今回は『STEINS;GATE RE:BOOT』を全ルート・エンディングまでクリアしたうえで感じた魅力と、実際に遊んで気になったポイントを紹介します。
原作や『STEINS;GATE ELITE』との違い、新たに追加されたルート、今から遊ぶならどれを選ぶべきかなども含めてまとめています。大きなネタバレは避けているので、購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
- 未プレイ・アニメ勢 = 文句なしで即買い推奨。今から遊ぶならこれ1本で最高峰の体験ができます。
- 無印・ELITE経験者 = 「萌郁の新ルート」や快適性を求めるなら買い。新規IFシナリオの満足度は高いです。
- 追加要素にあまり惹かれない方 = 本編の結末は同じなためセール待ちでOK。
はじめに
『STEINS;GATE RE:BOOT』は、MAGES.より2026年8月20日に発売されたアドベンチャーゲーム。2009年に発売された名作『STEINS;GATE』を、現代向けに再構築したリブート作品です。
物語の根幹は原作を踏襲しつつ、グラフィックや演出の刷新、全ボイスの新録、シナリオ構成やテンポの調整、新たな世界線・エンディングの追加など、さまざまな部分に手が加えられています。
筆者はこれまで原作や『STEINS;GATE ELITE』もプレイしていますが、全ルートをクリアしたうえでの結論は、
「原作の圧巻のシナリオを残しつつ、テンポ・演出・ボイス・操作性まで現代向けに改善された、今から『STEINS;GATE』を遊ぶなら第一候補にしたい一本」
でした。
改めて最後まで遊んでみても、タイムマシンと世界線を巡る物語、岡部や仲間たちの描写、終盤へ向けて積み重なっていくシナリオの完成度は圧巻でした。
内容を知っている状態での再プレイでしたが、それでも終盤ではしっかり感情を揺さぶられています。
一方で、追加された新ルートは魅力こそあるもののボリュームは控えめで、メールや電話を使った複雑なルート分岐など、原作からもう少し改善してほしかった部分も残っています。
今回は、『RE:BOOT』で変わった部分、原作から変わらない魅力、新たな追加要素、そして既プレイでも買う価値があるのかまで、クリア後の感想をもとに詳しく紹介していきます。
基本情報
| 発売日 | 2026年8月20日 |
|---|---|
| ジャンル | 想定科学アドベンチャー |
| 開発 / 発売 | MAGES. |
| 対応ハード | Nintendo Switch 2 / Nintendo Switch / PlayStation 5 / PlayStation 4 / Xbox Series X|S / Steam |
| 価格 | 8,580円(税込) |
| クリア時間 | 約18時間(全ルート・エンディング回収) |
『STEINS;GATE RE:BOOT』の魅力
その1:やはり圧巻。今遊び直しても面白いタイムマシンを巡る物語

まず改めて感じたのが、『STEINS;GATE』という作品そのもののシナリオの面白さです。
本作は、秋葉原で「未来ガジェット研究所」を主宰する主人公・岡部倫太郎たちが、偶然にも過去へメールを送れる「Dメール」を生み出してしまったことから、時間を巡る大きな事件へ巻き込まれていく物語です。
最初は「過去にメールを送れる」という小さな発見から始まり、岡部たちは実験を重ねながら少しずつ過去へ干渉していきます。
しかし、その一つひとつの行動がやがて思わぬ変化を生み、物語は徐々に取り返しのつかない方向へと動き始めます。
本作のシナリオで特にすごいのが、序盤の何気ない出来事や会話が、その後の展開につながる布石になっていることです。過去を変えたことで新たな問題が生まれ、その問題がさらに次の展開へつながっていくため、物語全体が自然に積み重なっていきます。小さな実験から始まった出来事が、次第に大きな事件へ発展していく構成のうまさは、今遊び直してもやはり圧巻でした。
個別ルートも、ただのヒロインルートではない

