2026年発売予定の新作アドベンチャーゲーム『ワンダーランドに帰らないで』。
見下ろし型2D視点で描かれるダークメルヘンな世界観と、不気味な謎解き要素が配信直後から話題を呼んでいます。
今回は、配信されたばかりの体験版(プレイ時間:約1.5時間)を一足早くクリアしたため、率直な感想や見えてきた魅力、気になるポイントを徹底レビューします。
結論から言えば、「かわいらしいドット絵の裏に潜むエグい狂気と、先が気になりすぎるシナリオの引き」が素晴らしい、高クオリティな一作でした。
まずは、プレイするか迷っている方に向けて結論からお伝えします。
✓ゲーム性:アビリティを切り替えて道を拓く、完成度の高い見下ろし型2D謎解きホラー(約1.5時間)
✓ここが魅力:絵本の可愛さとエグいブラックさのギャップ、そして「現実の少年」を巡る深い考察要素
✓こんな人におすすめ:『Ib』や『魔女の家』のような、手触りが良くて不穏な2Dサスペンスが好きな人
はじめに
『ワンダーランドに帰らないで』は、インディーサークル「Krachware」が開発を手掛ける、見下ろし型2Dサイコホラー・謎解きアクションアドベンチャーゲームです(2026年発売予定)。
RPGツクール作品を彷彿とさせる親しみやすい操作感をベースにしながらも、劇のような語りやムービー演出、キャラクターボイスが随所に盛り込まれており、インディーとは思えないほどリッチな作り込みが光ります。
今回の体験版は約1.5時間ほどでクリアできるボリュームでしたが、「単なるお試し版」の枠を超えた遊びが満載で、製品版が猛烈に楽しみになる完成度の高さに驚かされました。
ここからは、実際にプレイして感じた本作の具体的な魅力について見ていきましょう。
『ワンダーランドに帰らないで』の魅力
その1:アビリティを切り替えて道を切り開く「手触りの良い探索と謎解き」

本作の基本的なゲームサイクルは、見下ろし型の2Dマップを歩き回り、散りばめられたギミックや謎を解きながら先へ進んでいくオーソドックスな探索ADVです。
中でも非常に秀逸なのが、「アビリティの獲得と切り替え」によるパズル要素です。
探索の道中で「記憶のかけら」を拾うと、アリスはさまざまな特殊能力(種を巨大なキノコに成長させる能力や、体を小さくする小人化の能力など)を身につけていきます。
この能力はいつでも自由に切り替えることができ、「ここはキノコを足場にして進み、奥の狭い隙間では、小人になって先に進む」といったように、状況に合わせてアビリティを使い分けながら道を切り開いていくパズル的な楽しさが詰まっています。

さらに、ただ歩くだけでなく「即死トラップや怖い敵に追いかけられる追跡劇」などのホラー的な要素も絶妙なアクセントになっています。
危険な目に遭ったり痛い思いをするとライフが減少してしまうため、凶暴なウサギに追いかけられたり、即死トラップが張り巡らされた部屋から脱出する緊迫感のあるシーンも用意されています。
探索の静けさと、ホラー特有のハラハラする緊迫感の緩急が実に見事です。
また、オートセーブがかなりこまめに挟まるため、即死トラップに引っかかっても直前からサクッとやり直せる親切設計になっており、やり直しによるストレスがほとんどありません。
『Ib』や『魔女の家』といった名作フリーホラーゲームを彷彿とさせる、非常に手触りの良い探索・謎解き体験に仕上がっており、1.5時間があっという間に過ぎ去ってしまいました。
その2:かわいさの裏にある狂気と、先が気になりすぎる「物語の二重構造」

本作をプレイしていて最も引き込まれたのが、「絵本のような緻密なアートスタイルと、舞台劇のような演出でグイグイ引き込まれる物語体験の設計」です。
本作はインディー作品でありながら、フルボイスによるキャラクターボイスや、まるで一幕の演劇を見ているかのようなナレーション演出が随所に盛り込まれています。絵本のページをめくるような愛らしいビジュアルと、臨場感あふれるボイスの掛け合いによって、プレイヤーは一瞬でこの奇妙な世界観へ引きずり込まれることになります。
物語は、親友のチェシャ猫「チエ」に導かれ、異変が起きて暴徒が暴れ回るワンダーランドを救うためにアリスが奔走するところから始まります。しかし、冒険を進めるうちに「この世界の異常さ」が次々と露わになっていきます。
① かわいらしい絵柄の裏にある「エグい不気味さ・ブラックさ」

