【飢えた子羊】クリアレビュー・評価|過酷な世界を生き抜く青年と少女を描く傑作ADV

レビュー
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こんにちは。ヤマザキです。

今回は『飢えた子羊』のクリアレビュー・評価になります。

この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
購入の参考にしてみてください。

この記事はこんな人におすすめ!
  • 飢えた子羊の購入を検討されている方
  • 飢えた子羊の評価・感想が気になる方

※ネタバレはできる限り避けていますが、全く情報を入れずに本作をプレイしたいという方はご注意ください。

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はじめに

『飢えた子羊』は、2P Gamesより2024年4月23日に発売されたアドベンチャーゲームです。選択肢によって物語が分岐するビジュアルノベル形式で、プレイヤーは中国を舞台にした過酷な世界で、盗賊として生きる主人公の物語を追体験するものになっています。

本作は中国発のゲームでありながら、全世界での売上100万本を突破し、Steamでは「圧倒的に好評」の評価を獲得するなど、大きな注目を集めています。

私も実際にプレイしてみましたが、その評判に違わず、非常に心を掴まれる作品でした。徹底して描かれる過酷な世界観、その中で運命に翻弄される人々のドラマ、そして物語の鍵を握るヒロイン、その巧みな魅せ方には、最後まで目が離せませんでした。クリアまでのプレイ時間は10時間程度です。

この記事では、そんな『飢えた子羊』が持つ魅力について、詳しく語っていきたいと思います。

『飢えた子羊』のあらすじ

主人公は、盗賊として生きる青年『良(リョウ)』
ある日、良は華州城から洛陽城へ四人の少女を運ぶ「人売り」の仕事を請け負うことになります。
運ぶことになった少女たちは、貧しい家の姉妹、裕福な家から誘拐された娘、そして口がきけず、その境遇も目的も謎に包まれた少女の4人でした。

プレイヤーは良となり、個性も背景も異なる少女たちと共に、危険な旅路を進むことになります。
旅の道中では、この「人売り」の依頼に隠された真相や、謎めいた少女の正体が徐々に明らかになっていき、行く末で、良と少女たちの運命を左右する選択を迫られます。

本作は「復讐、暗殺、飢饉、人身売買、人食い」といった重くダークなテーマを扱っており、物語を通してどのような決断を下すのか、最終的に訪れる結末とは・・・

というあらすじになっています。

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『飢えた子羊』の魅力

徹底的に描かれる過酷な世界観

本作の魅力を語るうえで外せない要素として、その徹底して描かれる過酷な世界観があります

舞台は西暦1632年、明朝末期の中国。飢饉と内戦が頻発し、餓死者が続出する、まさに世も末の時代です。そこでは人身売買が横行し、多くの少女たちが奴隷同然に扱われています。作中に登場する少女たち一人ひとりにも、貧困から親に売られた姉妹、裕福な家から内戦で没落し誘拐された少女など、過酷な運命を背負わされた背景があります。さらに、腐敗した役人や反乱軍といった様々な立場の人物が登場し、混乱した世相を色濃く映し出していると感じました。

特に、この飢餓の描写は凄まじく、強烈です。食べるものがなくなり人肉食(カニバリズム)に手を染める人々や、飢えによって極限状態に追い込まれた人間の狂気が、容赦なく描かれます。(※直接的なグロテスクな絵は少ないものの、テキストや演出による表現は非常に生々しいです。)

しかし、この目を覆いたくなるような過酷さこそが、物語に深みとリアリティを与えているのは間違いありません。主人公の「良」も盗賊ではありますが、根っからの悪人ではなく、生きるために不本意ながらその道を選んだ人物として描かれます。

もし平和な時代であれば違う生き方ができたかもしれない人々が、このどうしようもない状況下で苦しみ、翻弄される姿は、プレイヤーの心を強く打ちます。登場人物それぞれが抱える逃れられない運命や背景が、物語をより深刻で、忘れがたいものにしているのでしょう。

謎多きヒロイン「クチナシ」と、彼女を巡る物語

そして、本作の物語において中心的な役割を担うのが、口のきけない少女「クチナシ」です。物語序盤から登場する彼女は、主人公・良と行動を共にし、過酷な旅の中で徐々に交流を深めていきます。

しかし、彼女には多くの謎がつきまといます。なぜ言葉を発せないのか、本当の名前や出自は何なのか。彼女に関する情報は真偽不明なものばかりで、その言動には時折、年齢に見合わない落ち着きが感じられます。

物語は、このクチナシの秘密が徐々に明らかになる過程と、主人公との関係性の変化を軸に進んでいきます。複雑に絡み合う二人の運命がどのような結末を迎えるのか、最後まで目が離せません。彼女と触れ合う中で、当初は生きることに必死だった主人公の心境にも変化が芽生えていく様子も、丁寧に描かれています。

