美しくも不穏な人形劇の世界で、師匠を殺した犯人を追う推理アドベンチャー『KILLA』。今回はSteamの体験版をクリアしたので、独特なビジュアルや物語の魅力、遊んで気になった点を紹介します。
結論から言えば、人形劇を思わせる見せ方と、先を知りたくなる物語に強い魅力のある作品でした。探索や仕掛けを通して物語に関わる感覚が面白く、1時間弱の体験版ながら、師匠の死の謎と主人公の行く末に引き込まれました。
一方、セーブ周りでは操作に迷い、進行できなくなる場面もありました。演出のこだわりを楽しめたからこそ、安心して遊ぶための操作案内や安定性は、製品版に向けて改善を期待したいところです。
✓特徴: 人形劇のような世界を探索し、師匠を殺した「ラ」を追う推理アドベンチャー。
✓良かった点: 自分で劇を進める仕掛け、美しいビジュアル、続きを知りたくなる物語。
✓気になった点: 言語選択やセーブの操作など凝りすぎたUIが分かりづらく、プレイ中に進行が止まる場面もあった。
✓向いていそうな人: ダークな物語やミステリー、演出に個性のあるADVを楽しみたい人。
はじめに
『KILLA』は、PC(Steam)向けに発売予定の3D推理アドベンチャーゲームです。開発は韓国のケンキツ団(Black Tangerine)が担当し、東映ゲームズがパブリッシングに参加しています。発売日と価格は、現時点では未定です。
主人公は、不幸を呼ぶ子として周囲から疎まれていた少女「ヴァルハラ」。彼女を救い、家族のように暮らしていた師匠が何者かに殺され、その最期の言葉を手がかりに、犯人である「ラ」を探す物語が始まります。
今回遊んだ体験版では、その旅立ちにつながるヴァルハラの過去と、師匠との出来事が描かれました。
※以下では、体験版で描かれる主人公の生い立ちや、師匠の死に関する内容に触れています。事前情報なしで遊びたい方はご注意ください。
『KILLA』の魅力
その1:役者を配置して劇を進める。人形劇の世界に入り込む探索

本作でまず惹かれたのは、人形劇のように作り込まれた世界を、自分で歩きながら物語を進める仕組みです。紙の人形を思わせるキャラクターと、舞台の書き割りのような背景が組み合わさり、部屋を移動して気になる場所を調べるだけでも、劇の中に入り込んだような感覚が強く残りました。

序盤では、閉じ込められた部屋を探索し、劇を進めるための手がかりや役者を集めていきます。舞台には役者を配置する場所があり、手に入れたものから適切な役者を選び、レバーを操作すると人形劇が始まります。

ただし、何でも置けば進むわけではありません。配置が間違っていると劇は動かないため、集めた手がかりをもとに、誰をどこへ置くべきか考える必要があります。探索で見つけたものを、舞台上の役割と結び付ける謎解きになっているのが面白いところです。

調べて、集めて、役者を置き、劇を動かす。その一連の操作を通して、主人公の過去が少しずつ明らかになっていきます。自分で舞台を整えた後に出来事が演じられるため、物語が進むことと、自分の操作が自然につながっていました。
体験版では大筋に沿って進む構成という印象でしたが、物語を見届ける観客でありながら、劇を進める役目も担っているような感覚があります。人形劇風のビジュアルが見た目だけにとどまらず、探索や謎解きの仕組みにまで活かされている点が、本作ならではの魅力でした。
その2:師匠を殺した「ラ」とは誰か。主人公の過去からつながる、引きの強い物語

体験版では、事件の謎と主人公の境遇、その両方に引き込まれました。最初は人形劇を通して、ヴァルハラの不幸な生い立ちが語られます。孤児院で暮らしていた彼女は戦争に巻き込まれ、生き延びた先で師匠に拾われ、二人で暮らすようになります。

そして月日が流れ、物語は現在へ。薬剤師の試験を受けるために家を空けていたヴァルハラが帰宅すると、そこには瀕死の師匠がいました。胸に大きな穴が開いた姿はあまりにも異様で、師匠は自分をこのような目に遭わせた「ラ」への恨みを口にし、命を落としてしまいます。
師匠はなぜ、あのような姿で死ななければならなかったのか。そして、最期に口にした「ラ」とは誰なのか。 犯人の正体だけでなく、死に方そのものにも謎があり、ここからどう真相へ近づいていくのか、非常に気になりました。

同時に、不幸な境遇から救い出してくれた大切な人を失い、ヴァルハラの心がどう変わっていくのかにも興味を引かれます。本作には自殺をほのめかす描写についての注意書きもあり、重いテーマを扱うことがうかがえます。彼女が喪失や苦悩の中で何を思い、どうあがきながら進んでいくのかも、見届けたいところです。
事件の真相を知りたい気持ちと、ヴァルハラの行く末を見届けたい気持ち。 その両方が生まれたところで体験版が終わるため、製品版への期待が高まる導入だったと感じます。
その3:重要な場面を引き立てる、凝ったムービー演出