特に改めて良いと感じたのが、本作の個別ルートです。
『STEINS;GATE』の個別ルートは、いわゆる恋愛ゲームのように「好きなヒロインを選んで幸せになる」というものではありません。
むしろ、決断を下せなかった岡部が、その世界に残された苦しみを誰かと一緒に背負っていく物語として描かれています。
本作には、過去へメールを送ることで出来事を変える「Dメール」という仕組みが登場します。
物語の序盤で岡部たちはこのDメールを使い、それぞれの願いや後悔に関わる過去を変えていきます。
しかし、とある事件をきっかけに、今度は過去に送ったDメールをひとつずつ取り消していかなければならなくなります。つまり岡部は、一度叶えた仲間の願いや幸せを、自分の手で元に戻す決断を迫られることになります。
そして個別ルートは、その決断をどうしても下せなかった先にある世界です。
仲間の願いを守る代わりに、本当に大切な何かを失ってしまう。
あるいは、その現実から目を背ける道を選ぶことになるため、岡部自身も決して完全に救われるわけではありません。
明確なハッピーエンドとは言いづらく、ルートによってはどこか逃避にも見える選択です。
それでも、その苦しみを岡部一人に背負わせるのではなく、そのルートのヒロインが隣に立ち、一緒に痛みを抱えてくれる。
この関係性が本当に切なく、同時にとても綺麗です。
特に印象的だったのが、るかのルート。
このルートでは、るかの事情と向き合った岡部が、本編で抱えている問題を解決する道をあきらめることになります。
しかし、るかは岡部の苦悩をただ慰めるだけではありません。
自身もその痛みに触れ、岡部が一人で抱えてきた孤独を理解する側へと踏み込んでいきます。
ルカに限った話ではないですが、世界線を越える前の記憶を一人で抱え続ける岡部にとって、自分の苦しみを理解し、一緒に背負ってくれる人がいること自体が大きな救いになっているように感じました。
また、そうして、こうした個別ルートを見ているからこそ、本筋で岡部が下していく決断の重さもより強く伝わってきます。
プレイヤーは、それぞれの仲間が何を願い、その世界で何を手に入れたのかを知っています。
だからこそ、Dメールを取り消して世界線を戻していくことを、単なる「正解ルートへ進むための手順」として見ることができません。
岡部自身も機械的に決断するのではなく、一人ひとりの思いに向き合い、その痛みを理解したうえで先へ進んでいきます。
個別ルートで“その決断をしなかった未来”まで描くことで、本筋で岡部が選ぶ道の重さをさらに強くしている。
純粋な恋愛ルートとは少し違う、岡部の苦悩と、それに寄り添うヒロインたちを描いた物語になっているのが、本作の個別ルートの大きな魅力だと感じました。
すべての積み重ねが最後につながる構成は圧巻

そして終盤では、序盤から積み重ねてきた違和感や伏線、世界線を巡る数々の出来事が、ひとつの大きな答えへとつながっていきます。
詳しくはネタバレになるので伏せますが、「ここまでの出来事はすべてこのためにあったのか」と思わせる物語の収束は本当に見事です。
特にトゥルーエンドへ向かう展開は圧巻。
それまで何気なく見ていた出来事や、物語の最初から提示されていた大きな謎まで次々と意味を持ち始め、最後にはタイムマシンと世界線という設定を最大限に活かした答えへとたどり着きます。
そして何よりすごいのが、ここまで岡部が世界線を巡り、何度も苦しみながら積み重ねてきた経験そのものが、最後の展開に必要なものとしてつながっていくこと。
単に「伏線を回収して終わり」ではなく、プレイヤーが岡部と一緒に歩んできた物語そのものを使って、最後の答えを導き出していく構成になっています。
筆者はアニメ版や『ELITE』ですでに結末を知っていましたが、それでもトゥルーエンドへ向かう展開には改めて鳥肌が立ち、最後はしっかり感動してしまいました。
初見では先の読めない驚きを、既プレイでは「こんなところからつながっていたのか」という再発見を楽しめる。
2009年の原作から長い年月が経った今でも、タイムマシンものとしてこれほど綺麗に物語を収束させる作品はなかなかないと思います。
原作の魅力はそのままに、序盤のテンポが大幅改善

