【HUNDRED LINE -最終防衛学園-】クリアレビュー・評価|100の結末が狂気を呼ぶ、シナリオ特化の異色作

レビュー
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こんにちは。ヤマザキです。 今回は、『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』の評価・感想・レビューになります。

この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。 気になる方は購入の参考にしてみてください。

この記事はこんな人におすすめ!
  • 圧倒的なボリュームのADV、シナリオを体験したい方
  • 謎解きや先の読めないダークな展開が好きな方
  • ゲーム性よりもストーリー性を重視する方

※注意:本作はどうしてもゲームの特性上、中盤以降の大きなシステム・シナリオに関するネタバレが含まれます。未プレイの方はご注意ください。

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はじめに

『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』は、2025年4月24日にアニプレックスから発売されたアドベンチャーゲームです。『ダンガンロンパ』シリーズを手掛けた小高和剛氏と、『Ever17』や『AI: ソムニウムファイル』などで知られる打越鋼太郎氏がタッグを組んだ完全新作として、発売前から大きな話題を呼んでいた作品です。

そんな本作をプレイした結論から言えば、
「ADVファン必見の圧倒的なシナリオが魅力。特に2周目以降に待ち受ける100種類のエンディングは狂気の作り込みだが、ゲームデザインがそれに追いついておらず、激しく人を選ぶ怪作」でした。

この作品でしか味わえない唯一無二の魅力が詰まっており、ADVファンの筆者としては大歓喜の仕上がりです。その一方で、膨大なルートを遊ばせるためのゲームプレイの最適化が不十分で、システム面の問題点はかなり大きいと感じる場面もありました。

今回は、そんな本作のシナリオの魅力と、抱える問題点について詳しく見ていきましょう。

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基本的なゲームサイクルとその魅力

まずは本作の概要と、基本的なゲームシステムの魅力について説明していきましょう。
(※本記事では、この後言及する「2周目以降」をあえて分けて解説します)

その1:謎が謎を呼ぶ、引き込まれるシナリオ

物語は、「東京団地」で平凡な日常を過ごしていた主人公・澄野拓海(すみの たくみ)の視点で始まります。

家族や幼馴染と過ごす穏やかな日々を過ごしていたところ、突如現れた正体不明の襲撃者が現れます。
自らを「SIREI」と名乗る謎の生物によって、異能の力「我駆力(がくりょく)」に目覚めた拓海は辛くも窮地を脱しますが、その後、謎の施設「最終防衛学園」への転校させられることに。

学園に集められたのは、拓海を含めて15人の生徒たち。
彼らに与えられた目的は、迫りくる敵「侵校生」からこの学園を100日間守り抜き、人類を救うことでした。

謎だらけの世界観と容赦のない展開

「なぜ拓海の住んでいた団地には”天井”があったのか?」「学園を襲ってくる敵の正体は?」「開始数日で姿を消すSIREIの目的は?」など、序盤から謎だらけの展開で幕を開けます。

『ダンガンロンパ』を彷彿とさせるイベント進行で、キャラクターが容赦なく死んでいくショッキングな展開も多く、まさに「辞め時を失う」ほど先が気になるシナリオとなっています。

その2:死を力に変えるシミュレーションRPG

学園に迫りくる敵とのバトルは、マス目状のマップでAP(行動力)を消費して戦うシミュレーションRPG形式で行われます。

キャラクターにはそれぞれ得意科目(パッシブスキルのようなもの)が用意されており、戦況に応じた配置が求められます。また、一度行動したキャラは疲労してしまうため、特定のキャラだけを動かし続けることは難しい構造になっています。

仲間の死が鍵を握るダークなシステム

本作のバトルの最大の特徴は、「味方が死ぬと戦闘が有利になる」というシステムです。

仲間が行動すると「VOLTAGE」というゲージが溜まり、100%消費することで必殺技が撃てるのですが、なんと味方が死ぬことでもこのゲージが100%溜まります。

さらに、瀕死状態のキャラは「決死必殺」という、自身の命と引き換えにVOLTAGE消費なしで必殺技を放つことが可能です。リザルト画面に「ナイスDeath」という評価項目があるなど、「仲間の死を力に変えて戦局を打開する」というシステムは、本作のダークな世界観と非常にマッチしており、独特の戦略性を生み出していました。

