【リトルバスターズ!】クリアレビュー・評価|友情と成長を描く、涙必至の名作ADV

今回は『リトルバスターズ!Converted Edition』をクリアしたので、その魅力と実際に遊んで気になったポイントをレビューします。
基本的には大きなネタバレを避けていますが、後半ではネタバレありでRefrainやエンディングについても詳しく語る予定です。

この記事はこんな人におすすめ!

✓ 仲間との友情や主人公の成長を描いた物語が好き
✓ 重く、心を揺さぶるシナリオのゲームを遊びたい
✓ 長くても最後に大きな感動が待っている作品を楽しみたい

目次

はじめに

『リトルバスターズ!』は、2007年にKeyから発売された恋愛アドベンチャーゲームです。

主人公の直枝理樹が、幼馴染の恭介・鈴・真人・謙吾たちとともに野球チーム「リトルバスターズ」を結成し、新たな仲間を集めながら騒がしい青春の日々を過ごしていく物語です。2012年にはTVアニメ化もされており、ゲームをプレイしたことがなくても作品名を知っている方は多いのではないでしょうか。

実際に最後まで遊んでみると、像していた以上に重い個別ルートと非常に長い物語には、人を選ぶ部分もかなりあると感じました。一方で、物語の核心となるトゥルーエンドまでたどり着くと、最終的には「友情」を描いた作品として強烈な感動を残す、長年名作として語られてきたのも納得の一本でした。

今回はそんな『リトルバスターズ!』について、まずは大きなネタバレを避けながら、その魅力や実際に遊んで気になったポイントをレビューしていきます。

基本情報

スクロールできます
発売日2020年4月23日
ジャンル恋愛アドベンチャー
開発 / 発売Key / PROTOTYPE
対応ハードNintendo Switch / Steam
価格5,000円(税込・Switchダウンロード版)
クリア時間約40時間(トゥルーエンドまで)

『リトルバスターズ!』の魅力

その1:想像以上に重い個別ルートと、そこから描かれる理樹の成長

ず本作のシナリオについて。

主人公の直枝理樹は、幼いころに両親を亡くし、絶望していたところを棗恭介率いる「リトルバスターズ」の仲間たちに救われた少年です。恭介、真人、謙吾、鈴という幼馴染たちと騒がしい日常を送っていたある日、恭介の思いつきから野球チームを作ることになり、新たな仲間を集めていくところから物語が始まります。

最初に抱いた印象は、とにかく仲間たちと馬鹿なことをしながら過ごす、明るい青春作品というものでした。野球をしたり、真人がくだらないことで暴走したり、恭介の思いつきに全員が振り回されたり。共通ルートではかなりコミカルな日常が続いていきます。

しかし、各ヒロインの個別ルートに入ると、その印象は一変します。何より驚かされたのが、各ヒロインが抱えている問題が想像以上に重いことです。

共通ルートでは明るく個性的な女の子たちとして登場しますが、個別ルートではそれぞれの過去や内面に深く踏み込んでいきます。家族との確執、大切な人との死別、いじめ、孤独、自分自身の存在に対する苦悩など、扱われるテーマはどれもかなり重め。例えば三枝葉留佳のルートでは、長年続いてきた姉との確執を中心に、複雑な家庭環境の中で葉留佳が抱えてきた苦しみや、姉妹二人の関係が描かれます。共通ルートで見せていた明るい姿からは想像できないほど陰鬱な展開が続くこともあり、「リトルバスターズって、こんなに重い作品だったのか」とかなり驚かされました。

理樹自身の成長を描く人間ドラマとして

そして個別ルートでもう一つ重要なのが、問題を抱えたヒロインだけでなく、理樹自身の成長も同時に描かれていることです。

物語序盤の理樹は、決して頼れる主人公ではありません。何かがあれば恭介を頼り、力では真人や謙吾にはかなわない。昔から強い仲間たちに守られ、彼らについていく側の少年です。正直なところ、かなり頼りなく、いわゆる恋愛ADVに登場する王道の主人公像とは少し違います。だからこそ、ヒロインが大きな問題に直面したときも、理樹が格好良くすべてを解決してくれるわけではありません。

それでも逃げるのではなく、相手のために自分に何ができるのかを考え、悩みながらも精いっぱい行動していく。ヒロインと理樹が一緒に苦悩しながら問題に立ち向かい、少しずつ前へ進んでいく過程には非常に感情移入できました。誰かを助ける経験を積み重ねることで、頼りなかった理樹自身も少しずつ、誰かを支えられる人間へと変わっていきます。

そのため本作の個別ルートは、個人的には「ヒロインとの恋愛を楽しむ」というより、彼女たちが抱える問題に理樹と一緒に向き合っていく人間ドラマという印象がかなり強かったです。

王道の恋愛ADVを期待すると少し違って感じるかもしれませんが、それぞれのキャラクターの内面まで深く掘り下げながら、同時に主人公の成長を描いていくところは、本作のシナリオならではの大きな魅力だと感じました。