そのうえで『RE:BOOT』で特に大きいと感じたのが、シナリオの読みやすさです。
公式でも、『STEINS;GATE ELITE』のシナリオをベースに調整し、よりテンポよく読みやすい内容にしたことが明言されています。
原作『STEINS;GATE』は、終盤に向かうほど圧倒的に面白くなっていく一方で、序盤は岡部の独特な言動や長めの会話も多く、物語が本格的に動き始めるまで少し時間がかかる作品でした。
もちろん、あの少し冗長な日常描写があるからこそ後半が効いてくる部分もあります。ただ、現代のゲームとして遊び直すと、どうしても「ここはもう少しテンポよくてもいいな」と感じる部分があったのも事実です。
『RE:BOOT』では基本的な物語の流れを残しつつ、長かった場面が整理され、会話の順番や尺も調整されています。
その結果、原作の雰囲気を大きく壊さず、かなりサクサク読み進められるようになった印象です。
特にノベルゲームは序盤でテンポが悪いと物語に入る前に疲れてしまうことがありますが、本作ではその感覚がかなり軽減されています。「面白くなるまで少し長い」と言われがちだった『STEINS;GATE』だからこそ、この改修はかなり大きいと感じました。
全ボイス新録は想像以上に大きい

そして、実際に遊んでみて思っていた以上に大きかったのが、ゲーム内ボイスの全再収録です。
公式でも、ゲーム内ボイスはすべて新たに収録され、BGMについても全面的にリメイクされたことが発表されています。
『STEINS;GATE』は原作発売後、アニメや『STEINS;GATE 0』をはじめ長期間にわたってさまざまな展開が続いてきました。その中で声優陣のキャラクターの演じ方も、少しずつ確立されていったように感じます。
特に個人的にはダルが分かりやすく、原作とアニメ版ではかなり雰囲気が違います。
筆者はアニメから入ったこともあり、『ELITE』を遊んだ際は、映像はアニメなのに音声は原作当時のものという部分に少し違和感がありました。
今回はボイスそのものが新しくなったことで、現在のキャラクター像と演技がより自然に噛み合っているように感じます。単純に尺を調整するだけではなく、シナリオ・演出・音声まで含めて改めて作品全体を最適化している。
このあたりも、『RE:BOOT』が単なる移植ではないと感じるポイントでした。
その2:個性的なキャラクターたちが、より生き生きと動く

『STEINS;GATE』の魅力は、シナリオだけではありません。
岡部倫太郎をはじめとした、未来ガジェット研究所の個性的なキャラクターたちも、本作を語るうえでは欠かせない存在です。
厨二病全開で「鳳凰院凶真」を名乗る岡部、ほんわかした雰囲気のまゆり、オタク全開のダル、そして天才科学者でありながら岡部とことあるごとに張り合う牧瀬紅莉栖。かなり癖の強いメンバーなのですが、一緒に過ごしているうちに、このラボの空気そのものがどんどん好きになっていきます。
岡部倫太郎という主人公の魅力
中でも主人公の岡部は、最初こそかなり受け入れづらいタイプのキャラクターだと思います。
中二病全開で大げさな言動を繰り返し、何を言っているのか分からない場面も多いです。筆者自身、第一印象は決して良くありませんでした。
ただ、物語が進むにつれて見えてくるのが、仲間思いな優しさと、困難な状況でも諦めない強い信念です。
「狂気のマッドサイエンティスト」や「独善的」といった言葉を口にする一方で、実際の岡部はむしろその逆。
誰かが苦しんでいれば放っておけず、何かを決断するときも、自分だけで答えを出すのではなく、相手の思いや痛みにきちんと向き合います。
特に印象的なのが、まゆりと話している時の岡部です。
普段の大げさな「鳳凰院凶真」とは違い、とても穏やかで優しい声になり、彼女をどれだけ大切にしているのかが自然と伝わってきます。
そして物語が進むほど、岡部は誰にも理解してもらえない苦しみを抱えながら、それでも仲間のために動き続けます。
どのルートでも仲間の幸せを第一に考え、自分の選択によって誰かが不幸になることに責任を感じ続ける主人公です。
独善的を名乗っているのに、実際には誰よりも仲間の気持ちを考え、その痛みまで背負ってしまう。
このギャップこそ、岡部倫太郎という主人公の大きな魅力だと感じました。
最初は「なんだこの主人公は」と思っていたはずなのに、気づけば誰よりも応援したくなっている。
そして、誰よりも多くの痛みを抱えながら進み続けるキャラクターだからこそ、物語が進むほど強く感情移入してしまいます。
改めて最後まで遊んでみて、本当に魅力的な主人公だと感じましたし、筆者個人としても大好きなキャラクターです。
岡部を支える紅莉栖の存在

