こんにちは。ヤマザキです。
今回は『英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-』のクリアレビュー・評価になります。
この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
購入の参考にしてみてください。
なお、今回筆者はsteam版でプレイしていますのでその点ご了承ください。
- 『英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-』の購入を検討されている方
- 『英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-』の評価・感想が知りたい方
※ネタバレはできる限り避けていますが、全く情報を入れずに本作をプレイしたいという方はご注意ください。
はじめに
『英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-』は、2018年に日本ファルコムから発売されたRPG作品です。対応プラットフォームはSwitch、PS4、Steamなどとなっています。
本作は、2013年から続く「閃の軌跡」シリーズの4作目であり、シリーズの完結作にあたります。1作目から続いてきたストーリーがついにひとつの節目を迎えるということで、ファン待望の作品と言えるでしょう。
さて、結論から言うと、シリーズの集大成としてのプレイ後の満足感は高いものの、雑な展開や変わらないシステム、そして戦闘の複雑化を引き起こす面倒な要素など、個人的にはストレスを感じる部分も多かったです。
今回は、プレイして感じた本作の魅力と不満点について述べていきたいと思います。
物語/シナリオについて
本作の物語は、シリーズの集大成にふさわしく、非常にまとまった内容になっていました。
前作のように中途半端に終わることもなく、プレイ後の満足感は非常に高かったです。ただし、気になる点もいくつかあり、物語やシナリオにおける注目ポイントを紹介したいと思います。
リィン不在で始まる引き込まれる序盤
本作は、前作の衝撃的な結末から約2週間後、新Ⅶ組のユウナ、クルト、アルティナが、エマの故郷であるエリンの里で目を覚ます場面から幕を開けます。帝国と共和国開戦の危機が迫る緊迫した世界情勢の中、主人公リィン不在という大胆な展開には、たちまち物語へ引き込まれてしまいました。
前作のクライマックスで描かれた激動の余波と、リィン以外のⅦ組メンバーの視点から語られる新たな展開は、高い没入感を生み出していました。その後、旧Ⅶ組の3人とランドルフを加えた4人が、行方不明のリィンを取り戻す冒険へと旅立つことになるのですが、先の読めないワクワク感を掻き立て、物語への期待感を高めてくれたと感じています。
過去作のキャラと協力する展開は非常にあつい
本作には、過去作からのキャラクターが多数登場し、シリーズの垣根を超えた共演が実現しています。
「閃の軌跡」シリーズのキャラクターに加え、「空の軌跡」シリーズの遊撃士たちや、「碧の軌跡」シリーズの特務支援課など、他の軌跡シリーズの主要キャラクターたちが本作の主人公たちと協力し、物語を展開していく様子は必見です。シリーズを跨いだキャラクターたちのその後や、異なるグループ同士の協力関係は、軌跡シリーズならではの大きな魅力であり、他シリーズ未経験の筆者でも胸が熱くなるような展開が多くありました。
シリーズファンには見逃せない要素でしょう。
相変わらずすごいキャラの魅力を引き出すイベントの作りこみ
本作でも、軌跡シリーズの特徴である緻密なイベント描写が光ります。特に注目すべきは、フィールド上の至る所で発生するイベント会話です。
ストーリー上で自由に行動できるタイミングに応じて、変化に富んだ会話が繰り広げられます。それぞれのキャラクターの人間性や人間関係が自然に描き出されてており、こうした細部に至るまでの作り込みは、膨大なキャラクター数と相まって、本作の世界観を深く豊かに彩り、没入感を一層高めていました。
一方、パーティメンバーとの親密度を高めるイベントも見逃せません。
新旧7組を中心に同行するメンバーとのイベントを見ることができ、このイベントの非常に膨大な数があります。
また女性キャラクターとのイベントでは、恋愛要素へと発展する展開もあり、こちらも見逃せません。しかし、本作は女性キャラクターの人数も多いので、ほぼ全員から告白されるのですが、これはちょっと安易な感じがしてしまいました。
どこまでも多い登場人物の魅力とその欠点
本作には、過去作からのキャラクターを含め、非常に多くのキャラクターが登場します。
それぞれのキャラクターに用意された豊富なイベントは、彼らの魅力を余すことなく描き出しており、特に過去作で脇役だったキャラクターたちが、本作では重要な役割を担い、成長した姿を見せてくれる点は大きな見どころです。彼らの存在感は物語全体に深みを与え、シリーズファンを十分に満足させるものとなっています。
