こんにちは。ヤマザキです。
今回は2023年6月30日にスパイク・チュンソフトより発売された『超探偵事件簿 レインコード』クリア後の評価・感想・レビューになります。
本作は人気シリーズ「ダンガンロンパ」の製作人が再集結して作ったソフトということもあり、期待していた方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、すごく良かったです…
筆者はダンガンロンパはプレイしたことがなかったのですが、本作の完成度には驚かされました。
本作における筆者のクリア時間は30時間ほど。エンディングまでのプレイ時間になります。
この記事ではそんな本作の良いところや悪いところを中心に書いていきます。
購入の参考にしてみてください。
※ネタバレは極力しないようにしていますが、気になる方は注意を
- 『超探偵事件簿 レインコード』の購入を検討している方
- 『超探偵事件簿 レインコード』の評価・感想が知りたい人
- ダンガンロンパシリーズとの違いを知りたい人
『超探偵事件簿 レインコード』の概要
タイトル | 超探偵事件簿 レインコード |
ジャンル | ダークファンタジー推理アクション(公式) |
発売日 | 2023年6月30日 |
発売元 | スパイクチュン・ソフト |
クリア時間 | 30時間(エンディングまで) |
評価 | 79点 |
『超探偵事件簿 レインコード』のあらすじ
物語は雨が降り続く街「カナイ区」に未解決事件撲滅を掲げる組織「世界探偵機構」から探偵見習いの主人公「ユーマ・ココヘット」が派遣されるところから始まる。
ユーマは死神と契約しており、自信のそれまでの記憶を代償にある能力を得ていた。
それは真実につながる空間「謎迷宮」を作り出すというもの。
その能力によって事件の謎を解明していくが、その背後にある陰謀に巻き込まれていく…
はじめに
『超探偵事件簿 レインコード』は2023年6月30日にスパイク・チュンソフトより発売されたアドベンチャーゲームです。
あのダンガンロンパシリーズが再集結して作った作品として非常に高い関心を集めていました。
はじめに本作の評価を言うのであれば、推理アドベンチャーゲームとしての完成度が非常に高く、大満足な作品でした。
ダンガンロンパシリーズの開発陣が手掛けるという話は聞いていましたが、そのノウハウがふんだんに活かされていて推理アドベンチャーとして洗練されている部分も多く見られた印象です。
課題こそあるものの全体を通した安定感はすごくぜひおすすめしたい作品になっていました。
評価点
その1:謎に一つずつ迫っていく目が離せないシナリオ
本作のすごいところはたくさんありますが、やはり一番に紹介したいのはそのシナリオです。
公式の表記ではジャンルは「ダークファンタジー推理アクション」とされていましたが、ベースとなっているのは推理アドベンチャーの部分にあります。
そのため、ゲームデザインとして工夫がされていてもストーリーを楽しむという部分が根本にあり、シナリオを中心にゲームが展開されていきます。
そのためシナリオの重要度は高くなっていますが、非常に面白かったです。
推理アドベンチャーとして
基本的な流れ
1.事件が起きて謎を提示する
2.調査パートにて事件の情報を集めつつ、整理する
3.事件を謎迷宮にて一つ一つ謎を解明していく
という流れで進んでいきます。
謎迷宮ではかなり丁寧に事件の真相に迫っていきますが、どのように謎を提示し、それを一つ一つ紐解いていくか、という推理アドベンチャーとしての作り方がすごくうまかったと思います。
やはりここにはダンガンロンパシリーズのノウハウが活かされているのではと感じました。
また、一つシナリオ面で取り上げたいのは、謎迷宮の設定で「犯人を突き止めるとその犯人は死んでしまう」という部分。
犠牲を払ってでも真実を追い求めるべきかというテーマがシナリオ全体を通して描かれており、ここがプレイヤーに感情移入を深めるものになっていて、考えさせるテーマとして機能していました。
ちなみに下記に各章ごとの感想をまとめてみました。クリア後に見てみてください。
その2:推理という体験をどうゲームに落とし込むか
本作は推理アドベンチャーゲームになっており、推理という要素をどうゲーム性として取り込むかというのは気になるポイントでした。
一般的に推理アドベンチャーゲームは基本的にノベルゲーの形式で事件を読み進めていき、最後に犯人は誰かを迫ってくるようなものがほとんどです。
本作もそこの造り自体は大きく変わっているわけではないのですが、何よりも違うのが謎迷宮という要素でしょう。
迷宮という形で謎を1つ1つ解き明かしていくという内容ですが、
推理バトル要素や道中にある選択肢はプレイヤー自身が自然と事件を整理し、推理していかないと解けないものになっており、その上難易度としても高すぎず低すぎないものになっています。
特に印象に残っているのは推理デスマッチという要素です
アクション要素も混ぜつつ、犯人の証言の矛盾を突くという仕様ですが、個人的にはこれがかなり良かったと思っています。
