【The Last of Us Part I】クリアレビュー|伝説的な名作のリメイク作品。最高の物語体験は健在だが、原作に忠実すぎるのがゲーム性には課題も

レビュー
スポンサーリンク

こんにちは。ヤマザキです。

今回は『The Last of Us Part I』のクリアレビュー・評価になります。

この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
購入の参考にしてみてください。

この記事はこんな人におすすめ
  • 『The Last of Us Part I』の購入を検討されている方
  • 『The Last of Us Part I』の評価・感想が気になる方
スポンサーリンク

はじめに

『The Last of Us Part I』は、2022年9月2日に発売されたサバイバルホラーアドベンチャーゲームです。

本作は、2013年にPS3で発売され、爆発的な人気を誇った名作『The Last of Us』のフルリメイク作品です。原作は、謎の感染症が蔓延する世界で、主人公ジョエルと少女エリーが互いに影響を与えながら成長していく物語。その卓越したシナリオと、限られた物資を管理しながら着実に敵を倒していくゲーム性が高く評価されました。

そんな名作のリメイクである本作も、結論から言うと本当に面白いです。感染症がはびこる世界の緻密な描写、感染者を倒していく緊張感あふれるサバイバルアクション、そしてジョエルとエリーを中心に描かれる物語は圧巻の一言です。

ただし、本作はグラフィックや操作性が現代的に進化している一方、ゲームシステムはオリジナル版を忠実に再現しています。良くも悪くも当時の体験がそのまま再現されているため、近年の進化したゲームに慣れていると、ゲーム進行にやや古さを感じてしまう部分があったのも事実です。

この記事では、そんな本作の魅力と気になった点を、率直な評価と共にお届けします。

スポンサーリンク

卓越したシナリオとストーリー体験に関するこだわり

本作を語る上で絶対に外せないのが、心揺さぶる重厚なシナリオとゲームとしてどうストーリーを体験させるか、ストーリテリングのこだわりについてです。

簡単なあらすじ

物語のプロローグは、パンデミック発生直前から始まります。主人公のジョエルは、娘のサラと暮らす平凡な男でした。しかし、謎の感染症が突如として蔓延し、世界は混乱の渦に。ジョエルは必死に逃げ惑う中で、最愛の娘サラを失ってしまいます。

それから20年後。文明が崩壊した世界で、年を重ねたジョエルは「運び屋」として汚い仕事に手を染めていました。ある日、彼は反乱組織のリーダーから「感染の抗体を持つ少女・エリーを、隔離地域の外にある研究施設まで送り届けてほしい」という依頼を受けます。

こうして始まった、娘を亡くした男と、家族を知らない少女の二人旅。彼らが過酷な世界を旅する中で、互いに影響を与え、少しずつ絆を育んでいく姿が描かれます。

描き込まれた世界観と、リアルな人物像

また本作が優れているのは、ゲームを通して描かれる世界の描き方にあると思っています。

感染の恐怖はもちろん、物資が枯渇した世界で起こる人間同士の醜い争いや疑心暗鬼が、非常に高い解像度で描かれています。誰も信じられず、大切なものを持つ者から命を落としていく。そんな世界の不条理さや過酷さが、一切の妥協なく表現されています。

そして世界の解像度を上げているのが、そんな世界で生きる一人一人の人の描き方です。

例えば主人公のジョエルは、娘を失ったトラウマと荒んだ世界によって、冷酷な人間として描かれています。生きるためには平気で人を殺し、情報を引き出すためには拷問も厭いません。
一見すると血も涙もない男ですが、「自分が大切だと決めた人間に対しては、どこまでも守ろうとする」という強い意志があります。もう一人の主人公であるエリーも同様です。当初は世間知らずな一面もありましたが、ジョエルと共に旅を続ける中で、生き抜くための覚悟を決めていきます。

ジョエルとエリーが出会い、共に旅をする中で、彼のがどう変化していくのか。その感情の機微と関係性の描き方こそが、本作最大の見どころといえるでしょう。二人が互いに影響を与え合いながら、失われた「家族」の姿を追い求める。不器用な二人が織りなす、擬似親子の物語は、間違いなく多くのプレイヤーの胸を打つでしょう。

操作と物語が一体化する、追及されたストーリテリングについて

また、本作はプレイヤーがプレイしている中で自然と物語に入れるようなストーリーテリングが非常に巧みだったと感じています。プレイヤーを「傍観者」にさせない工夫が随所に凝らされていました。

特に感じたのが、ゲーム序盤のムービーとゲームプレイの境界を曖昧にするシームレスな演出です。
例えば、イベントシーンの最中でもプレイヤーはキャラクターを動かしたり、視点を自由に動かせたりすることが多々あります。

この状態でも周りを見渡せすことができ、そのことに大きな意味がある

象徴的なのが、プロローグでサラを乗せて車で逃げるシーン。ここはムービーのような演出でありながら、プレイヤーは後部座席に座るサラの視点で、自由に周囲を見回すことができます。これにより、私たちはパンデミックの惨状を「見せられる」のではなく、自ら「目撃する」という強烈な体験をすることになります。

また、プレイ中のUIも最小限に抑えられており、プレイヤーの集中が途切れないようになっています。また、道端で起こる小さな出来事(理不尽に殺されていく民間人)なども、ただ通り過ぎるだけでも、この世界の厳しさを雄弁に物語る重要な装置となっています。