その3:学園生活を楽しむ日常パート

バトル以外の「自由行動」の時間では、学生兵器の強化や仲間との交流など、様々な活動を行えます。

  • 探索: 歩数カードを使ってすごろく形式でマス目を進み、アイテムの素材を集めるミニゲーム。
  • プレゼント: 集めた素材でプレゼントを作成し、仲間との仲を深める。
  • 学究活動(会話): キャラクター同士で交流し、スキル強化に必要な「成績」を上昇させる。
  • 強化・訓練: 訓練室のVRマシーンで得たBP(バトルポイント)や成績を使い、スキルのレベルアップや新たな兵器を開発する。

このように、自由行動でできることは非常に多く、どれもその後の防衛(バトル)を有利に進めるための確かな恩恵となります。1周目の段階では、「この限られた100日間をどう過ごし、誰を強化していくか」というリソース管理の楽しさがありました。

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あまりにも凄まじい「2周目以降」の狂気

さて、ここまでに紹介した内容は、あくまで「1周目(序盤)」の話に過ぎません。本作の真のえぐさは、ここから始まります。

1周目は、一言で言えばバッドエンドで幕を閉じます。
しかし、主人公の拓海は特殊な力によって「1日目からやり直す」ことを決意します。ここからタイトルロゴも『HUNDRED LINE 2』へと変わり、驚愕の「100ルート分岐」という果てしないエンドコンテンツが幕を開けることになります。

それぞれのルートが数時間以上のボリュームを持ち、共通ルートでの選択肢によって全く異なる結末へと分岐していきます。この作りこみは狂気と言わざる負えません。

多彩すぎるシナリオバリエーション

物語の真相が明かされる「真相解明編」や、突如として仲間同士の殺し合いが始まる「デスゲーム編」、比較的平和な日常が描かれる「コメディ編」など、ルートのバリエーションは凄まじいものがあります。

特に「真相解明編」で待ち受けるあまりにも絶望的な真実と、その先に辿り着くエンディングは、個人的に非常に心に残る大好きなシナリオでした。

2周目以降は「チャプターセレクト機能」が解禁され、どこからでもやり直しができるようになるため、これを駆使して様々なルートを遊んでみてほしいです。

100種類もの結末のうち、どれか一つくらいはあなたの心に深く刺さるシナリオがあるはずです。

【微ネタバレ注意】未プレイ者向けおすすめルートと攻略順

もっと読んでみる

結論から言えば、本作の「100種類のルートを全てプレイする」というのは非常に大変です。

後述するようにルートによってシナリオの面白さなどに明確な「格差」が存在します。そのため、「最初に適当に選んだルートが面白くなくて、途中でプレイをやめてしまう」というのも起こりえると持っており、それはあまりにも勿体ないです。

開発陣は「どのルートもトゥルーエンドであり、解釈はプレイヤーに任せる」というスタンスですが、明らかに「力の入り具合」が違うルートが存在します。
そこで、これからプレイする方に向けて、筆者の個人的な「おすすめルートとざっくりとした攻略順」を紹介しておきます。

大前提として「どのルートから攻略してもOK」ですが、迷ったら参考にしてみてください。

1.まずは「真相解明編」からプレイするのがおすすめ

本作の実質的な「真エンディング(トゥルーエンド)」に近い扱いであり、明らかに他ルートよりも力がこもっているのがこの「真相解明編」です。

作中の謎が基本的に全て明らかになるだけでなく、先が気になる展開の連続で本当に面白いです。専用のボス戦も用意されており、最後に待つエンディングの情緒も含めて、本作で一番完成度が高いルートだと感じました。