その2:ヒロイン以上に存在感を放つ、圧倒的な仲間キャラクター

そして『リトルバスターズ!』を語るうえで絶対に外せないのが、恭介・真人・謙吾・鈴という幼馴染たちの存在です。正直、個人的にはヒロインたち以上に、この仲間たちの方が圧倒的に魅力的でした。特に恭介、真人、謙吾の3人がとにかく強い。

リトルバスターズのリーダーで、突拍子もないことを思いついては仲間を巻き込みながら、それでも全員から絶大な信頼を寄せられている恭介。筋肉のことばかり考えている馬鹿キャラに見えて、いざというときには驚くほど真っすぐで、誰よりも芯の強さを見せる真人。そして普段は冷静で真面目に見えながら、実は子供っぽい部分や不器用さを抱えている謙吾。

序盤では特に、この5人でくだらないことをしてふざけ合う場面がとにかく多く描かれます。独特のノリなので最初は少しついていきづらかったですし、正直「ちょっと長いな……」と感じるところもありました。それでも、くだらないやり取りの中には思わずクスッと笑ってしまう場面も多く、彼らと一緒に過ごす日常そのものがだんだん楽しくなっていくんですよね。

後半に進むにつれて変わっていく印象

そして物語が進むにつれて、最初に見えていたキャラクター像と、その内側にある本当の姿が少しずつ違って見えてくるのも面白いところ。

特に後半へ進むほど、彼らが理樹や鈴をどれだけ大切に思っているのかが強く伝わってきます。普通の恋愛ADVであれば、個別ルートに入った時点で友人キャラクターの存在感は薄くなりがちです。しかし本作では、物語の最初から最後まで「仲間と一緒にいること」そのものが大きな軸になっています。

野球をするときも、馬鹿なことをするときも、何か問題が起きたときも、いつもそこにはリトルバスターズの仲間たちがいる。だからこそ、40時間近い長い物語を進めるうちに、プレイヤーにとっても彼らが単なる登場人物ではなく、ずっと一緒に過ごしてきた仲間のような存在になっていきます。

そして、すべてを終えたあとの彼らに対する思い入れは本当に強い。ここまで「友人キャラクター」が物語の中心に立ち、ヒロインたち以上の存在感を放つ恋愛ADVもなかなか珍しいと思います。実際、過去に行われた人気投票では、数多くのヒロインを抑えて恭介が1位を獲得したこともあるほど。

いや、ギャルゲーだぞ? ヒロインが主役じゃないのか?

と思わず言いたくなりますが、それくらい本作では仲間キャラクターたちが魅力的なんです。

『リトルバスターズ!』を遊ぶなら、ぜひヒロインだけでなく、恭介・真人・謙吾・鈴、そして理樹を含めた「リトルバスターズ」という仲間たちそのものに注目してほしいと思います。

その3:すべての物語が、最後には「友情」へと収束していく

個人的に『リトルバスターズ!』を語るうえで欠かせないのが、物語終盤からトゥルーエンドにかけての展開です。

本作は、個別ルートではそれぞれのヒロインが抱える問題を中心に描いていきますが、メインヒロインである鈴のルートに入ると、物語そのものの本筋が大きく動き始めます。それまで当たり前のように続いていた日常に少しずつ違和感が生まれ、仲間たちの関係性にも変化が現れていく。「何かがおかしい。でも、何が起きているのか分からない」そんな感覚が徐々に強くなっていく構成がとても面白く、個人的にはこのあたりから一気に先が気になって読み進めてしまいました。

そして、すべてのヒロインルートを攻略すると解放されるのが、物語の核心となる「Refrain」です。

Key作品ではおなじみとも言えるトゥルールートですが、ここではそれまで感じていた世界への違和感や、仲間たちの不可解な言動、物語の中に張り巡らされていた伏線が次々と回収されていきます。それまで何気なく見ていた場面に別の意味が生まれ、「あのときのあれは、そういうことだったのか」と印象が大きく変わっていく。

世界の謎が明かされていく面白さと、それまで積み重ねてきた物語が一つにつながっていく感覚は、本作の中でも特に見応えがありました。

個人的には、個別ルートがあまり刺さらなかった人でも、ここまでたどり着いてほしいと思えるほど、終盤の完成度は非常に高かったです。

作品を通して描かれていたのは「友情」

そして最後までプレイして強く感じたのが、結局この作品が描きたかったのは「友情」だったということです。

ゲームとしては、複数のヒロインを攻略していく恋愛ADVの形を取っています。しかし物語の本筋が進むにつれて、中心に見えてくるのはヒロインとの恋愛ではなく、理樹・鈴・恭介・真人・謙吾という幼馴染たちの関係でした。

特に終盤では、それぞれが理樹と鈴のことを大切に思っているからこそ、意見がぶつかり合う場面も描かれます。相手のためを思っている。それでも、何が本当に正しいのかは分からない。そんな不器用な友情がぶつかり合っていくところが、本当に良かったです。

そして物語序盤の理樹は、いつも恭介の後ろについていく側の存在でした。

何かを始めるのは恭介。
仲間をまとめるのも恭介。
理樹は、そんな仲間たちに守られてきた少年です。

しかし、これまでの個別ルートや数々の出来事を経験したことで、その関係は少しずつ変わっていきます。仲間に守られてきた理樹が、自分で考え、誰かを支え、やがて自分の足で立てるようになっていく。