本作のヒロインの中でも、特に印象に残ったのが牧瀬紅莉栖の存在です。
序盤では、岡部とことあるごとに張り合い、軽口を叩き合う関係。
お互いに頭の回転が速く、岡部が無茶苦茶なことを言えば紅莉栖が食ってかかるなど、二人のテンポの良い掛け合いは見ているだけでも面白いです。
しかし、物語が進むにつれて、この二人の関係は少しずつ変化していきます。
前述したように、岡部は非常に責任感が強く、本来なら一人で抱えきれないような苦しみまで自分だけで背負おうとする主人公です。
そんな岡部が徐々に追い詰められていく中で、その異変に気付き、話を聞き、何度も手を差し伸べてくれるのが紅莉栖です。
世界線を巡る出来事を一人で抱え続ける岡部にとって、自分の苦しみを理解しようとしてくれる存在がいることは本当に大きい。
そしてプレイヤー自身も、苦しみ続ける岡部をずっと見ているからこそ、そんな彼を何度も支えてくれる紅莉栖の存在がどんどん大きく感じられるようになります。
序盤では軽口を叩き合っていた二人が、少しずつ互いを理解し、支え合う関係へ変わっていく。
この過程がとても丁寧に描かれているからこそ、紅莉栖は単なるメインヒロインではなく、岡部にとっても、プレイヤーにとっても、物語が進むほど存在感の大きなヒロインになっていきます。
改めて遊んでみても、本作を代表する本当に魅力的なヒロインだと思います。
演出・構図・CGが豪華になり、長い会話シーンでも飽きにくい

『RE:BOOT』では、そんなキャラクターたちの見せ方も大幅に進化しています。
キャラクター、背景、イベントスチルはすべて描き直され、Xbox 360版と比べてイベントスチルは約2倍、背景グラフィックは約1.2倍に増加しています。
実際に遊んでいても、とにかく画面の変化が多いです。
同じ会話シーンでも構図が細かく切り替わり、イベントCGもかなり多く用意されているため、長時間テキストを読んでいても視覚的に飽きにくくなっています。
さらにE-moteが導入され、キャラクターが表情を変えたり、細かく身体を動かしたりするようになりました。
もともと『STEINS;GATE』は会話量の多い作品ですが、キャラクターが動き、構図にも変化がついたことで、かなり読み進めやすくなったと感じます。特にフェイリスは、今回かなりかわいく見えて驚きました(笑)。
一方で、動きについては場面によって少し大げさに感じたり、原作の静止画中心の演出に慣れていると「少し動きが不自然かな」と感じる瞬間もあります。
ただ、それを差し引いても、長い会話シーンで視覚的に飽きづらくなった恩恵の方が圧倒的に大きいです。
もともと会話そのものが魅力の作品だからこそ、演出や構図のバリエーションが増えたことで、キャラクターの魅力をより楽しみやすくなったと感じました。
その3:選択肢を“携帯電話の操作”に落とし込んだフォーントリガー

『STEINS;GATE』の物語を支えている特徴的なシステムが、「フォーントリガー」です。
本作では、岡部が持っているガラケーを好きなタイミングで取り出すことができ、届いたメールを読んだり、返信したり、電話をかけたりすることができます。
そして面白いのが、こうした携帯電話の操作そのものが、物語の分岐に使われていることです。
一般的なアドベンチャーゲームでは、「はい/いいえ」といった選択肢を画面から選ぶことが多いですが、本作ではメールに返信するか、どの言葉を選んで返信するか、電話をかけるかどうかといった行動によって物語が変化していきます。
つまり、単に「選択肢を選ぶ」のではなく、岡部として実際に携帯電話を操作して意思決定をするわけです。
たとえば「電話をかける」という行動ひとつを取っても、メニューから選択肢を押すのと、自分で携帯を開いて相手を選び、発信するのとでは感覚がかなり違います。
この操作が物語の中に自然に溶け込んでいることで、自分自身が岡部として行動しているような没入感が生まれているのが、本作のゲームシステムとして非常に面白いところです。
その4:本編では描かれなかった萌郁との新たなルート