調査パートで得た情報(解鍵)をもとに戦っていくため、自然とプレイヤーが情報を整理しつつ、推理していく感覚を生み出すとともにアクション要素を混ぜながら行っているので、プレイヤー自身が主人公を操作しているという物語への没入感を上げています。
こういったプレイヤー自身に推理させていくゲーム体験を誘導している点は見事で素晴らしかったと思います。
その3:プレイヤーを引き込む演出や魅せ方
また本作はADVとして魅せ方にこだわっている印象が強いです。
挟まれるムービーは非常にクオリティが高いうえ、ユーモアがあります。
危機一髪など、ゲーム性として見ても面白いが見ているだけでも面白いものが多々ありました。
迷宮中は進む道に背景の変化をつけていたり、アドベンチャーゲームにある2択の選択肢を選ばせるという場面でもトロッコにしたり、上空から落ちてみたり、qteなどよくある仕様も角度を変えて飽きさせないゲームデザインを探求してるところはすごいと感じました。
こういった挟まれるミニゲームなどを含めたゲームデザインに共通しているのが、ゲーム自体が主役になるのではなく、推理アドベンチャーとしてシナリオの没入感を上げ、プレイヤー自身が物語の主人公である感覚を上げ、同時に感情移入しやすくするという役割を担っている点です。
こういったシナリオを主軸に置きながらも、それを引き立てるゲーム性への工夫は作品全体を通して非常に感じることができました。
その4:魅力的なキャラ達
また本作を語るうえで欠かせないのが魅力的なキャラ達です。
特に死神ちゃんの明るく調子に乗りやすい性格と死神として残酷な一面を持つ彼女の魅力はすごかったですよね。
常に主人公と行動する相棒でもあるからこそ、彼女の魅力はゲーム全体の魅力にも大きくつながっていたと思います。
また探偵事務所の仲間たちの描き方も好きでした。
それぞれが探偵特殊能力という能力を持っていることと主人公と二人で行動するパートがあるため、すごく愛着が湧くんですよね…
一癖も二癖もある彼らをもっと見ていたいという気持ちにさせてくれます。
その5:雨が降り続ける街「カナイ区」はきれいで幻想的なマップ
また触れておきたいのがマップの部分。本作は3Dのアドベンチャーゲームになっているが、マップは非常に作りこまれています。
舞台となる町「カナイ区」は年中雨が降り続けていて、この町のどこか陰鬱ながらきれいで幻想的な雰囲気はどこか引き付ける魅力がありますよね。
かなり世界観を考慮して町が作られているのが特徴で、マップによって全く違う景色を見せてくれます。
switchとは思えないきれいなグラフィックな街並みと作りこまれた世界観は歩いているだけでも楽しさが感じられるものになっています。
不満点・問題点
その1:正直、テンポが悪い
本作、正直テンポが悪い。
一つ一つ事件の謎、調査・推理の過程が丁寧に描かれるが、丁寧すぎてだれてしまっている部分も多くありました。
本作の筆者のクリア時間は30時間でしたが、その間に起こる事件は6つのみです。やり込み要素は特にないので、要するに単純計算で1つの事件に5時間ほどかけていることになります。
筆者は文章をかなりサクサク飛ばしてしまう方なので、じっくり読む人はもっと時間がかかります。ネットでは50時間かかったという方も目にしましたが、その場合1つの事件に8時間かけていることになります。
さすがに長すぎますよね…。
扱っているのはずっと同じ事件ですので、さすがに「まだ終わんないの?」という気持ちになったこともありました。
ただ内容として時間稼ぎがひどいということはなく、ゆっくり一つ一つ丁寧に掘り下げているのが原因になっています。
これに付随して事件数も少ないと感じています。
というのも探偵事務所に入る前のプロローグ的な0章とすべての真相が明らかになる6章は少し例外的な内容になっていますから、それを抜くと事件は4つしか起きていません。
一つ一つの事件が作りこまれていたのは良かったですが、探偵事務所のメンバーとして軽い事件を解決していく流れもあっても良かったと思います。
事件を増やすほどキャラ数が増えたり、作りこみの手間が格段に上がるので、予算や開発のリソース的な部分もあるのではと考えています。
ここも3Dマップになった本作で見えた新たな課題かもしれませんね
その2:やり込み要素がないに等しい…
本作で気になるのがやり込み要素の部分です。
正直アドベンチャーゲームですので、元々そこまで求めていないのですが、あまりに中途半端に思えます。やり込み要素を作ろうしたけど、やり込むほどの要素にならなかったものが多い印象です。
いくつか挙げてみます。
簡素なサブクエスト
構造として非常に簡素です。
すべてのクエストが目的地の人に話しかけることを何回かするだけ。移動するだけの作業ゲーになってしまっている印象です。
また本作はロードが少し長めなので、話しかけるためにマップをまたぐと何度もロードが入り、ここも作業間を強めてしまった要因でしょう。
個人的には事務所の仲間との深堀エピソードなどをここにおいて欲しかったです。
正直、本作は推理アドベンチャーゲームなので分かりやすい戦闘要素などはないですし、謎迷宮攻略には事件が起きる必要があり、おそらくコスト面の問題かもしれません。
