【カリギュラ2】クリアレビュー・評価|一歩先の未来を見て戦う革新的な戦闘システムと後悔との向き合い方を描いたテーマ【Caligula2】

レビュー
スポンサーリンク

こんにちは。ヤマザキです。

今回は『Caligula2/カリギュラ2』のクリアレビュー・評価になります。

この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
購入の参考にしてみてください。

この記事はこんな人におすすめ
  • 『Caligula2/カリギュラ2』の購入を検討されている方
  • 『Caligula2/カリギュラ2』の評価・感想が知りたい方

※ネタバレはできる限り避けていますが、全く情報を入れずに本作をプレイしたいという方はご注意ください。

スポンサーリンク

はじめに

『Caligula2/カリギュラ2』は、フリューより2021年6月24日に発売されたRPG作品です。2016年に発売された『Caligula -カリギュラ-』のナンバリング続編にあたります。

前作『Caligula -カリギュラ-』では、「ペルソナ」シリーズなどで知られる里見直さんがシナリオを手がけ、大きな話題となりました。本作でも、前作の世界観を引き継ぎつつ、新たな物語が展開されます。

そんな本作の評価ですが、前作から格段に洗練された戦闘システムを中心に、非常に遊びやすい作品に仕上がっています。前作は挑戦的な姿勢が魅力的な一方で、正直なところ、遊びづらい部分も多く、評価が分かれる作品でした。本作では、その点が改善されているため、前作を途中で断念してしまったユーザーでも安心して楽しめることができると思います。

今回は、そんな『Caligula2/カリギュラ2』の魅力についてお話していきます。

スポンサーリンク

『Caligula2/カリギュラ2』の魅力

ここからは、本作の魅力をポイント別に紹介していきます。

前作より遊びやすくなった戦闘システム

『Caligula』シリーズの戦闘の特徴は、「イマジナリィチェイン」と呼ばれる、未来を予測してコンボを繋ぐシステムを採用しているがあげられます。

コマンドを選択すると、その行動が実行されることで、どのような未来が予想されるのかシミュレーションすが行われます。「このタイミングで打つと敵の攻撃とタイミングが被り、攻撃が通らない」や「このタイミングで打てば、うまく攻撃をよけつつ、相手に攻撃を与えられる」というのがあらかじめわかるということです。

またこのシステムを生かして、仲間との連携してコンボを決めていくことも可能です。

例えば、一人が敵を打ち上げて、それに対して空中特攻の技を当てることで大ダメージを与えるといった連携が可能です、大ダメージを与えた時の爽快感はなかなかのものです。

この「少し先の未来が見える」という点が、『Caligula』独自のシステムと言えるでしょう。

Caligula Overdose/カリギュラ オーバードーズでの戦闘画面

前作でもこのシステムは存在しましたが、一度の選択で3つ先の行動まで入力する必要があり、4人いるパーティメンバー全員を操作しようとすると、12個ものコマンドを打ち込まなければなりませんでした。正直なところ、雑魚戦などではそこまで考えるのが難しく、結局、コマンドを打ち込みすぎて上手くいかないことも多かったため、戦略性のポテンシャルはあったものの、それを十分に活かせていたかというと疑問が残りました。

本作では、これらの点が改善され、1回ずつ行動を入力するシステムに変わったことで、かなり直感的に未来の行動を見ながらコンボを繋げていくことが可能になりました。その戦略性の高さは素晴らしいと感じています。

現実への帰宅を目指すテーマ性の魅力

本作独自のテーマ性にも注目していただきたい点です。

本作の舞台となる“リドゥ”という世界は、謎のバーチャルドール・リグレットが、人間が抱える後悔や「やり直したい」という願望を具現化した仮想世界です。そこに囚われた人々は、現実を忘れ、後悔しなかった選択をした「IF」の人生を疑似体験できます。

プレイヤーは、この“リドゥ”で偽りの世界の破壊を試みるバーチャルドール・キィと出会い、共にこの世界を破壊し、現実に帰るために「帰宅部」として活動することになります。

一見するとただの学園ジュブナイルRPGのように見えますが、本作の主たるテーマは、つらい現実とどう向き合っていくのかという点にあります。登場人物の多くは学生ではなく、キラキラした青春のような雰囲気は強くありません。本作の魅力は、己自身の後悔と向き合い、現実でどう生きていくのかという、普遍的なテーマを描いている点にあると言えるでしょう。

現実に苦悩する社会人だからこそ、このテーマが深く刺さる方も多いのではないでしょうか。

キャラクターシナリオについて

本作を語る上で欠かせない要素の一つが、パーティメンバー一人一人に用意されたキャラクターシナリオです。

キャラクターシナリオでは、それぞれのキャラクターが何を後悔しているのか、その心の奥底に踏み込んだ物語が描かれます。本作のテーマ性を反映し、各キャラクターが抱える事情は非常に重く、心を揺さぶられるものばかりです。しかし、それでもなお、後悔を乗り越え、現実を生きようとする彼らの姿は、何よりも印象に残るでしょう。

また、キャラクターシナリオを進める際に表示される「心の奥底に踏み込みますか?」という問いかけは印象的なフレーズです。この演出が没入感を高めてくれることは間違いありません。