『STEINS;GATE RE:BOOT』では、本編では個別ルートが用意されていなかった桐生萌郁を中心とした新たなルートが追加されています。
このルートでは、岡部自身がラウンダー側に所属し、萌郁とパートナーとして行動するという、本編とは大きく異なる世界線が描かれます。
これまでの萌郁は敵側として登場する場面が多く、どうしても不穏な印象が強いキャラクターでした。
しかし追加ルートでは、岡部と同じ側に立ち、共に行動する時間が増えることで、これまでとは違った萌郁の一面を見ることができます。
特に、味方になった萌郁はかなり頼もしく、本編とはまったく違う距離感で岡部と関わっていくのが新鮮でした。
また、岡部自身もラウンダーとして行動するため、紅莉栖やダルをはじめとしたラボメンとの関係性も大きく変化します。
「もし岡部がこちら側に進んでいたらどうなっていたのか」というIF世界線としても面白く、既プレイだからこそ楽しめる展開になっています。
本編では十分に描かれなかった萌郁のルートをしっかり用意し、彼女をこれまでとは違う立場から見られるようになったことは、『RE:BOOT』ならではの嬉しい追加要素だと感じました。
その5:オート再生など、遊びやすさも大きく進化

そして、見た目以上に好印象だったのがゲームとしての遊びやすさです。
特にオート再生がかなり使いやすく、少ない操作ですぐに切り替えられ、サクサク進んでいくため、長時間のプレイでも非常に快適です。ノベルゲームでは「文章を読む」という行為そのものがプレイ時間の大部分を占めます。
そのため、こうした細かな操作性の違いは、実際に何時間も遊んでいるとかなり効いてきます。

また、本作では物語の流れを確認できる機能も追加されています。
『STEINS;GATE』は世界線や過去改変などを扱うこともあり、ストーリーそのものが複雑になっていく作品です。その中で、現在どのあたりを進んでいるのかを把握しやすくなっているのはありがたいところ。
原作の面白さをそのまま残すだけでなく、
「今の環境でノベルゲームを遊ぶなら、どうすれば快適なのか」
という部分まできちんと見直されているのが、『RE:BOOT』の大きな魅力だと思います。
気になったところ・注意点
その1:序盤のゆっくりした展開と、岡部の強烈なキャラクター性

『RE:BOOT』ではテンポがかなり改善されていますが、物語の序盤が比較的ゆっくり進むこと自体は原作と変わりません。
『STEINS;GATE』は、日常の中に少しずつ違和感が積み重なり、後半に入って一気に物語が加速していくタイプの作品です。そのため、序盤から大きな事件が次々と起こる作品を期待すると、少し退屈に感じるかもしれません。
また、前述したとおり、主人公の岡部も、序盤は厨二病全開でかなり癖の強いキャラクターです。
最初は「ちょっと受け入れづらいな」と感じる人もいると思いますが、どちらもしばらく物語を進めてから判断してほしいポイント。
物語が動き始め、岡部の本当の人柄が見えてくる頃には、印象もかなり変わってくるはずです。
その2:追加ルートは面白いものの、内容はかなり簡素

