【久我山栞の死様手帖】クリアレビュー・評価|笑いとホラーの果てに待つ、極上のミステリーと切なすぎる物語

レビュー
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こんにちは。ヤマザキです。

今回は、『久我山栞の死様手帖』の評価・感想・レビューになります。

この記事では本作の良いところや気になったところなど、率直なレビューをお届けします。
気になる方は購入の参考にしてみてください。

この記事はこんな人におすすめ!
  • 「オカルトコメディ」のノリや、キャラ同士の楽しい掛け合いが好きな方
  • 探索や選択肢による細かな分岐、豊富なバッドエンド回収が好きな方
  • 笑いの裏に隠された、本格的なミステリーやホラー要素を楽しみたい方
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はじめに

『久我山栞の死様手帖』は、2026年4月30日にLaplacianよりSteamにて発売されたアドベンチャーゲームです。
ジャンルは、オカルトコメディを主軸とした「ホラー系ミステリー・ビジュアルノベル」となっています。

ある日、主人公が出会った首吊り死体。しかし、実はこれは死体ではなく、カジュアルに自殺を繰り返す幽霊の少女「久我山栞」でした。本作は、記憶のない彼女の「死因」と「未練」を探す物語。やがてたどり着くひとつの事件と、そこに隠された栞の死の真相に迫っていく作品となっています。

実際に最後まで遊んでみた結論としては、
「魅力的なキャラが織りなすオカルトコメディのノリと、幼女連続誘拐殺人事件の真相に迫るミステリー要素が見事に融合した傑作。ただ、クリア時間の割に強気な価格設定など、一部気になる点もある」でした。

個人的にはシナリオがとても面白く、一気にプレイしてしまうほど大満足だった本作。今回は、そんな本作の魅力と、気になった点を含めて詳しくまとめていきたいと思います。

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『久我山栞の死様手帖』の魅力

ここからは本作の魅力について、見ていきましょう

その1:笑いと恐怖、そして感動。極上の「オカルトコメディ×ミステリー」

本作のあらすじは冒頭で説明した通り、「記憶を失った幽霊の少女・久我山栞の死因を探す」というものです。

「死」を扱うテーマであるため根底には暗さも持ち合わせているのですが、基本的には主人公と栞のノリが非常に良く、コミカルな雰囲気で進んでいきます。声を出して笑える場面も多いです。
一方で、都市伝説などのオカルト要素やホラー要素もしっかりと組み込まれており、時に背筋が凍るような「ゾッとする怖さ」で緩急をつけてくるのが見事でした。

「幼女連続誘拐殺人事件」に迫る本格ミステリー

そして中盤以降、物語は「幼女連続誘拐殺人事件」の真相と、そこに栞がどう関わっているのかを追うミステリー的な展開へとシフトしていきます。

事件の手がかりを聞き込みながら、少しずつ明らかになっていく事件の全容と、二転三転する真実。彼女が大切にしていた家族はどうなったのか。このあたりのシナリオの牽引力は凄まじく、やめ時が見つかりませんでした。

結末とその先にある感動

そして、すべての結末が明らかになった後にわかる「衝撃の真実」。
ネタバレになるので何とは言えませんが、本当に感動間違いなしの結末が待っています。

特に、最後の栞と主人公の別れのシーンはあまりにも切なく、それぞれの想いが通じ合った瞬間に思わず涙が溢れました。死者の想いと、そこに寄り添う者の感情に胸が締め付けられる展開は、意外にも「泣きゲー」的な側面を強く持ち合わせています。

エンディングを迎え、タイトル画面に戻ってきた時のあの切なさと「余韻」の深さは、アドベンチャーゲームの中でも屈指のものでした。

その2:愛さずにはいられない!魅力的なキャラクターたちの掛け合い

そして、本作を語る上で欠かせないのが「キャラクターたちの魅力」です。

栞のツッコミと主人公の「奇行」

特にヒロインの栞が最高に可愛いです。
ビジュアルの良さはもちろんですが、待ち合わせのたびに「毎回違う死に真似をして待っている」というブラックなユーモアや、好奇心旺盛な性格も飽きさせないポイントです。

また、面白いのが、主人公と栞の掛け合いの「構図」です。

主人公は基本的に無口なのですが、選択肢などでノリノリで「奇行」に走ります。それに対して、幽霊である栞がツッコミを入れるという関係性が出来上がっており、この二人の掛け合いはずっと見ていたいと思えるほど魅力的でした。

