【ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~】クリアレビュー・評価|戦略的な戦闘システムなど、シリーズの定石を覆す数多くの挑戦が詰まった傑作。

レビュー
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こんにちは。ヤマザキです。

今回は『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』のクリアレビュー・評価になります。

この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
購入の参考にしてみてください。

この記事のこんな人におすすめ
  • 『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』の購入を検討されている方
  • 『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』の評価・感想が知りたい方

※ネタバレはできる限り避けていますが、全く情報を入れずに本作をプレイしたいという方はご注意ください。

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はじめに

ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』は、2019年9月26日にコーエーテクモゲームスから発売されたRPG作品です。本作は、続編となる『ライザのアトリエ2』、『ライザのアトリエ3』の発売やアニメ化、シリーズ最高の売上を記録するなど、アトリエシリーズの中でも屈指の人気を誇る作品になっています。アトリエシリーズを知らなくてもライザは知っているという方は多いかもしれません。

今回、そんな本作を実際にプレイしてみたところ、非常に面白かったです。

従来のシリーズの定石にとらわれない、挑戦的なゲームシステムは非常に魅力的ですし、個性豊かなキャラクターたちが織りなす物語も素晴らしく、前作の「不思議」シリーズから入った筆者も、時間を忘れてプレイに没頭してしまいました。本記事では、そんな本作の魅力について、詳しく紹介していきたいと思います。

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『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』の魅力

本作は前作までの不思議シリーズと比べるとゲーム性に大きな変化がみられており、非常に挑戦的な姿勢を感じる作品になっています。特に注目したいポイントを紹介します。

挑戦的なバトルシステムについて

本本作のバトルは、これまでのターン制コマンドバトルとは異なり、リアルタイムで状況が変化する独自のシステムを採用しています。

具体的には、時間経過と共に常に状況が変化するシステムになっており、基本的にプレイヤーが操作するのは1キャラクターのみ。一定時間ごとに攻撃を行うことができ、攻撃を行うとAP(アクションポイント)が蓄積されます。このアクションポイントを消費することで強力なスキルを使用することができます。

また、APを上限まで溜まると、タクティクスレベルを上げることができます。タクティクスレベルが上がると、それまで溜めていたAPはリセットされますが、攻撃回数と攻撃間隔が短縮され、よりスピーディーな戦闘展開が可能になります。APの消費と蓄積を常に意識した戦略的な立ち回りを楽しむことができます。

オーダーをうまく利用して、追撃を行う

さらに、戦闘中は一定時間ごとに仲間からのオーダーが発生します。

「アイテムを使え」や「スキルを使え」といったオーダーを成功させると追撃が発生するため、戦闘を有利に進めることができます。オーダーにも的確に対応していくことが戦闘のポイントになります。

アイテムの扱いについて

また、本作ではアイテムは装備としてセットすることで、戦闘中に使用できる回数制限はあるものの、所持数を気にせずに使えるようになりました。アイテムの使用回数は、アトリエに戻ると回復するため、アイテム作成時に個数を意識する必要がなくなり、装備品の一つとして楽しめるようになっています。

戦闘で使用するリソースはCP(コアチャージ)として管理され、アイテムの威力に応じて消費量が決まります。今までは良くも悪くも調合に重きが置かれすぎていた部分もあったので、よりバトルを楽しみやすくなりました。

これらのシステム変更によって、従来のアトリエシリーズにはなかった新鮮なバトル体験が実現し、流動的に変化していくコマンドバトルを楽しむことができるようになりました。これまでのシリーズとは大きく異なるシステムに、正直驚きました。FF12やゼノブレイドといった、リアルタイムで変化する一風変わったコマンドバトルがお好きな方は、ぜひプレイしてみてください。

調合や育成システムについて

本作でも、素材を集め、より強力な武器やアイテムを作成する喜びはしっかりと表現されています。

本作の調合システムは、「マテリアル環」と呼ばれるパネルに素材を投入していくことで、アイテムの属性値を高め、様々な効果を付与するというものです。イメージとしては、他のゲームのスキルツリーに近いシステムと言えるでしょう。複数の強化軸が用意されており、どの軸を優先的に強化していくかはプレイヤーの自由になっています。

これまでのシリーズよりも強化の方向性に幅広い選択肢が用意されたと感じていて、どこの強化を優先するかによって、アイテムの性能が大きく変化するため、プレイヤーの個性が反映されるような奥深さがあります。