前述したとおり、萌郁を中心とした新たな世界線は、これまでとは違うキャラクター同士の関係性を見られるという意味で魅力のある追加要素です。
ただ、実際に最後まで遊んでみると、追加ルートそのものはかなり簡素でした。
筆者の場合、追加された部分は約1時間ほどで終了。
新しい世界線を描くという意味では面白いものの、物語が大きく掘り下げられるわけではなく、感覚としては「原作に萌郁の個別エンディングを追加した」くらいの規模感です。
既存の物語を大きく崩さず、自然に新しいエンディングを追加している点は良いところ。
一方で、『RE:BOOT』の完全新規シナリオとして大きな展開やボリュームを期待すると、やや物足りなく感じると思います。
また、全エンディングを順番に回収していく場合、個別ルートを経て本筋の終盤へ向かう途中で、この萌郁ルートを見ることになります。
そこで少し気になったのが、それまで本筋で積み重ねてきた紅莉栖やラボメンへの強い思いと、追加ルートで描かれる関係性の変化との温度差です。
特に追加ルートでは紅莉栖やダルと敵対する展開もあるため、その後に再び本筋へ戻った時、個人的には終盤に向けて高まっていた感情が一度途切れるような感覚がありました。
そのため、追加シナリオだけを大きな目的として購入するというよりは、『STEINS;GATE』本編をもう一度楽しむ中で、新しいIF世界線も見られる作品くらいに考えておくのがよさそうです。
その3:メールや電話によるルート分岐は相変わらず分かりづらい
前述したフォーントリガーは、本作への没入感を高めてくれる非常に面白いシステムです。
しかしその一方で、ルート分岐の分かりづらさについては、かなり気になりました。
本作では、届いたメールにどう返信するか、特定のタイミングで電話をかけるかどうかなどによってルートが変化します。ところが、どのメールや電話が重要なのかは基本的に明示されず、操作できるタイミングもかなり分かりづらいです。
特に気になったのが、オート再生との相性。メールが届いたり、電話をかけられる場面になったりしても、そのまま物語が進んでしまうため、分岐条件に気付かないまま別ルートへ入ってしまうこともあります。
また、既読スキップ自体は用意されているものの、次の選択肢まで一気に移動する機能や、任意の分岐点へ戻れる機能はありません。
物語の流れを確認できる機能はあるものの、フローチャート上の好きな場所から再開できるわけではないため、全ルートを回収しようとすると何度も同じ場面を通る必要があります。
原作でも同様の仕組みではありましたが、今回は現代向けに作り直された『RE:BOOT』です。
ここまで複雑なルート分岐を持つ作品だからこそ、分岐点へのジャンプや次の選択肢までのスキップなど、周回を助けるシステム面にももう少し手を入れてほしかったと感じました。
フォーントリガーそのものは今遊んでも非常に面白いだけに、分岐の分かりづらさまで原作のまま残っているのは惜しいポイントです。
よくある疑問・購入前に気になること
原作・ELITE・RE:BOOTの違いは?
大きく分けると、原作はオリジナル版、ELITEはアニメ映像を全面的に取り入れた再構成版、RE:BOOTは原作を現代向けに最適化したリブート版という印象です。
『ELITE』は、アニメーションを使って物語を楽しめることが大きな特徴です。一方で、原作では重要な場面にだけ挿入されていたイベントCGによる演出の緩急がやや分かりづらくなったり、細かな場面にもアニメーションが入ることでテンポが気になることもありました。また、シナリオの尺は整理されているものの、ボイス自体は原作当時のものが使われているため、個人的には映像との印象に少しズレを感じる部分もありました。
一方の『RE:BOOT』では、グラフィックや演出の刷新に加えて、全ボイスの新録、シナリオ構成やテンポの調整、UIの改善、新たな世界線やエンディングの追加など、より広い範囲に手が入っています。
そのため、個人的には『RE:BOOT』は単なるリマスターというより、原作『STEINS;GATE』を今の時代に遊びやすい形へ整え直した作品という印象が強いです。
『ELITE』を実際に遊んだ感想については、こちらのレビューでも詳しく紹介しています。
→ 『STEINS;GATE ELITE』クリアレビュー
今から遊ぶならどれがおすすめ?
現時点では、初めて『STEINS;GATE』を遊ぶならRE:BOOTを選んでいいと思っています。
原作には原作ならではの雰囲気や演出の味がありますし、『ELITE』にもフルアニメーションという大きな特徴があります。ただ、今から初めて遊ぶことを考えると、テンポの良さ、ボイスの新録、グラフィックや演出、遊びやすさまで含めて最適化されている『RE:BOOT』が一番入りやすいです。
原作のシナリオの良さを残しながら、現代のノベルゲームとしてかなり遊びやすくなっているため、特別なこだわりがなければRE:BOOTが第一候補でいいと思います。
既プレイでも買う価値はある?
個人的には、十分あると思います。
特に、原作を昔遊んだ人や、久しぶりに『STEINS;GATE』を最初から遊び直したい人にはかなりおすすめです。
ボイスがすべて新しく収録され、演出や構図も大きく変わっているため、同じシナリオを追っていても想像以上に新鮮に感じます。
一方で注意したいのは、まったく別作品として作り直されたリメイクではないということです。
基本となる物語はあくまで原作準拠なので、「過去作を最近遊んだばかりで、追加部分だけ見たい」という人にとっては、購入価値の感じ方は変わってくると思います。
そのため、
初めて遊ぶ人/久しぶりに遊び直したい人 → かなりおすすめ
最近原作やELITEを遊んだ人 → 追加要素をどこまで求めるか次第
というのが現時点での印象です。
追加シナリオ目当てだけでも買うべき?
追加シナリオだけを目的に購入するなら、少し慎重に考えた方がいいと思います。
『RE:BOOT』では、原作にはなかった萌郁を中心とした新たな世界線が追加されています。
前述したとおり、岡部がラウンダー側に立ち、萌郁とパートナーとして行動する展開は新鮮で、既プレイだからこそ楽しめる内容でした。
ただし、追加ルート自体のボリュームはかなり控えめです。
筆者の場合は約1時間ほどで終了し、感覚としては「原作に新しい個別エンディングがひとつ追加された」くらいの規模感でした。
そのため、完全新規シナリオを目当てに『RE:BOOT』を購入すると、期待していたほどのボリュームではないと感じる可能性があります。
一方で、全ボイスの新録やグラフィック・演出の刷新、テンポの改善など、本編そのものをもう一度楽しむための変更点はかなり多いです。
追加シナリオだけが目的 → ややおすすめしづらい
久しぶりに本編を遊び直しつつ、新しいルートも楽しみたい → かなりおすすめ
というのが、最後までプレイしたうえでの結論です。
まとめ

