をきっかけに2000万ガルドという莫大な借金を背負わされ、世界の命運を賭けた大きな陰謀に巻き込まれていくところから始まります。
そんな本作をクリアした結論から言えば「シリーズ屈指の陰鬱さを誇る重厚な物語と、前作から洗練されたバトルシステムが融合した、心に深く刻まれる傑作」でした。
そのシナリオは、歴代シリーズの中でも特に高い評価を得るほどの完成度を誇ります。しかし、前作からわずか1年後の発売ということもあり、マップの使い回しが目立ったり、あまりにも陰鬱な物語の展開に戸惑ったりと、人を選ぶ側面があるのもまた事実です。
今回は、そんな本作の素晴らしい魅力と、気になったところについて、詳しく見ていきましょう。
『テイルズ オブ エクシリア2』の魅力
ここからは本作の魅力について、見ていきましょう。
その1:陰鬱だが、だからこそ心に響く物語

本作の物語は、前作『エクシリア』から1年後。主人公ルドガー・クルスニクが、就職に失敗し、痴漢に間違われ、女の子を助けようとして、さらには2000万ガルドという莫大な借金を背負わされるという、まさにどん底の展開から始まります。ここからさらに大きな陰謀に巻き込まれていくことになります。

本作の物語で最も印象的なのが、その圧倒的な「陰鬱さ」です。
中でもそれを象徴するのが、「分子世界」という設定です。
「分子世界」とは、本編の世界(正史世界)から分岐した、“あり得たかもしれない、もう一つの未来”のことです。そこには、正史世界では救えなかった人々が生きていたり、あり得たかもしれない幸せな日常が存在します。
しかし、分子世界は正史世界の存続を脅かすため、ルドガーたちはそれを自らの手で破壊しなければならなくなります。あり得たかもしれない幸せな未来を消し去っていくその過程は、非常に重く、心をえぐられるような体験でした。このどうしようもない悲劇性こそが、本作の物語に深い奥行きを与えているのです。
選択肢システム

そして、この重厚な物語への没入感を高めているのが、随所で発生する「選択肢」です。
序盤こそ他愛もない選択ですが、物語が進むにつれて、プレイヤーは「そんなの選べるか!」と言いたくなるような、重大な決断を迫られます。このプレイヤー自身の「選択」が物語の結末を大きく左右するため、一つ一つの決断には常に重みが伴いました。
陰鬱で、悲しい。しかし、だからこそ心に深く刻まれる。そんな唯一無二の物語体験が、本作にはありました。
その2:前作の不満を解消する、丁寧な「キャラクターエピソード」

また、本作では仲間たちの内面が非常に丁寧に描かれている点も、大きな魅力です。
パーティメンバーの多くは前作『エクシリア』からの続投となりますが、前作で指摘されていた「キャラクターの描写不足」という不満点は、本作で完全に改善されています。
その中心となるのが、各仲間に用意された「キャラクターエピソード」です。
これは、仲間一人ひとりに焦点を当てたサイドストーリーで、それぞれが4~6話構成という、非常にリッチなボリュームになっています。フルボイスのイベントはもちろん、専用のダンジョンやボス戦が用意されていることもあり、その作り込みは圧巻の一言です。
各エピソードでは、それぞれのキャラクターが抱える悩みや葛藤、そしてそれを乗り越えて成長していく王道の展開が描かれます。これにより、前作では感情移入しにくかったキャラクターも、本作を通じて深く理解し、好きになれるものになっていて、非常に良いシステムだと感じました。
その3:洗練されたバトルシステム

本作のバトルシステムは、前作『エクシリア』で好評だった要素をベースに、さらに洗練されたものになっています。まず、新主人公であるルドガーのアクションが非常に多彩です。
「双剣」「ハンマー」「双銃」という3種類の武器を戦闘中に瞬時に切り替えながら戦うことができ、状況に応じた立ち回りが求められる面白さがありました。
また、個人的に嬉しかったのが、仲間AIの挙動が大幅に改善された点です。前作では意図しない行動を取る仲間が目立ちましたが、本作では作戦通りに的確に動いてくれるようになり、共闘感が増していました。
共鳴術技が出しやすく
前作の核であった「共鳴術技」も、遊びやすく進化しています。
前作では特定の術技の組み合わせでしか発動しませんでしたが、本作ではどの術技からでも連携が可能になりました。これにより、リンクする仲間を気にすることなく、気軽に共鳴術技を狙えるようになり、戦闘の爽快感が大きく向上しています。
変身能力「骸殻(がいかく)」

さらに、ルドガーはゲージを溜めることで、強力な変身能力「骸殻(がいかく)」を発動できます。
一定時間、無敵状態で敵を圧倒できるこの能力は、強敵との戦いにおける重要な切り札となるでしょう。
これらの改善と新要素により、前作以上に爽快で戦略的なバトルが楽しめるようになっていました。
その4:「借金システム」が促す、寄り道の楽しさ