物語を彩る個性豊かな幽霊たち

また、栞以外にも魅力的なキャラクターたちが多数登場します。

  • ギャル子: いつもコンビニの前にたむろしている、チャラいノリの幽霊。
  • カワシマレイコ: 都市伝説にやたらと詳しい、病み系ファッションの女の子。
  • 司書さん: いつも図書館にいる、落ち着いた雰囲気の元司書の幽霊。

それぞれのキャラがしっかりと立っていて可愛らしく、彼女たちもメインストーリーに深く絡んできます。オカルトコメディというジャンルにおいて、これほどキャラが生き生きと動いているのは素晴らしいポイントでした。

その3:好奇心を刺激するゲームシステムとコレクション要素

本作のゲーム進行は、基本的に「選択肢を選ぶ」ことと「行く場所(マップ)を選ぶ」ことの2つで進んでいきます。シンプルに見えますが、この分岐のバリエーションと作り込みが非常に面白いのです。

例えば、行く場所が複数ある場合、「どの順番で回ったか」によって、気づかないうちに物語が分岐していたりします。

複雑で楽しい「エンディング回収」

本作にはトゥルーエンドを含めて12個のエンディングが用意されているのですが、この回収作業が非常に楽しいです。

というのも、同じ選択肢を選んだとしても、「ずっと前に特定の伏線を踏んでいたかどうか」によってその先の展開がガラッと変わったりするからです。中には思わず笑ってしまうようなコミカルなエンドディングや12種類には含まれない即死バッドエンドの数も多く、いろいろなパターンを試してみたくなる中毒性があります。

図鑑を埋める「都市伝説」の収集

また、シナリオの道中で「都市伝説」と呼ばれる怪異現象に遭遇していく要素もあります。

これらを集めて「都市伝説図鑑」を埋めていくコレクション要素もあります。都市伝説の内容自体とても興味深いですし、ゲームを進めるモチベーションをしっかり高めてくれる良いスパイスになっていました。

その4:ゲームとしての「インタラクティブ」な仕掛け

本作をプレイしていて最も感心したのは、ただ文章を読むだけのノベルゲームに留まらず、「インタラクティブ(双方向)なゲーム」としての仕掛けが徹底されている点です。

「選ばない(待つ)」という第3の選択肢

例えば、本作の選択肢は「はい」「いいえ」の2つだけとは限りません。場面によっては、「あえて何も選ばずに数秒待つ」ことが正解(あるいは別ルートへの鍵)になることがあります。

一番わかりやすいのが、ゲーム開始直後のシーンです。(※一番最初なので、ここだけ少しネタバレをお許しください)
栞の首吊り死体に話しかけられ、「私の姿が見えている?」という質問に対する『はい / いいえ』の選択肢が出ます。ここで答えずに数秒間放置すると……なんとそのまま「何も起こらなかった」というエンディングに突入してしまうのです!

プレイヤーの「介入」を意識した作り込み

他にも、たとえ選択肢が1つしかなかったとしても、あえてプレイヤー自身にボタンを押させる演出が徹底されています。
ビジュアルノベル的な側面が強い作品でありながら、「どこでプレイヤーを物語に介入させるか」が非常によく試行錯誤されており、ゲームとしての完成度が極めて高いと感じました。

終盤には、「プレイヤー自身の正体」を含めたアッと驚くような仕掛けも用意されています。このあたりのメタ的な構造も含めて、単なる読み物で終わらせない素晴らしいゲーム体験でした。

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気になったところ・不満点

非常に完成度の高いアドベンチャーゲームであった本作ですが、一部気になる点もありました。

その1:プレイボリュームに対する強気な価格設定

まず気になったのは、ボリュームと価格のバランスです。

筆者の場合、すべてのエンディングを回収し、トゥルーエンドに到達するまでのクリア時間は約7時間程度でした。
分岐が複雑なため、必要に応じて攻略情報を調べて進めたこともあり、試行錯誤する時間はあまり入っていません。しかし、それを差し引いても全体的なボリュームとしてはそこまで多くはありません。

それに対し、本作の価格は3,400円(Steam版)となっています。
昨今のインディーゲーム界隈では、10時間以上遊べる名作が2,000円台で買えることも珍しくないため、それに比べると「少し強気な価格設定だな」と感じてしまいました。

