こんにちは。ヤマザキです。
今回は、2026年7月23日にTeam Tetrapodから発売予定の『Staffer Retro: 超能力推理クエスト』体験版のプレイレビューになります。
今回は、約4〜5時間遊べる大ボリュームの体験版(Act.1)をプレイして感じた、本作の凄みと課題についてお伝えします。
- 前作『Staffer Case: 超能力推理アドベンチャー』の重厚な世界観や推理システムが好きな方
- どこまでも人間らしい魅力的なキャラたちが見たい方
- 証拠資料を読み込み、自らの手で矛盾を暴く本格的な推理体験を求めている方
はじめに
皆さんは『Staffer Case: 超能力推理アドベンチャー』という作品をご存じでしょうか。
2023年に発売され、その圧倒的なシナリオ完成度と「超能力×本格推理」の融合によって、ミステリーファンを唸らせた隠れた名作です。
本作『Staffer Retro:超能力推理クエスト』は、その世界観を共有するシリーズ最新作。
舞台は前作の1960年代ロンドンから、同年代のイタリアへと移ります。物理法則を捻じ曲げる「マナ」と、超能力者「ステッパー」が存在する基本設定はそのままに、新たな地での物語が幕を開けます。
物語の主人公は、とある事件をきっかけに多額の借金を背負ってしまった少女「ヴェリータ・レトロ」。彼女が借金を返すために、超能力(スキル)にまつわる様々な事件に翻弄されていく姿が描かれます。ちなみに前作と直接的なストーリーの繋がりはないため、本作からプレイし始めても全く問題ありません。
実際に体験版を最後までプレイしましたが、結論から言えば、
「前作ファンなら絶対に遊ぶべき。そして推理アドベンチャーファンなら今すぐチェックすべき素晴らしい一作」でした。
前作の良さをしっかりと引き継ぎつつ、システム面やビジュアル・演出面が大幅に強化された本作の魅力について、詳しく見ていきましょう。
『Staffer Retro:超能力推理クエスト』の魅力
ここからは本作の魅力について深堀していきましょう
その1:圧倒的に面白い「二段構え」のシナリオと歪んだ人間ドラマ
まず本作、とにかくシナリオが面白いです。前作も圧巻でしたが、今作も体験版の時点でそのクオリティの高さがビシビシ伝わってきます。
物語のあらすじ

主人公は、レトロショップを営む14歳の少女「ヴェリータ・レトロ」。
物語は、一度売った商品を同じ値段で買い戻したいという奇妙な客の依頼から始まります。
しかし、その事件の最後に明かされたのは、「父親が1000万の借金を残して逃げた」という衝撃の事実でした。ヴェリータは、その多額の借金を背負わされるというハードな状況で、物語の舞台へと放り出されます。
「規制のないイタリア」で描かれる超能力の脅威

本作の世界観には、物理法則を無視する力「スキル」を持つ「ステッパー(超能力者)」と、その力が宿った物体「ステップ」が存在します。前作のロンドンではこれらは厳重に規制されていましたが、本作の舞台となるイタリアは「ステップが規制されていない」国になります。
ヴェリータは借金返済のため、前作では闇商人だったステップ商人「ベリン」の助手として、正体不明のステップの謎を調査することになります。第1話では「うさぎの置物(ステップ)」の爆発事件を追いますが、スキル発動の「トリガー(条件)」を探る中で二転三転する真相には、目が離せないものになっています。
「表向きの真実」のその先へ

本作の醍醐味は、前作同様に「表向きの真実を暴いた後、さらにその奥に隠された真実へ辿り着く」という二段構えの構造にあります。
裏の真実は都合のよいモノではない場合も多く、それでも真実を追うか、目を背けるかというテーマ性が強くなっています。推理によって一つずつパズルのピースを埋め、衝撃的な真相が明らかになる快感は、ミステリーファンなら鳥肌モノ。フルボイスの演技による臨場感も相まって、まさに「極上の推理体験」を味わえます。
その2:不可解な「お姉ちゃん」の謎と、魅力的なキャラクターたち
本作を語る上で欠かせないのが、魅力的キャラクターたちの存在です。
正体不明の「お姉ちゃん」の存在

ヴェリータと常に行動を共にしているお姉ちゃん「ヴェーロ・レトロ」。彼女はすべてを見通しているかのように振る舞い、幾度となく主人公を助けてくれます。
しかし、「周りの人には彼女が見えていない」かのような不可解な描写が多々あり、「彼女は一体何者なのか?」という大きな謎が、物語を追う強い牽引力になっています。ただの都合の良い助っ人ではなく、どこか過激でうさんくさい思想を持っている点も、本作の深み(あるいは不気味さ)に繋がっています。
美しさと「人間の醜さ」が共存する人々

また本作面白いのが、登場人物が、決して「いい人」ばかりではありません。
登場するきゃらくたーのそれぞれが、自分自身の「思想」や「エゴ」に基づいて行動しているさまが丁寧に描かれます。そこには嫉妬、醜さ、あるいは歪んだ信念といった「人間臭さ」が詰まっています。このどこまでも胡散臭い人間ドラマこそが、シリーズ最大の魅力だと言えると感じています。
前作キャラクターについても注目

前作で強烈な印象を残した闇商人「ベリン」が、今作ではヴェリータの先生というポジションで登場します。
前作では人を騙すことも厭わない食えない人物でしたが、今作で彼女がどのように動いていくのか、ファンなら気になって仕方がないはずです。さらに、声優リストには前作キャラクターの名前もチラホラ……。前作ファンなら「ニヤリ」とすること間違いなしのファンサービスも期待できます。
その3:立ち絵が「動く」!Spineアニメーションによる驚きの演出