前作と比較しても、本作では一人一人のキャラクターに対する掘り下げが丁寧に行われているため、ぜひ注目していただきたい点です。

ボカロPが手掛ける音楽の魅力

本作の大きな魅力の一つとして、音楽にもぜひ注目していただきたいです。

本作で登場するバーチャルドールという存在は、ボーカロイドをモチーフにしており、敵として登場する「楽士」たちは、バーチャルドールの楽曲を制作し、その存在感を強めているという設定があり、ゲーム内では実際のボカロPの楽曲が使用されています。ダンジョン内ではインストが流れ、戦闘に入るとボーカル入りの楽曲に切り替わるというシンプルな演出ではあるのですが、これが非常にテンションを高めてくれます。地味に戦闘中の背景もMVのように楽曲に合わせた演出が行われています。

何より、超有名なボカロPたちをコンポーザーとして起用している点がすごいところです。YOASOBIのAyaseさん、かいりきベアさん、ツミキさんなど、ボカロファンなら誰もが知っている著名なクリエイターたちの楽曲がゲームを彩ります。個人的にボカロは好きなので、一つ一つの楽曲を聴くたびにテンションが上がりましたし、ダンジョンや敵キャラクターを印象づける音楽になっている点も魅力的でした。本作の音楽は作品の魅力を大きく引き立てていることは間違いないでしょう。

スポンサーリンク

『Caligula2/カリギュラ2』の気になるところ・不満点

本作、カリギュラ2には気になる部分はいくつかありました。

単調なダンジョン構造とテンポの悪さについて

本作のダンジョンは、構造自体は非常にシンプルで、これはこれで良いのですが、個人的には移動速度の遅さが気になりました。ダッシュのような機能がなく、常にゆっくりとした速度で移動を強いられます。

全体的に動作がもっさりしていることもあり、ゲームテンポは少し悪いと感じました。
また、全体的にUIが直感的ではなく、度々操作に迷うことがあり、こちらもテンポの悪さにつながっていた部分です。

シナリオ上の気になるところ

本作のシナリオについても、個人的に気になる点がいくつかありました。

特に、敵役である「楽士」たちの扱いと、真理恵というキャラクターの扱いについてです。
ネタバレを含むので隠しておきます。気になる方だけご覧ください。

もっと読んでみる

まず、「楽士」たちの描き方についてです。

前作『Caligula Overdose』では、「楽士ルート」という、主人公がパーティメンバーを裏切り、敵側に寝返るルートが存在しました。実際には裏切る必要はないものの、このルートの存在が敵キャラクターの魅力を引き立てていたと感じています。敵キャラクターにも個別のエピソードが用意されており、彼らに感情移入することもできました。

しかし、本作では「楽士ルート」のようなものがなく、敵キャラクターの掘り下げがどうしても簡素になってしまったように感じます。特に救いがなく、後味の悪さが残った点が気になります。助けを求めながら飲み込まれてしまう件や、ブラフマンをめった刺しにして終わるむーくんなど、「結局、彼らはどうなったの?」と疑問が残る点がいくつかありました。敵キャラクターもそれぞれ事情を描いており、憎めない部分もあったので、ラストの展開に対する希望は欲しかったところです。また、主人公パーティがあまり敵キャラクターのその後を気にしない点も少し気になりました。

次に、茉莉絵の扱いについてです。

茉莉絵は前作から登場するキャラクターで、前作では「楽士ウィキッド」として敵側で登場していました。サイコパス的な言動を繰り返すキャラクターですが、現実世界では脊髄損傷により全く動けないという背景を持っています。前作の人気キャラクターであることは理解できますが、本作で安易に登場させる必要があったのか疑問が残ります。

本作の世界は、前作の最後にμが、現実では動けない茉莉絵のためだけに作ったミクロメビウスを、リグレットたちが侵入して外の世界の住人を入れ込んだものだったはずです。本作のラストで、この世界を破壊し、真理恵が寝たきりの状態に戻るというのは、どうなのでしょうか。あくまで、理想の世界から決別し、現実に目を向けるというシナリオの大筋は理解できますが、前作で似たような流れがあった上で、μが作った茉莉絵のためだけに作った優しい世界を破壊することに違和感がありました。

前作のウィキッドは、破天荒でサイコパスな態度とは裏腹に、終わりを望んでいるキャラクターでした。本作の茉莉絵は、記憶がないという設定なので、また同じように苦しむだけなのではないかと感じてしまいました。茉莉絵に触れない方が、物語としてはまとまりがあったのではないかと思いますし、キャラや物語としては前作のほうが好きだったと言わざる負えない部分があります。

その他注意点

1をプレイせずに本作からプレイしてもいいのか

結論から言うと、プレイ自体は問題なくできます。

独立した物語と設計されているため、本作から始めても特に問題ありません。

ただし、思ったよりもつながっている部分も多く、1の人なら楽しめるネタもいくつか存在しているので、できるののであれば1から始めるのもお勧めです。

今から始めるのであれば、1のリメイク版である「カリギュラ オーバードーズ」をプレイするのがお勧めです。

過去にレビューも投稿していますのでこちらもご覧ください

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は『Caligula2/カリギュラ2』の評価・感想・レビューをお届けしました。

『Caligula』シリーズのナンバリング2作品目となる本作は、期待を大きく上回る出来栄えでした。

特に、未来を予測しながら戦うという唯一無二の戦闘システムと、つらい現実への向き合い方を描いたシナリオのテーマ性は、多くの人の心に残るものになったのではないでしょうか。

フリューの作品は毎回、挑戦的な姿勢が魅力的な一方で、洗練性に欠ける印象がありました。しかし、本作はそんなフリューの挑戦が実を結んだ作品だと感じており、RPG好きの方に自信を持っておすすめできる、そんな作品になっていました。気になる方はぜひ遊んでみてはいかがでしょうか。