キャラクターのロールも踏まえた育成が楽しい

また、本作には「ロール」という概念があり、大きく分けてアタッカー、ディフェンダー、サポーターの3種類が存在します。

このロールは、装備する防具によって決定され、武器、防具、装飾品にはロール補正値が付与されています。装備によってロールの適性が変化するため、調合で作成する武器や防具は、どのキャラクターにどのようなロールを担わせるかを考えながら育成していく必要があります。これにより、キャラクターの育成方針に更なる自由度が生まれたと感じています。

本作のマテリアル環システムによる育成幅の広さと、このロールシステムは非常に相性が良く、キャラクターのビルドを考える楽しさは、これまでのシリーズよりも増しているように感じました。

アイテムリビルドなど今までにはないシステムも・・・

また、本作では、一度完成したアイテムに材料を投入することで、さらに強化できる「アイテムリビルド」や、不要なアイテムを「ジェム」に還元できるシステム、そして、採集地調合など、従来シリーズにはなかった新たなシステムが複数追加されています。

特にジェムについては、アトリエシリーズはやり込むと、コンテナのアイテム保有量が満タンになることが多く、満タンになると、余ったアイテムは泣く泣く捨てるしかありませんでした。アイテムの再利用の道を示してくれたのは、非常にありがたい変更点でした。

このように、これまでのシリーズの常識を覆すような挑戦的なシステムが複数導入されている点は非常に印象的でしたし、本作の魅力につながったと感じています。

ひと夏の冒険を描く物語の魅力

本作は物語についても、非常に魅力的な要素が詰まっています。
物語の舞台は、湖に浮かぶクーケン島。主人公ライザとその仲間たちがひと夏の冒険を通して成長していく姿を描いています。

物語の序盤は、日常的な出来事が中心に描かれていますが、次第に島の隠された謎に迫っていく展開は、予想以上に壮大で、先の気になる引き込まれる展開が続きます。

これまでのアトリエシリーズは、物語よりもキャラクターに重点が置かれていた印象がありましたが、本作では物語そのものに焦点が当てられており、見どころが目白押しです。過去のアトリエシリーズの物語の雰囲気が合わなかったという方でも、本作であれば楽しめるかもしれません。

そして、登場人物たちの魅力も、本作の大きな魅力の一つです。

特に主人公ライザの存在感と魅力は、群を抜いていますし、そのビジュアルも大きな話題となりました。キャラクターそれぞれの成長も丁寧に描かれており、物語の最終的な結末への描き方も圧巻でした。エンディング後には、少しばかりの喪失感を感じる方もいるかもしれません。

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気になるところ・不満点

気になるところや不満点については、ほぼありませんでした。基本的に多くのゲーマーが満足できる内容になっていると思いますが、いくつかあげさせていただきます。

直感的でないUI

特にマテリアル環は情報が分かりづらかった印象も

本作をプレイしていて、UI(ユーザーインターフェース)があまり直感的ではないと感じる場面がありました。

特に調合画面では、アイテムが作成できない際に、何が何個足りないのか、なぜ作成できないのかをすぐに理解できず、戸惑うことがありました。また、次の目的地が分かりにくいワールドマップなど、ゲーム性の変化にUIが対応しきれていない印象を受けました。

システムが大幅に刷新され、これまでとは全く異なるUIの作成が求められた点や、システム自体が複雑であることは理解できるものの、もう少しUIが直感的なものになっていれば、より隙のない作品になったのではないかと思います。

ゲームボリュームについて

本作のボリュームは、大ボリュームになりがちなアトリエシリーズの中では、やや少なめであると感じました。

クリア時間は、レベル上げなどをイージー設定にした場合、約25時間でした。少し駆け足で進めてしまった部分もあるため、通常プレイでは30時間弱を目安に考えると良いでしょう。一般的なRPGと比較すると十分なボリュームでで決して不満を感じるようなものではないですが、アトリエシリーズで見るとやや短めかもしれません。

ただし、これはあくまでストーリークリアまでの時間であり、やりこみ要素を含めれば、さらに長く楽しむことができます。本作は、意欲的なシステムが多く搭載されているため、個人的には不満に感じることはありませんでした。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』のクリアレビューをお届けしました。

革新的な戦闘システム、従来と変わらない調合の楽しさ、そして重厚な物語は、本作の大きな強みになっていました。前作にあたる「不思議」シリーズをプレイしていたからこそ、本作がアトリエシリーズとしていかに挑戦的な作品であるかは強く感じましたし、これほどの短いスパンでリリースを続けているアトリエシリーズにおいて、ここまで大胆な挑戦を仕込んできたことは、本当に素晴らしいと思います。

そして、この挑戦が実を結び、『ライザのアトリエ』はシリーズ最高の売上を記録し、IPの大きな成長にも繋がりました。この挑戦がもたらした結果は、もはや疑う余地もないでしょう。

気になる方はぜひ購入を検討してみてください。