こんにちは。ヤマザキです。
今回は『LOOPERS』のクリアレビュー・評価になります。
この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
気になる方は購入の参考にしてみてください。
- 『LOOPERS』の評価・感想が知りたい人
- 竜騎士07氏の作品が好きな方
- 短時間で楽しめるビジュアルノベルを探している方
※本作は選択肢のない「キネティックノベル」です。物語の核心に触れるネタバレは避けていますが、まっさらな状態で楽しみたい方はご注意ください。
はじめに
『LOOPERS』は、『CLANNAD』などで知られる「Key」が企画・制作し、『ひぐらしのなく頃に』の「竜騎士07」氏がシナリオを手掛けたキネティックノベルです。選択肢はなく、一本の物語を読み進めていく形式の作品となっています。
主人公は、現実世界を舞台にしたGPS宝探しゲームに夢中な高校生「タイラ」。彼は夏休みのある日、仲間と共に宝探しに興じる中で、”8月1日”が永遠に繰り返される閉ざされた世界に囚われてしまいます。そこで出会ったのは、同じくループを体験する者たち――「ルーパーズ」。タイラは彼らと共にこの世界の謎を解き明かし、ループからの脱出を目指すことになります。
結論から言えば、「竜騎士07らしさが詰まった、短時間で深く心に残る映画のような良作」でした。
クリアまでのプレイ時間は4~5時間と短めですが、その中に凝縮された「日常が壊れていく恐怖」、絶望的な状況下で生まれる「仲間との絆」、そして心を揺さぶる感動的な展開は、まさに竜騎士07作品の真骨頂。最後まで一気に読み進めてしまう、強い力を持った物語でした。
本レビューでは、そんな本作が持つ素晴らしい魅力や、プレイ中に少し気になった点について詳しく見ていきま
『LOOPERS』の魅力
ここからは本作の魅力について、詳しく紹介していきます。
その1:日常が崩壊する恐怖と先が気になる謎の描き方

本作最大の魅力は、やはり竜騎士07氏が描く巧みなシナリオにあります。
物語は、主人公が「ジオハンティング」という宝探しアプリに夢中になり、夏休みの一日を過ごす場面から始まります。しかし、その平和な日常は突如として崩壊します。さっきまで笑い合っていた親友が突然狂気に駆られて襲いかかってくるなど、不可解な出来事が次々と起こるのことになります。
この「じわじわと日常が侵食されていく恐怖」の描き方は、まさしく竜騎士07節と言えるでしょう。何が起きているか分からないまま、不可解な出来事に巻き込まれていく序盤の展開は、本当に素晴らしく、ページをめくる手が止まらなくなると思います。

やがて物語は、彼らが「8月1日」という一日を無限に繰り返しているという、衝撃の事実へとたどり着きます。なぜループに囚われてしまったのか? 脱出する方法はあるのか? この先の読めないミステリアスな導入部は、プレイヤーを一気に物語の世界へと引き込んでくれるでしょう。
その2:個性豊かな仲間たちとの「絆」を描く熱い展開

ループという絶望的な世界で、物語の中心となるのが個性豊かな仲間たちの存在です。
無鉄砲ながらも仲間を引っ張る主人公「タイラ」、常に冷静でぶっきらぼうな少女「ミア」、そしてループする世界の経験者である「サイモン」をはじめ、YouTuberやイラストレーターなど、非常にキャラの濃いメンバーが揃っています。

最初は時の渦の中に閉じ込められ、疲弊していた彼らが、宝探しを通して、徐々に元気を取り戻し、固い絆で結ばれていく。この「仲間との友情」をテーマにした王道の展開は、胸が熱くなると思います。特に、主人公タイラの姿は『ひぐらしのなく頃に』の前原圭一を彷彿とさせますし、彼の真っ直ぐな想いが仲間たちの心を動かしていく様子は、物語の大きな見どころとなっています。
また、閉鎖的なループ世界の中で描かれる、少女「ミア」の成長ドラマも非常に感動的で、好きな部分です。
その3:物語を彩る美しいビジュアルと音楽

本作はビジュアルや音楽も非常にクオリティが高く、物語への没入感を高めてくれています。
キャラクターデザインは人気イラストレーターの望月けい氏が担当しています。個性的でありながらスタイリッシュなデザインは、キャラクターたちの魅力を一層引き立てています。物語の重要な場面で挿入される一枚絵は息をのむほど美しく、特に感動的なシーンでは、その演出効果も相まって強く心に残りました。
また、作品を彩るBGMや主題歌も素晴らしい出来栄えです。雰囲気にマッチしたBGMはもちろん、本作にはなんと2つもオープニングムービーが用意されているという豪華仕様になっています。
その4:安定したシステム面・UIについて
本作は物語に集中するための土台となる、システム面も非常に快適に作られています。
『CLANNAD』など数々の名作を手掛けてきたKeyが開発しているだけあり、挙動は非常に安定していました。UIもシンプルで見やすく、バックログやスキップ機能、オートモードといったビジュアルノベルに求められる機能は一通り揃っており、操作に迷うことはありません。
こうした細かな配慮のおかげで、プレイヤーはストレスを感じることなく、純粋に物語の世界に没入することができます。さすがの安定感と言えるでと思います。
気になったところ・不満点
非常に満足度の高い作品でしたが、人によっては気になるかもしれない点がいくつかありました。
その1:ボリュームとコストパフォーマンスについて

本作のクリア時間は、前述の通り4~5時間程度。一本の映画を見るような感覚で楽しめる手軽さは魅力ですが、純粋なボリュームとしては少なめな印象です。
価格は2,000円前後(プラットフォームによる)となっており、同じ価格帯の『飢えた子羊』や、同じKey作品の『終のステラ』といった名作と比較すると、どうしてもコストパフォーマンスの面で見劣りしてしまうかもしれません。個人的には、もう少し物語の深掘りや、サブキャラクター一人ひとりのエピソードが見たかった、と感じる部分もありました。
その2:ややご都合主義に感じる展開
本作の物語は、一言でいえば、仲間を思う強い気持ちが起点となる、王道の展開が多めです。この描き方自体は非常に美しく、胸を打つものではありますが、人によっては少し「ご都合主義」だと感じてしまうかもしれません。
特に、序盤で提示されたミステリー要素の解決は比較的ストレートなため、複雑な伏線回収や緻密な考察を期待していると、やや物足りなさを感じる可能性があります。謎解きよりかは、キャラクターたちの感情や絆のドラマに重きを置いた作品と言えるでしょう。
ただし、こうした「仲間との絆を信じて、運命に立ち向かう」というテーマは、『ひぐらしのなく頃に』にも通じるものがあります。あの作品の熱い展開が好きな方であれば、本作もきっと楽しめるはずです。
まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、『LOOPERS』のクリアレビュー・評価をお届けしました。
本作は、4~5時間という短いプレイ時間の中に、竜騎士07氏の魅力である「恐怖と謎」、そして「仲間との絆が織りなす感動」がギュッと凝縮された、密度の濃い一作でした。
日常が崩壊していくホラー展開、先の読めないミステリー、そして絶望の中で輝く仲間との絆。そのどれもがプレイヤーの心を強く揺さぶるものになっており、クリア後には一本の良質な映画を見終えたような深い満足感を得られるはずです。
もちろん、ボリュームや展開の好みが分かれる部分はあるものの、それを補って余りある魅力を持った作品であることは間違いありません。特に、竜騎士07氏が描く「日常に潜む狂気」と「少年少女の熱い絆の物語」という組み合わせが好きな方には、間違いなく心に響くでしょう。
気になった方は、ぜひ購入を検討してみてください。