今回は、『STEINS;GATE RE:BOOT』を全ルートクリアしたうえでの感想を紹介しました。
改めて最後まで遊んで感じたのは、やはり『STEINS;GATE』という作品そのものの完成度の高さです。
タイムマシンと世界線を巡る物語、個別ルートで描かれる岡部の苦悩、そして最後にすべてがつながっていく構成は、今遊び直しても圧巻でした。
『RE:BOOT』では、そこに全ボイスの新録、グラフィックや演出の刷新、シナリオのテンポ調整、遊びやすさの改善が加わっています。原作の良さを残しながら、現代でもかなり遊びやすい形に整えられているのは大きな魅力です。
一方で、追加された萌郁ルートは新鮮ではあるものの、ボリュームはかなり控えめ。
メールや電話を使ったルート分岐も相変わらず分かりづらく、周回を助ける機能についてはもう少し改善してほしかったところです。
それでも、これから初めて『STEINS;GATE』を遊ぶ人にはもちろん、筆者のように内容を知っている状態で久しぶりに遊び直す人にもおすすめできる一本だと思います。
筆者はアニメ版や『ELITE』ですでに物語を知っていましたが、それでも終盤ではしっかり感情を揺さぶられました。
改めてプレイして、今なお歴代でも屈指のシナリオを持つ名作だと再確認できた作品です。
『RE:BOOT』をクリアしてシリーズをさらに楽しみたいなら、次は**『STEINS;GATE 0』**がおすすめです。
→ 『STEINS;GATE 0』クリアレビュー
『STEINS;GATE』シリーズには、原作・ELITE・0・スピンオフ・アニメなど多くの作品があります。
「どれから遊べばいい?」「ゲームとアニメはどちらがおすすめ?」という方は、シリーズ全体のおすすめ順をまとめた記事も参考にしてください。
→ STEINS;GATEシリーズのおすすめ順|ゲーム・アニメはどこから?
伏線回収やどんでん返しが楽しめるゲームを探している方は、こちらの記事でもおすすめ作品をまとめています。
→ 伏線回収がすごいゲームおすすめ














コメント
コメント一覧 (5件)
[…] 『STEINS;GATE RE:BOOT』のクリアレビュー・原作やELITEとの違いはこちら […]
[…] ら始めるのがおすすめ**です。→ 『STEINS;GATE RE:BOOT』クリアレビュー […]
[…] ームで遊ぶなら、個人的にはグラフィック・演出・ボイスなどが刷新された『STEINS;GATE RE:BOOT』を第一候補におすすめします。→ 『STEINS;GATE RE:BOOT』クリアレビュー・ELITEとの違いはこちら […]
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