極端な話、このルートさえクリアすれば「最低限『HUNDRED LINE』を遊んだ」と言えるほどの満足感があります。これだけは絶対にプレイしてほしいです。

2.精神的にキツいが熱い展開が多い「デスゲーム編」

真相解明編をクリアした後に、様々な選択肢を試して他ルートを見ていくのがおすすめですが、その中でも特におすすめしたいのが「デスゲーム編」です。

これは学園内で「侵校生ハント」というデスゲームが開催されるルートで、倒した敵の数を競い、最下位の人は主催者に殺されてしまうという過酷なルールで進行します。
血なまぐさく精神的にキツい展開が多いのは事実ですが、極限状態だからこそ「各キャラクターの本質や、本当に大切に思っていること」が垣間見えるルートです。

作中の謎もある程度明かされますし、何よりこのルートで主人公の相棒ポジションとして支えてくれる仲間たち(ネタバレになるため名前は伏せます)の活躍がすごく、そのキャラが本当に好きになってしまいました。数あるルートの中でも、トップクラスに面白いと感じたシナリオです。

3.全ての謎が交差する集大成「SF編」

もう一つのおすすめが、仲間全員が生存する完全なハッピーエンドを目指して奮闘する「SF編」です。本作の最大の魅力は、様々なルートの内容が交差して一つの真実が見えてくる「多層的なシナリオ構造」にあります。

実はこのルートには「シナリオロック」というシステムがあり、特定の他のルートをクリアしていないと進めないようになっています。その上、他ルートの重大なネタバレも含まれているため、できる限り最後にプレイすることをおすすめします

事前に「ワザワイの箱編」「血みどろ編」「推理編」「デスゲーム編」あたりをクリアしておくと良いでしょう。
他のルートをプレイしている時に感じた「あのルートのあの謎」が、このSF編で一気に回収されていく展開は圧巻の一言。「絶対に打越さんの担当シナリオだろ」と思ってしまうほど、『AI: ソムニウムファイル』などを彷彿とさせる見事な伏線回収と解決へのカタルシスが味わえます。

その他のおすすめルート

上記の3つを優先してほしいですが、他にも面白いルートはたくさんあります。個人的には印象に残ったルートを記載します。

  • ノモケバ編: 飴宮怠美が主役となるルート。彼女の魅力を深く知ることができます。
  • カリスマ澄野編:笑ってしまう展開が多いギャグ寄り(?)のルートですが、完全に狂っていて、印象に残ります。
  • イヴァー編 / ヴェシネス編: 敵側にフォーカスが当たる興味深いルート。
  • さよなら蒼月編: 蒼月衛人にフォーカスが当たるルート。個人的にかなり好きです。
攻略順まとめ
  • 大前提として、どのルートから始めても大丈夫!好きなものをプレイしてみてください。
  • 絶対にプレイすべき: 「真相解明編」
  • 次点でおすすめ: 「デスゲーム編」
  • 次点でおすすめ: 「SF編」(※事前に『デスゲーム編』『ワザワイの箱編』『血みどろ編』『推理編』をクリアしておくことを推奨)

愛着が湧く強烈なキャラクターたち

登場キャラクター全員に強すぎる個性が用意されており、長い時間をプレイヤーと一緒に過ごすため、愛着もどんどん湧いていきます。

例えば、主人公・澄野拓海の幼馴染みと瓜二つな少女「霧藤希(きりふじ のぞみ)」。
あるいは、主人公の親友になったり最大の敵になったりとゲームを通してキーマンになり続ける、「蒼月衛人(あおつき えいと)」。

さらに、情緒不安定でデスゲームを好み、死すら恐れない地雷系少女「飴宮怠美(あめみや たるみ)」など、強烈な個性と見逃せないドラマを持つキャラクターばかりです。

ルートによって主人公を支えてくれる「相棒ポジション」のキャラが変わっていく構造になっており、様々なキャラクターにしっかりとした見せ場が用意されている点は非常に良かったです。