この成長こそが、本作の物語全体を通して描かれてきた大きな軸のひとつだと感じました。

恋愛ADVとして始まった物語が、最後には「仲間から受け取ったものを胸に、一人の少年が成長していく友情の物語」へと収束していく。

詳しく語ると本作最大のネタバレになってしまうのでここでは触れませんが、Refrainまで遊び終えたとき、

「ああ、この作品は最初から最後まで“リトルバスターズ”の物語だったんだ」

と強く感じました。

その4:野球にバトルまで。無駄に凝ったミニゲームと遊び心

ここではゲーム性についても触れておきます。重いシナリオが印象的な本作ですが、その一方で、妙なところに全力を注いだ遊び心も大きな魅力です。

代表的なのが野球のミニゲーム。仲間たちと野球の練習を行い、飛んできたボールを打ち返すというシンプルな内容ですが、キャラクター同士の掛け合いや予想外のハプニングが頻繁に起こるため、思った以上に楽しく遊べます。ほかにも、キャラクター同士が順位を競うバトルランキングなど、本筋とはほとんど関係ないのに妙に凝った要素がいくつも用意されています。

「そこまで作り込む必要ある?」と思うくらい無駄に凝っているのですが、こういう遊び心は個人的にかなり好きでした。

共通ルートのバリエーションについて

さらに驚かされたのが、共通ルートそのものの作り込みです。

選択肢による細かな分岐が非常に多く、誰と行動するか、どのイベントを見るかによってキャラクター同士の掛け合いも変化していきます。同じ共通ルートを何度も通る作品でありながら、選択肢が非常に多く、会話のバリエーションがかなり豊富で、「こんなところまで別パターンが用意されているのか」と驚く場面も少なくありませんでした。

特にリトルバスターズのメンバー同士のやり取りはパターンが多く、くだらない会話ひとつ取ってもかなり作り込まれています。ミニゲームも含めて、直接シナリオを進めるためには必要のない部分まで徹底的に作り込まれている。

こうした“無駄に本気な遊び”がたくさん詰まっているところも、『リトルバスターズ!』らしい魅力のひとつだと感じました。

気になったところ・注意点

ここまで魅力を紹介してきましたが、前提として『リトルバスターズ!』は、かなり人を選ぶ作品だとも感じました。

その1:とにかく長く、テンポが悪い

一番気になったのは、とにかく物語が長いことです。

共通ルートでは仲間たちのふざけた掛け合いがかなり長く続き、個別ルートに入るまでにもそれなりの時間がかかります。もちろん、この何気ない日常が本作の魅力でもあるのですが、正直なところすべてのやり取りが面白いわけではなく、途中でかなりダレました。

さらに複数の個別ルートを攻略する必要があるため、物語の核心までたどり着くにはかなりの時間が必要です。大筋のテーマや終盤の物語は非常に良かっただけに、現在のゲームのテンポ感に慣れていると、この長さはかなり厳しく感じるかもしれません。

その2:ヒロインの癖が強く、恋愛ADVとしては刺さらなかった

もうひとつは、ヒロインたちがかなり人を選ぶことです。

絵柄にも独特のクセがありますし、キャラクターも全体的にかなり個性的。見た目も幼さを感じるデザインのキャラクターが多く、個人的には恋愛対象として強く惹かれるヒロインはあまりいませんでした。また個別ルートでは、精神的に追い詰められたり、大きな問題を抱えたりするヒロインが多く、理樹が彼女たちを支えながら前へ進んでいく展開が中心になります。

そのため、甘い恋愛を楽しむ作品というより、かなり重い人間ドラマを読む感覚の方が強いです。恋愛描写にも少し独特のねっとりとした雰囲気を感じる場面があり、このあたりも好みは分かれそう。

個人的にはヒロインとの恋愛そのものより、理樹の成長や仲間たちとの友情の方が圧倒的に刺さった作品でした。

まとめ

今回は『リトルバスターズ!』をクリアレビューしました。

実際に最後まで遊んでみると、個別ルートの重さや長さ、独特のノリなど、かなり人を選ぶ作品だと感じました。一方で、物語の核心までたどり着いたときに見えてくる仲間たちとの友情と理樹の成長は、本作ならではの大きな魅力です。

特に、最初は頼りなかった理樹が、さまざまな経験を経て少しずつ成長していく姿と、それを見守るリトルバスターズの仲間たちの関係性がとても印象に残りました。個人的には、恋愛ADVとしてよりも、友情と成長を描いた青春ドラマとして強く心に残った作品です。

長い作品ではありますが、最後まで遊んだからこそ味わえる感動は間違いなくあります。

仲間との友情を描いた物語が好きな人、重くても最後に大きな感動が待っている作品を遊びたい人には、ぜひおすすめしたい一本です。

この記事を書いた人
ヤマザキ

ゲームクリエイターとして働きながら、ゲームブログ「LUDENS」を運営。
実際に遊んで面白かったゲームを、ストーリーからゲームシステムまで幅広く紹介しています。

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