本作には、物語序盤で背負った莫大な借金を、定期的に返済していく「借金システム」が存在します。このシステムには問題点もありますが、プレイヤーに寄り道を促すという、一つのポジティブな側面もありました。
本作では、各章の合間に、一定額の借金を返済しないとメインストーリーが進められない期間が設けられています。お金を稼ぐためには、自然とサブクエストやキャラクターエピソードに挑戦したり、ダンジョンを隅々まで探索したりする必要が出てきます。
一見すると強制的な足止めですが、本作は寄り道要素の作り込みがかなり丁寧です。このシステムのおかげで、普段はメインストーリーだけを進めがちなプレイヤーも、仲間たちの魅力的な物語や、世界の新たな一面に触れる良いきっかけになっていたと感じました。
その5:目的地表示とダッシュの追加による、快適性の向上

最後に、前作から改善された快適性についても触れておきましょう。
まず特筆すべきは、本作でメインストーリーやキャラクターエピソードに「目的地表示」機能が追加された点です。今でこそ当たり前の機能ですが、これにより「次にどこへ行けばいいか分からない」というストレスがなくなり、快適性は格段に向上しています。
また、フィールドを高速で移動できる「ダッシュ」が追加されたことも、大きな改善点と言えるでしょう。前作では移動の遅さがテンポを削いでいた部分もありましたが、ダッシュのおかげで、よりスピーディーに冒険を楽しめるようになりました。
これらの改善が、本作の遊びやすさを大きく支えていました。
気になったところ・不満点
ここからは本作をプレイしていて気になった点と、これからプレイしようと考えている方に留意してほしいポイントをご紹介します。
その1:没入感を削いでしまう「借金システム」の課題

本作最大の賛否を呼んだ点が、この「借金返済システム」です。
寄り道を促すという良い側面はありましたが、ストレスも感じてしまいました。まず、「借金」というリアリティのある設定に、どうしても陰鬱で暗い冒険という印象を持ってしまいます。
さらに致命的なのが、高頻度で発生する「強制取り立て」です。
一定金額を上回っていると、エリアを移動するたび、イベントが終わるたびに返済画面が強制的に表示され、1ガルドでも納めるまで閉じることができません。メインストーリーを進めるために必要な返済額とは別に、ただお金が貯まったというだけで発生する仕様になっていて、洗練されていないと感じます。個人的には語への没入感を損なっていた要因とも感じました。
その2:「喋らない主人公」への違和感

本作の主人公ルドガーは、シリーズでは珍しい「喋らない主人公」です。
プレイヤーが選択肢を選ぶことで、彼の意思を示すという意図は理解できるのですが、リアルな3Dグラフィックの中で一人だけ喋らない姿には、どうしても違和感が拭えませんでした。また、回想シーンでは普通に喋っているため、設定の一貫性にも疑問が残ります。物語の伏線としての役割もあったのかもしれませんが、従来のシリーズのように喋る主人公の方が、より感情移入できたのではないかと感じてしまいます。
その3:否めないマップの使い回し感

本作の舞台は前作と同じ世界であるため、訪れる町やダンジョンのほとんどが前作からの流用です。
前作からわずか1年という短い期間でこれだけのボリュームを実現したことは素晴らしいですが、前作をやり込んだプレイヤーほど、新鮮な冒険という感覚は薄く、作業的に感じてしまう場面があるかもしれません。
その4:現行機では遊べない、プレイハードルの高さ
そしてもう一つ、非常に重要な留意点があります。本作は現行機で遊ぶことができません。そのため、プレイするための物理的なハードルが非常に高くなっています。
そのため、本作を遊ぶには、PlayStation3本体を揃える必要があります。
(※筆者は今回、そのためにPS3本体を購入しました。)
2025年現在「テイルズ オブ」シリーズのリマスタープロジェクトが進んでいることもあり、本作が現行機で遊べる日もそう遠くないかもしれません。これほどの人気作が埋もれているのは非常にもったいないので、移植を気長に待つのも一つの手でしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、『テイルズ オブ エクシリア2』のレビューをお届けしました。
陰鬱な物語や強制的な借金返済など、確かに人を選ぶ要素はあります。しかし、その重く切ない物語だからこそ描ける感動は唯一無二のものでした。バトルシステムは洗練され、遊びのボリュームも格段に増しており、RPGとして非常に面白い作品であることは間違いありません。
発売から時間が経った今だからこそ、その物語の深さが再評価されるべき点も多いと感じます。前作『エクシリア』のリマスター版も発売されることですし、この2作セットでこの壮大な物語を体験してみてほしいです。
気になった方は、プレイを検討してみてはいかがでしょうか。