絵本のような可愛らしいビジュアルや親しみやすいボイスとは裏腹に、描かれる内容はかなりブラックでダークな要素が容赦なく混ざり合っています。
真っ赤に染まった水、カエルの体内でじわじわと消化されかけている肉塊、そしてドールハウスで酒に溺れて罵詈雑言を浴びせてくる毒親など、童話モチーフとは思えない闇の深さが次々と突きつけられます。

「とあるキャラクターを突き落とすことで、それがギミックになって道が開く」など、プレイヤー自身に“本当にこれでいいのか…?”という居心地の悪さや罪悪感を抱かせる演出もあり、そのあたりの見せ方が非常に秀逸です。この不気味さこそが、次のエリアへ進みたくなる強烈な没入感を生み出しています。
② 考察が止まらなくなる「現実世界の少年とアリスの謎」

さらにプレイヤーを驚かせるのが、夢の世界を抜けた先に挿入される「現実世界のパート」です。
そこには、明らかに心に深い闇やトラウマを抱えている様子の「現実の少年」の姿が描かれます。
「この男の子は誰なのか?」「現実世界の少年とワンダーランドのアリスはどういう関係なのか?」「そもそもワンダーランドとは何なのか?」など、一気に重厚なサスペンスと謎が提示されるのです。
ワンダーランドで起きていた狂気の数々は、もしかすると現実世界の少年のトラウマや家庭環境が具現化したものなのではないか――そうした考察が頭を駆け巡り、体験版が終わる頃には完全にこの世界観の虜になっていました。
その3:飽きさせない工夫!多種多様で凝った「ミニゲーム」の数々

探索や謎解きだけでなく、作中に多種多様なミニゲームが挟まることも本作の大きな魅力です。
- ぬいぐるみを寝かしつけるために行う、もぐらたたきのミニゲーム
- 飛んでくるポップコーンを拾い集めるゲーム
- 野球のバッティングゲーム
- 吹き飛ばされながら障害物を避けて進むアトラクション
- 選択肢を間違えるとライフが削られるボス戦

体験版の約1.5時間という短いプレイ時間の中にも、驚くほどたくさんのミニゲームが詰め込まれていました。
一つひとつのミニゲーム自体は直感的でシンプルな作りですが、それぞれの遊び心が詰め込まれていて、探索の合間に良いテンポのアクセントになっており、プレイヤーを飽きさせません。「体験版でここまでバリエーション豊かに作り込んでいるのか」と、開発陣のサービス精神と熱量に驚かされました。
気になった点・注意点
その1: ギミックの解法やマップでの「迷いやすさ」

完成度が非常に高い本作ですが、ほんの少し気になった点として、ギミックの解き方や次に進むべきルートで少し迷いやすい場面がありました。(基本的には考えれば解けます)
即死トラップや謎解きで詰まりかけた際、オートセーブが親切なのでやり直しの苦痛は少ないものの、もし今後「どうしても分からない時のための軽いヒント機能」などが追加されれば、さらに幅広いプレイヤーが快適に遊べるようになると感じました。
ただ、全体としては理不尽すぎる詰み要素はなく、程よい手応えとして楽しめる範囲に収まっています。
その2:表現面での注意点(対象年齢について)
かわいらしい見た目からは想像しづらいですが、Krachware公式サイトでは本作を「R15相当」の内容として案内しています。本文でも触れた通り、毒親描写や生々しい表現などブラックな要素が含まれるため、苦手な方は注意してください。
まとめ:製品版の発売が待ちきれない、2Dホラーアドベンチャーの注目作!

『ワンダーランドに帰らないで』体験版は、RPGツクール風の懐かしく手触りの良い謎解きアクションに、軽めのホラー要素と不穏な人間ドラマを融合させた、大満足の完成度を誇る作品でした。なお、製品版は3〜5時間程度のボリュームになる見込みとのことなので、今回の体験版(第2ステージ前半まで)の内容がさらに膨らんだ形で楽しめそうです。
- アビリティを切り替えて道を拓くパズルの気持ちよさ
- かわいい見た目を裏切るエグいブラックさと、現実世界が絡む考察の深さ
- 飽きさせない多彩なミニゲームと、親切なオートセーブ
1.5時間があっという間に感じられるほど引きが強く、アリスと現実の少年の関係性など、物語の続きが気になって仕方がありません。
『Ib』や『魔女の家』のような名作ホラーゲームが好きな方、あるいは可愛い絵柄と不気味なシナリオのギャップに惹かれる方は、ぜひ今すぐ配信中の体験版をプレイしてみてください。製品版が待ち遠しくなること間違いなしの一本です。