こうした数々の工夫により、プレイヤーはいつの間にか操作している感覚を忘れ、ごく自然に物語へと引き込まれていくのです。

スポンサーリンク

巧みなサバイバルアクションと、リソース管理の奥深さ

本作の物語を支えるもう一つの柱が、緊張感あふれるサバイバルアクションです。

本作の戦闘は、TPS視点で展開されます。しかし、よくあるアクションゲームのように敵をなぎ倒していく「無双スタイル」ではありません。むしろ現実的なバランスが追求されており、多勢に無勢の状況は死に直結します。

攻略の鍵を握るのは、いかにして敵との正面衝突を避け、1対1の有利な状況を作り出すかという戦略性です。物陰に隠れて敵の数を一人ずつ減らしていく「ステルス」を基本としますが、特に感染者(ゾンビ)との戦いでは、その緊張感が極限まで高まります。 視覚を持たない代わりに音に極めて敏感な敵から身を潜める感覚、そして一瞬のミスで追い回される恐怖は、本作ならではの素晴らしい体験と言えるでしょう。

どちらの敵が相手であれ、囲まれてしまえば、まず勝ち目はありません。

生死を分けるリソース管理とクラフト

この戦闘の緊張感をさらに高めているのが、シビアな「リソース管理」の要素です。

銃弾や回復アイテム、敵を一撃で倒せるナイフといった貴重な物資は、すべて数に限りがあります。後先考えずに銃を撃ち続ければ、あっという間に弾切れを起こし、窮地に立たされることになります。

そのため、ステージを注意深く探索して素材を集め、その場でアイテムを作り出す「クラフト」が攻略に不可欠となります。常に物資の残量を気にしながら、ステルスで切り抜けるか、貴重な弾薬を使ってでも突破するかの判断を迫られる。このギリギリの駆け引きこそが、本作のアクションの醍醐味と言えるでしょう。

また、集めた素材で武器を強化することも可能です。特に素晴らしいのが、専用の作業台で行う武器改造の演出。ジョエルが銃を分解し、パーツを組み付けていく様子が、専用のカメラアングルで克明に描かれます。このリアルな効果音とビジュアルへのこだわりに、心を掴まれるプレイヤーも多いでしょう。

当時のままゆえのゲーム体験としての課題

本作は「フルリメイク」と銘打たれていますが、ゲームプレイの根幹はオリジナル版とほとんど変わりません。良くも悪くも、原作に極めて忠実な作りになっています。この「忠実さ」が、現代のゲームとして見たときにいくつかの課題を生んでいると感じました。

1. 単調に感じられる一本道のゲームデザイン

本作の基本的なゲーム進行は、一本道のステージを攻略して物語を進めていく、という非常にシンプルなものです。しかし、ステージ構造や攻略の自由度が限定的であるため、プレイフィールに変化が乏しく、人によっては単調に感じられてしまうかもしれません。

特に、広大な世界と攻略の自由をプレイヤーに委ねるオープンワールドゲームが主流となった現代において、このクラシックな一本道のデザインはやや古く感じられます。2013年当時は最高峰の体験でしたが、今プレイすると窮屈さや不便さを感じてしまうのも事実でしょう。

グラフィックを最先端に作り直したのであれば、ゲーム体験そのものにもう少し現代的な改善を加える余地はなかったのか。そこに踏み込まなかった点には、正直なところ少し疑問が残りました。

2. 不親切に感じられる場面も

また、一本道のデザインでありながら、次にどこへ進めば良いのか分かりにくい場面が散見されたのも気になりました。ヒントや誘導が少ないため、些細なオブジェクトを見落としただけで長時間足止めを食らうこともあり、物語への没入感を削いでしまうのはストレスに感じました。

感動するレベルのアクセシビリティの豊富さについて

本作を語る上で、もう一つ特筆すべきなのが圧倒的な充実度を誇るオプション設定です。筆者も数多くのゲームをプレイしてきましたが、ここまで作り込まれたアクセシビリティ(オプション項目)は見たことがありません。

例を挙げればきりがありませんが、例えば「字幕」一つとっても、

  • 字幕の表示ON/OFF
  • 字幕の大きさや背景の濃さの調整
  • 話しているキャラクターの名前を表示するか
  • キャラ名の部分だけ、字幕の色を変えるか

…といったように、信じられないほど細かくカスタマイズできます。

さらに、先ほど「気になった点」として挙げた「道に迷いやすい」という問題すら、このオプションで解決可能です。設定でナビゲーション機能をオンにすれば、次の目的地の方角を示してくれます。

あらゆるプレイヤーが自分に合った最高の環境でプレイできるよう、考え抜かれたこの膨大な設定項目は、もはや執念の域だと感じていて、「すべてのプレイヤーにこの物語を届けたい」という意気込みが感じられる最高峰の作り込みです。

まとめ

今回は『The Last of Us Part I』のクリア後レビューをお届けしました。

本作は、2013年に発売された不朽の名作を、現代の技術で蘇らせたフルリメイク作品です。色褪せることのない圧巻のシナリオと、そこで生きるキャラクターたちの人間ドラマは、グラフィックの進化によってさらに説得力を増し、プレイヤーの心を強く揺さぶるものになっていました。

その一方で、ゲームプレイは良くも悪くも原作に忠実です。そのため、近年のオープンワールドゲームなどに慣れていると、一本道のゲームデザインにやや古さを感じてしまうかもしれません。

しかし、そうした点を差し引いても、本作が提供する物語体験は唯一無二です。シビアなサバイバルアクションの緊張感と、ジョエルとエリーが織りなす感動的な物語は、記憶に残るものになると思います。

少しでも気になった方は、ぜひこの傑作に触れてみてください。

タイトルとURLをコピーしました