最適化されていないゲームプレイの問題点

シナリオのボリュームと熱量は圧倒的ですが、それを遊ばせるための「ゲームデザイン」に関しては、正直なところ非常に厳しいと感じる要素が多々ありました。

毎日繰り返す自由行動の問題点

100日間を何度も繰り返すゲーム性において、日常パート(自由行動)のマンネリ化はかなり厳しいものがあります。
周回を重ねるとNPCの会話パターンも尽き、そもそもステータスがMaxになり、やることもなくなってしまうため、最終的には「毎日毎朝無意味に食堂に行き、すぐ寝る(自由行動時に何もしない)」という作業が最適解になってしまいます。

繰り返される戦闘と演出のストレス

バトルに関しても、基本的に使い回しの敵と同じ編成での戦闘を何百回も繰り返すことになります。
「同じ配置のバトルはスキップ可能」になのは救いですが、それでも一つ一つの短い演出は発生するため煩わしさを感じますし、敵の配置が少し変わるとスキップできず、テンポの悪さが際立ちます。

また、バトル中のカメラの拡縮ができず戦場全体を見渡せない点や、戦闘前の味方の初期配置変更ができない点も、回数を重ねるごとに不満として大きくなっていきました。

朝と夜に必ず挟まる学園内放送や、バトル開始時の登場演出など、何百周も繰り返すゲームだからこそ、これらを完全にスキップできないのは相当なストレスとなってしまいました。100周繰り返すことを前提としたUIUXの最適化が圧倒的に不足していると感じます。

シナリオの格差と「数合わせ」感

100個のエンディングを用意した弊害として、明らかに「数合わせ」のようなシナリオが混ざっていると感じてしまいました。

例えば「コメディ編」は、全体的に重い展開が多い本作において「誰も死なない平和な話」であること自体は嬉しいのですが、内容が薄く、唐突に時間が飛んだりして、全体を通して、非常に退屈な印象を受けました。同じように「サイワイの箱」ルートも、展開がほとんど変わらないのに分岐だけが多いなど、プレイ中の虚無感が長かったです。安直なバッドエンド(即死エンド)も多く、「100ルート」という数字のノルマが決まってしまったことの弊害を強く感じました。

もちろん予算やスケジュールの事情はあるのでしょうが、個人的にはルートを5種類くらいに絞り、その分シナリオ的にもゲームプレイ的にも極限まで作り込んでほしかったと感じてしまうのも本音です。

キャラクターの露骨な格差とヘイト

100周も繰り返すためキャラクターには愛着が湧きますが、同時に「激しい格差」と「ヘイト」を生む構造になってしまっています。

汎用性が高くシナリオ上の見せ場も多い優遇キャラがいる一方で、全く活躍しないのに、主人公の苦渋の決断に対して後から文句ばかり言う「他責思考」のキャラも多く、個人的には全員は好きになれませんでした。
プレイヤーは主人公(拓海)が100周ものループでどれだけ苦労しているかを知っているからこそ、こういうキャラに対するヘイトが異常に溜まってしまいます。

また、シナリオライターが複数いるせいか、ルートによってキャラクターの性格にブレ(解釈違い?)が生じてしまうのも残念なポイントでした。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』のクリアレビューをお届けしました。

小高和剛氏・打越鋼太郎氏のタッグが生み出した「100種類のエンディング」という狂気のボリュームと、そこに込められた圧倒的なシナリオの熱量は、間違いなく唯一無二の体験です。
特に「真相解明編」などのシリアスなルートのクオリティは凄まじいものがありました。

しかし、その膨大なシナリオを読ませるための「ゲーム部分(バトル・日常・システム)」が最適化されておらず、果てしない作業感とテンポの悪さなど、不満点が非常に多い作品であることも事実です。

全体的にかなり極端で人を選ぶ作品ですが、ADVファンであれば、この前代未聞の狂気に触れてみる価値は十分にあると思います。気になった方は、ぜひプレイしてみてください。

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