作りこまれたマップを探索する楽しさがない
本作は推理アドベンチャーですが、マップが作りこまれており、メインストーリーの合間に自由に動き回れる時間があります。
ただ、この時間にできることがサブクエストくらいしかありません。
ジャンル上ある程度は仕方がないのですが、サブクエストを作りこめばマップを探索する楽しさも上がるのではと感じました。
正直、マップが非常に作りこまれていたので、ちょっともったいないなという印象。
またほかにもやり込み要素はあるのですが、こちらも弱い印象は否めません。
探偵たちの語らいはマップの特定の部分にある記憶の断片を集めることで、探偵事務所のメンバーとの特別なエピソードが見れるというものです。
この他にも謎迷宮のリザルト要素など、要素としては悪くないが、このために周回するほどの魅力はないというものが多かったですね…
その3:ちょっと重くない?全体を通して感じるスペック面
本作、switchのゲームの中ではかなりグラフィックがきれいなのですが、その反面ロード時間が長い傾向にあります。
特に推理デスマッチの前にはフリーズしたのでは?と思うようなロードの時間があります。
こういった部分は気になる人も多そうですね…
その他の雑記
DLCのサブストーリーについて
実は本作、追加のDLCが出ています。
これは良くある衣装とかではなく、夜行探偵事務所のメンバーのサブストーリーが楽しめるという内容になっています。
本編では仲間キャラの出番が少ないと感じていたので、ファンとしては嬉しいところでした。
しかしながら、ボリュームは各30分程度と決して多くなく、価格に見合ったものかと言われると難しいところです。
4つのストーリーがシーズンパスとして合計2200円で、各660円で単品でも購入可能です。
本編を気に入った方はこちらも購入を検討してみてください。
正直、この内容であれば本編に入れてほしかったかも…
シーズンパスの追加ストーリーの内容と買うべきか、率直な感想は別の記事でまとめていますので、良ければこちらもご覧ください。
ダンガンロンパをプレイしている人が楽しめるか
※2023年9月17日追記
レインコードが面白かったので、ダンガンロンパシリーズもプレイしたので追記します。
結論から言って、ぜひおすすめしたいです。
しかし注意点もあり、本作は間違いなくダンガンロンパシリーズのノウハウが活かされている作品ではありますが、時代に合わせて挑戦した作品になっています。
そのため、全く同じ面白さを期待していると「思ってたとの違った」となるかもしれません。
いくつか違いを整理してみましょう。
推理ADVとしての構造 ~謎迷宮と学級裁判~
一番の違いとして推理ADVとしての構造の違いにあります。
どちらも発言の矛盾を突き、推理していく要素が採用されていますが、一言でいえば、学級裁判はゲームとして洗練されすぎていました。
事件が起こっても犯人はすでに登場したキャラの中にいますし、デスゲームのルール上意図せずともキャラの深堀ができていました。
それに対し本作では事件の度に新たな登場人物を描く必要があり深堀が難しく、加えてどうしても容疑者のが数が絞られてしまったり、シナリオの描き方でもより工夫が必要になっていました。
2Dから3Dになったことに対する変化
また2Dから3Dになったことも大きいです。
3Dになったことでより状況がこれまでは文章で想像するしかなかったものも状況がCGで描かれるため、プレイヤーが状況を理解しやすくなりました。
その反面、今までは2Dのノベル形式だったため、サクサク読み飛ばせていた部分が飛ばせなくなり、作品全体を通したテンポの悪さにつながってしまいました。
シナリオのダークさ・緊張感はない
ダンガンロンパシリーズの魅力としていつ誰が死ぬかもしれない臨場感と残虐な方法でお仕置きされる怖さが作品を引き立てていて、それが目が離せない緊張感につながっていました。
本作ではそういったシナリオのダークさはありません。
しかし、前作はどうしても「怖くてできない…」という人がいたと思うので、新たな人がシリーズに触れるきっかけになっています。
人を選ぶ尖った魅力があった作品から人を選ばず誰もが楽しめる推理ゲームになったと感じており、決して悪い方向性ではないと思います。
レインコードをプレイしてみて面白いと感じた人はダンガンロンパシリーズもプレイしてみてくださいね!
総評:洗練された推理ゲームとしての楽しさと3Dマップでの挑戦が感じられた
いかがったでしょうか。今回は『超探偵事件簿 レインコード』の評価・感想・レビューをお届けしました。
従来のシナリオの面白さはもちろん、謎迷宮を通じた推理ゲームの体験、魅せ方の工夫など、推理アドベンチャーゲームとしての枠に収まらない楽しさがたくさんありました。
ダンガンロンパのノウハウを活かしつつ、推理アドベンチャーとして新たな枠に挑戦した作品にも見え、課題などもあったもの、それはぜひ続編で直されることに期待して待ちたいと思います。
アドベンチャーゲーム好きなら誰にでもおススメしたい作品です。
ダンガンロンパシリーズのレビューはこちら!