本作のビジュアルを見てまず驚くのが、キャラクターたちの動きです。
本作では、メインキャラからエキストラに至るまで全21名以上のキャラクターに「Spineアニメーション」という技術が適用されています。
「Spineアニメーション」って何?
「なんだその専門用語は?」と思うかもしれませんが、端的に言えば「2Dのイラストに、滑らかな動きや命を吹き込む仕組み」のことです。
これまでの推理ゲームの「立ち絵」といえば、表情が変わるだけの静止画が一般的でした。しかし本作では、キャラクターがまるで生きているかのように呼吸をし、豊かな表情で動き回ります。
ただの絵ではなく、そこに「実在感」が生まれるため、物語への没入感が前作とは段違いに良くなっています。
中世イタリアの街並みをバイクで疾走するカットシーンなど、もはや「ムービー」に近い演出表現が可能になっており、立ち絵の進化には本当に度肝を抜かれました。
表情の差分がもたらす「感情の解像度」

このアニメーションのおかげで、キャラクターが抱く「嫉妬」や「焦り」といった細かな感情が、表情のわずかな変化から読み取れるようになっています。
「次はこのキャラがどんな反応をするんだろう?」と見ているだけで飽きませんし、この表現力の高さこそが前作との大きな差別化ポイントだと言えるでしょう。
その4:格段に遊びやすくなった「本格推理体験」
システム面では、前作の良さを残しつつも格段に遊びやすくなっており、非常に面白いです。
自らの頭で結論を導き出す快感

本作はポイント&クリック型のシステムを採用しており、膨大な調査資料の中から結論や証拠を指し示す、本格的な推理体験が楽しめます。
物語の中で会話を進めることで集まっていく資料を読み込み、特定の場面で「怪しい箇所」や「矛盾」を指摘していく流れです。資料の数自体が多いため、前作同様に全体的な難易度は高めですが、ヒント機能も用意されているので、じっくり腰を据えて考えられるようになっています。
前作の「とっつきづらさ」が大幅に改善

前作は正直なところ、不親切な部分も多かったです。「さあ推理してくれ」と言われても、「何を指せばいいのか?」と戸惑う場面が多く、操作も複雑で直感的ではありませんでした。インディーズ特有の「遊びづらさ」があったのは否めません。
しかし本作では、そのあたりが明確に整理されています。「この空欄に入る文言を資料から選ぶ」といった具合に、目的が分かりやすく提示されるようになり、UX(ユーザー体験)としてかなり最適化されていると感じました。
物語を総括する「Re-story」システム

本作特有の要素として、「Re-story」というシステムが登場します。
前作の「六角推理」にあたるものですが、こちらもより分かりやすくなっています。集めた手がかりを元に、過去から現在までの事件の流れを整理していくという内容です。
具体的には文章の空欄を埋めていく形式なのですが、これが物語の流れを整理する総括として非常に面白いです。時には「自分たちの前提が間違っていた」ということに気づき、間違いを訂正しながら真実に近づいていくプロセスは、推理ゲームの醍醐味が詰まっていると感じました。
その5:豪華すぎる体験版のボリューム

現在公開されている体験版は、第1話にあたる「Act.1」を丸ごとプレイすることができます。
プレイ時間は、じっくり推理して約4〜5時間。一つの事件が解決するまでしっかりと描かれますが、その結末が衝撃的で「続きが気になりすぎる!」という最高のタイミングで終わります。全編フルボイスの演技も素晴らしく、これだけで「製品版を買う価値がある」と確信させてくれる太っ腹な内容です。
しかも、製品版全体のボリュームは30時間以上になるとのこと。
インディーズ作品としてこのボリュームは驚異的ですし、フルボイス対応であることを踏まえると、コストパフォーマンスは相当高いと言えるでしょう。
気になったところ・課題
全体的な完成度は非常に高い本作ですが、気になった点についても一部存在しました。
その1:改善はされたが、相変わらずの「わかりづらさ」

前作に比べればシステム周りは圧倒的に整理されていますが、推理の難易度は相変わらずシビアです。
膨大な資料の中から正解の箇所を指し示すという体験は、やはり一筋縄ではいきません。
前作で感じた「そもそも問題文の意味が分からない」という状況は減ったものの、ヒント機能を使ってもなお「え、そこを指すの?」と首をかしげてしまう場面はいくつかありました。自力ですべてを解き明かそうとすると、推理ゲーム初心者には依然としてハードルが高い部分があるかもしれません。
まとめ

いかがだったでしょうか。今回は『Staffer Retro: 超能力推理クエスト』体験版のレビューをお届けしました。
結論を言えば、本作は「前作の良さを引き継ぎつつ、演出や遊びやすさが大幅に進化した正当進化作」です。
人間の醜さまで描く深い物語、Spineアニメーションによる豊かな表情、そして自分の頭で矛盾を暴く本格推理。体験版だけで4〜5時間遊べるボリュームには、Team Tetrapodの並々ならぬ気合を感じました。
本格的な推理をじっくり楽しみたい方や、前作の世界観が好きな方、前作のファンなら間違いなく「買い」ですし、前作未プレイでも問題なく楽しめる作りになっています。
製品版は30時間以上のボリュームかつフルボイス。まずはこの豪華な体験版をプレイして、本作の魅力を体感してみてください。
クオリティの割に知名度が低めの本作、今のうちに気になった方は、ぜひチェックしてみてください!
前作の紹介記事はこちら