さらに、物語への没入感を高める要素として、豪華なフルボイスも挙げられます。特にヒロインのクチナシ役には、『銀魂』の神楽役などで知られる著名な声優・釘宮理恵さんを起用しています。彼女の演技はクチナシのミステリアスでありながらも健気な魅力を一層引き立てています。

また、印象的な場面で挿入される美しい一枚絵(CG)も、本作の大きな魅力となっていました。目を奪われるようなビジュアルと、時に息をのむような衝撃的な展開が組み合わさり、プレイヤーの心に強く印象に残ります。

選択肢による分岐する物語

本作はビジュアルノベル形式のアドベンチャーゲームになり、プレイヤーは数多くの選択を迫られることになります。選択によって、物語複雑に分岐し、様々な結末へとたどり着く構造になっています。

特筆すべきは、バッドエンドすら物語の重要な一部として描かれている点です。
単なるゲームオーバーではなく、バッドエンドを通して登場人物の隠された思惑や背景、そして物語の核心に迫る真実が明らかになることも少なくありません。衝撃的な展開や、そこでしか語られない事実に、「まさか…」「どういうことだ?」と驚き、早く物語を進めたいという欲求に駆られることでしょう。ぜひ、全てのエンディングを回収することをお勧めしたいです。

快適にプレイできるシステム面

なお、本作には物語への没入を妨げないよう、快適なプレイ環境も整っています。
簡易的なフローチャート機能があるうえ、セーブデータのスロット数も豊富で、スキップ機能も搭載されています。システム面で不満を感じることはないでしょう。

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その他:知っておきたいポイント

驚きのコストパフォーマンス

本作は約10時間程度のプレイボリュームがあり、その高いクオリティに反して価格設定は非常に手頃なものになっています。Steamでの通常価格は1200円で、セール時には800円程度まで値下がりすることもあります。コストパフォーマンスに非常に優れた作品と言えるでしょう。

Steam:飢えた子羊
プレイヤーは盗賊となり、四人の少女を華州城から洛陽城まで運び、その旅路で真相を解き明かし、選択を行います。このゲームには「復讐、暗殺、飢饉、人身売買、人食い」などのダークな要素が含まれていますが、最終...

Switch版の販売状況について

本作は2025年3月13日にNintendo Switch版も発売されました。

しかし、発売からわずか4日後の3月17日に、レーティング(対象年齢区分)変更を理由として一時的に販売停止となっています(※2025年4月時点の情報)。switch版の購入を検討されている方は、販売再開に関する公式情報にご注意ください。

『飢えた子羊』Switch版がレーディング変更に伴い一時的に販売停止。「早くゲーム販売を再開できるように努めている」と公式が発表 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com
ビジュアルノベルゲーム『飢えた子羊』のNintendo Switch版がレーティング変更のため、一時的に販売を停止した。なお、すでに購入済みのユーザーは引き続きプレイ可能。

注意:過酷でショッキングな表現

本作は導入部分でも触れた通り、非常に過酷な世界観が描かれています。

飢饉による人々の苦しみ、精神的に追い詰められた人間の末路、そしてカニバリズム(人肉食)を想起させるような描写も含まれます。直接的なグロテスクなイラストが表示されることは少ないものの、テキストや演出によって語られる内容は極めてショッキングです。こうした表現が苦手な方は、プレイする際に十分な注意が必要です。先に触れたSwitch版のレーティング変更も、これらの表現内容が影響していると考えられます。

待望の続編が発表

本作の続編となる『泣き叫ぶ雁』の制作が発表されています(2025年4月20日時点)。

発売は2025年の第4四半期が予定されており、本作で高い評価を得ただけに、続編への期待も高まります。今後の情報公開を楽しみに待ちたいところです。

Steam:泣き叫ぶ雁
本作は明末期のサバイバルをテーマとしたテキストアドベンチャーゲームです――プレイヤーは「獅駝国」に迷い込んだとある書生となり、妖怪たちが虐殺の限りを尽くす十日間を生き延びなければなりません。またその間...

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は『飢えた子羊』のクリアレビュー・感想をお届けしました。

本作は、1200円という手頃な価格設定でありながら、一度始めたら目が離せない濃密なシナリオ、心を揺さぶる衝撃的な展開、そして忘れがたい魅力的なキャラクターたちが強く印象に残る作品でした。特に、物語の結末は美しく、胸を打つものがあり、作品全体を通して非常に高い完成度を誇っています。

個人的には、この素晴らしい作品をプレイできたこて、本当に良かったと思っています。

もしあなたが、

  • 心を掴まれるような物語体験を求めている
  • 先の読めない展開のビジュアルノベルが好き
  • 重厚な世界観や人間ドラマに浸りたい
    と考えているなら、ぜひ本作を手に取ってみてください。

プレイして後悔することはない、強くおすすめしたい名作だと思います。多くのプレイヤーから寄せられている高い評価は、決して伊達ではありません。

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