もちろん、フルボイスや動く立ち絵、シナリオのクオリティの高さを考えれば決して不当な価格ではないのですが、「手放しでおすすめできる安さではない」というのは正直なところです。

その2:人を選ぶ「グロ表現」と「下品さ」への注意喚起

本作は「オカルトコメディ」というジャンル名の通り、笑いあり怖さありの作風が特徴です。しかし、タイトルに『死様手帖』とあるように、作中ではかなり頻繁に「死体」や「凄惨な死に様」が描かれます。

物語の全体像が終始陰鬱というわけではなく、あくまでオカルトコメディとしての表現なのですが、ビジュアル的な「グロさ」はそれなりに強めです。また、コメディパートのノリにおいて、やや「下品」に感じる生々しい表現も含まれています。

こうした表現やノリに耐性がない方にとっては、プレイしていて少しキツく感じる場面があるかもしれません。「人を選ぶ要素」が明確に存在するという点は、購入前に注意が必要です。

その3:悪役の胸糞悪さと、一部サブキャラの描写不足感

前述した通り、メインシナリオ自体はめちゃくちゃ面白いのですが、本作に登場する「悪役」が本当に、ただひたすらに「クズ野郎」なのです。

最近のゲームの悪役は、「彼らにも事情があった」「悲しい過去ゆえの凶行だった」と、ある程度感情移入できる描かれ方をすることも多いですよね。しかし本作の悪役には同情の余地など一切なく、純度100%のクズです。
一応の成敗は受けるものの、あまりにも胸糞悪すぎて、プレイ後に少しモヤッとした感情が残ってしまいました。

本作のシナリオライターは『9-nine-』シリーズなどでも知られるかずきふみ氏なのですが、正直『9-nine-』の時にも同じような「悪役の胸糞悪さ」を感じたので、これはライターさんの癖なのかもしれません。

サブキャラへの救済が足りない

また、悪役だけでなく、サブキャラクターの扱いについても描写不足を感じました。

栞と主人公、そして司書さんを巡るメインの物語は本当に素晴らしいのですが、それ以外のサブキャラの中には「え、こいつの結末これで終わりでいいの?」と言いたくなるほど救いのない退場をするキャラがいます。

全体的なボリュームが短めという問題もあるため、もう少しサブキャラたちのエピソードを深掘りして、彼らにも救いのあるルートを用意してくれれば、読後感もさらに良くなったのになと惜しく感じました。

その4:プレイ環境の不安定さとUIの不便さ

最後に、システム面で時折「不安定さ」を感じる部分がありました。

プレイ中、なぜか突然テキストが英語や中国語に切り替わってしまう現象に数回遭遇しました。
何らかのショートカットキーを誤爆してしまった可能性もありますが、そもそもプレイ中に言語が切り替わるショートカットなどあるのでしょうか……? バグなのか仕様なのか分かりませんが、没入感が削がれてしまうので困惑しました。

また、スキップ機能の挙動も少し直感的ではありません。
スキップ中に「選択肢」が現れた際、スキップをスムーズに解除できず、意図しない挙動をしてしまうことがありました。また、チャプターセレクトなど、任意の場所からやり直す機能がない点など、現代のゲームとしてもう少し遊びやすさがあればと感じてしまったのも事実です。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は『久我山栞の死様手帖』のクリアレビューをお届けしました。

本作は、「死にたがりの幽霊少女」とのコミカルな掛け合いから始まり、徐々にホラーや本格ミステリーの顔を見せ、最後には「泣きゲー」として極上の切なさと余韻を残していく、非常に完成度の高いアドベンチャーゲームです。

悪役の胸糞悪さや、サブキャラの救いのなさといった人を選ぶ要素はあるものの、「選ばない」という選択肢を含めたインタラクティブなゲーム体験や、魅力的なキャラたちが織りなす物語には、時間を忘れて引き込まれる魔力がありました。

  • 笑いあり、ホラーありの「オカルトコメディ」を楽しみたい方
  • プレイヤーの好奇心を刺激する、探索やエンディング回収が好きな方
  • 切ない別れと、極上の余韻を残す「泣きゲー」を求めている方

これらの方にとって、本作は間違いなく心に残る一作になるはずです。
気になった方は、プレイしてみてください!

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