物語の節目に入る、凝ったムービーシーンも印象的でした。場面に合わせた専用の絵が用意され、人物や情景が動くことで出来事が描かれます。探索や会話から映像へと切り替わることで、重要な場面にぐっと引きつけられました。
自分で操作して進む場面と、映像に見入る場面の緩急があり、物語をテンポよく楽しめるのが良かったところです。人形劇のような雰囲気はムービーにも活かされていて、不穏な出来事が目の前で繰り広げられるような臨場感がありました。
絵の美しさに加えて、動きを使って見せることで、物語の見せ場がより印象に残ります。こうした映像演出の作り込みも、短い体験版の中で強く惹かれた部分でした。
気になった点・注意点
その1:言語選択やセーブは、演出よりも使いやすさを優先してほしい

本作はUIにも凝っており、起動直後の言語選択も、キャラクターを歩かせて扉を調べることで表示されます。見せ方としては面白いのですが、言語選択はゲームを遊ぶための重要な設定です。個人的には、こうした部分は誰もがすぐにアクセスできる、一般的なメニュー形式で十分だと思いました。
さらに戸惑ったのがセーブです。物語の区切りで専用の空間へ移動し、左へ進むとセーブする場所、右へ進むと物語の続きへ向かう作りになっています。しかし、最初はそこでキャラクターを動かせなくなり、再起動すると途中から再開できず、最初からやり直すことになりました。
2回目は動けたものの、セーブ用と思われるオブジェクトの前へ行っても保存できず、結局どうすればよいのか分からず、セーブはあきらめました。不具合なのか、操作の分かりづらさによるものなのか切り分けられない状態でしたが、製品版でも安心して進行を保存し、最後まで遊べるのか、不安を感じたのは確かです。
言語選択やセーブは、多くのゲームで使い慣れた基本機能だからこそ、無難でも分かりやすい作りであってほしいと思います。物語や探索の演出には個性を求めたい一方、こういった基本機能では、その演出のために使いやすさを犠牲にしてほしくない。 ここは、今回遊んで特に改善を期待した部分です。
購入前のよくある疑問(Q&A)
Q. 対応ハードと発売日は?
A. PC(Steam)向けに発売予定で、発売日と価格は未定です。
公式サイトでは、対応プラットフォームとしてSteamが案内されています。具体的な発売日や販売価格については、今後の発表待ちです。
Q. 体験版はある?どれくらい遊べる?
A. Steamで無料体験版が配信されており、筆者は1時間弱でクリアしました。
今回遊んだ体験版では、主人公・ヴァルハラの過去と、師匠の死をきっかけに「ラ」を追うことになる導入が描かれました。人形劇を使った仕掛けや探索、作品独自のビジュアルを体験できます。
なお、自分のプレイではセーブ周りで進行が止まり、途中までの内容をやり直す場面がありました。
Q. 文章を読むだけのゲーム?探索や謎解きもある?
A. 会話や物語を読み進めるだけでなく、移動・探索・仕掛けを解く場面があります。
体験版の序盤では、部屋を調べて手がかりを集め、舞台に役者を配置して人形劇を進めました。自分で操作することで物語が動くため、読み物としてだけでなく、場面に関わる楽しさがあります。
製品版では、容疑者の記憶に入り込む「共鳴」や、手がかりを組み合わせる推理も紹介されています。ただし、これらの本格的な推理要素については、今回遊んだ範囲だけでは評価できません。
Q. 怖いシーンや残酷な描写はある?
A. かわいらしい絵柄ですが、戦争や死、身体の損傷を描く場面があります。
体験版にも、燃える街や、重傷を負った人の姿が登場します。穏やかな物語を想像していると驚くかもしれません。
美しい人形劇の中で不穏な出来事が描かれる作品なので、残酷な描写が苦手な方は注意してください。
※発売日・価格・対応機種などは、2026年9月時点の情報です。
まとめ

『KILLA』は、人形劇のような世界を自分で動かす楽しさと、続きを知りたくなる物語が魅力の作品でした。役者を配置して劇を進める仕掛けや、場面ごとの絵と動きを使った演出に個性があり、1時間弱の体験版でも強く印象に残っています。
師匠を殺した「ラ」は誰なのか。なぜ、あのような死を迎えたのか。そして、大切な人を失ったヴァルハラはどこへ向かうのか。事件の謎と主人公の行く末が気になる終わり方で、製品版への期待はかなり高まりました。
一方、セーブ周りでは分かりづらさや進行が止まる場面もあり、安心して物語に集中できるよう改善してほしいところです。演出の魅力を活かすためにも、基本操作の分かりやすさと安定性には期待しています。
ダークな物語や、見せ方に工夫のあるADVが好きな方には、注目してほしい1本です。 気になった方は、Steamの無料体験版で、この独特な人形劇の世界に触れてみてください。
東映ゲームズの新作体験版もレビュー
『KILLA』は、東映ゲームズが初のパブリッシング作品として発表した3タイトルのうちの1本です。LUDENSでは、同時に発表された『HINO』と『DEBUG NEPHEMEE -デバッグネフェミー-』の体験版もレビューしています。
不気味な絵本のような世界を進むアクションADVが気になる方は『HINO』体験版レビュー、4画面を同時に操作する独創的な戦闘に興味がある方は『デバッグネフェミー』体験版レビューも、あわせてご覧ください。


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