しかし、その膨大なキャラクター数が、メインストーリーの展開に影響を与えている点も否めません。
大所帯での行動が多いため、個々のキャラクターの描写が薄くなりがちで、会話シーンでは、複数のキャラクターが少しずつ話すことが多くなります。その結果、メインストーリーにまとまりが欠け、全体的な構成に若干の粗さを感じさせる部分もありました。
・シナリオにおける不満点も目立つ
本作のシナリオにはいくつかの問題点が見受けられます。
まず、物語のスケールが大きすぎるため、全体的にまとまりを欠いている印象はあり、終盤にかけて目的やテーマが不明瞭になります。「帝国の呪い」といったキーワードが提示されるものの、その掘り下げが不十分で、安易な展開の連続となり、消化不良感を感じてしまいました。
また、一生ワンパターンな展開もさすがに問題だと感じます。
例えば強敵とのボス戦において、「俺に任せて先に行け」という展開が多発します。閃シリーズ4作品だけでも数十回はこの展開がありました。また、大規模な戦闘を描写している作品でありながらも、基本的に誰も死にませんし、主要キャラに限っては生き返ることもしばしば。物語が平和な雰囲気で進んでいくため、緊張感や危機感が乏しく感じられます。
さらに、専門用語が多用され、キャラクター数も多いため、物語の理解が難しくなっています。油断していると物語に置いていかれるということも少なくないでしょう。
ボイスについて
本作のボイス演出にはいくつかの問題点があると感じています。
本作では、メインストーリーの重要な部分はフルボイス化されていますが、その他のイベントシーンではボイスが省略されています。これ自体は問題がないものの、軌跡シリーズは物語やイベントに力を入れている作品群であり、メインストーリーだけでもフルボイス化が望ましいと言えるでしょう。すべてのイベントシーンにボイスをつける必要はないにしても、現状のボイスの少なさは、現代のゲームにおける標準的なクオリティに比べて劣っているように感じられます。
さらに、ボイスの使い方に不統一な点も問題です。
重要なシーンで断片的にボイスが挿入されていたり、会話シーンで一方のキャラクターにのみボイスが割り当てられていたりするなど、不自然な演出が目立ちます。ボイスの有無がシーンごとに大きく変動するため、統一性のない構成がプレイヤーの没入感を妨げる要因となっています。この中途半端なボイス仕様は、他のゲームにおいても異例であり、コスト削減のための安易な措置に思えます。より一貫性のあるボイス演出が望まれます。
戦闘システムについて
本作の戦闘システムは、前作『閃の軌跡III』をベースにしており、通常攻撃、クラフト、アーツを組み合わせたシリーズおなじみのコマンドバトルです。リソース管理と適切なポジショニングが勝敗を左右する特徴的なシステムは健在で、戦略的な戦闘を楽しめます。さらに、クォーツ強化システムなどの新要素も追加され、過去作からのキャラクターも多数使用可能となっており、シリーズファンには嬉しい要素です。
とはいえ、全体としてはいくつかの不満も残りました。以下でそのポイントを紹介します。
システムは前作と同じ、ダンジョンの使いまわしも目立つ
「閃の軌跡」シリーズ4作目となる本作は、基本的なゲーム性が前作からほとんど変化していません。
『II』と『III』の間では、グラフィックやシステムに大きな進化があり、同じゲーム性でも新鮮さを感じることができましたが、本作ではその新鮮さが薄れてしまっています。戦闘システム自体は面白く、戦略性も高いものの、攻略方法がどうしてもワンパターンになりがちな印象です。
また、キャラクターは前作と大きく変わらず、レベルも低い状態からスタートするため、進行中に単なる周回プレイをしているような感覚に陥ることもありました。フィールドマップも使い回しが多く、ゲームシステム全体に新鮮味が欠けており、ストーリー以外の部分ではシリーズのマンネリ化を感じざるを得ません。新作を短期間でリリースしたことによる弊害として、ゲームシステムの進化が不足している点が、本作の大きな欠点と言えるでしょう。
今までのシリーズより難易度が高く、カジュアルなプレイは難しい
本作はシリーズ恒例の高難易度に加え、今作ではさらに難易度が上昇しており、カジュアルに物語を進める楽しみ方はできなくなっています。
特に、EASYモードでもそれなりに難易度が高く、筆者のような社会人で時間のないプレイヤーにとって、テンポよく進められないのはかなりストレスでした。前述したように、戦闘システムにも新鮮さがなく、魅力を感じられないため、試行錯誤して攻略する意欲も湧かず、ストレスが溜まる一方ででした。
また、他にも煩雑な点は目立ちます。
本作は状態異常が強く、対策をしていないと一瞬でやられてしまうことも多くあります。そんな中で雑魚敵ですら頻繁に状態異常を付与してくるようになっていました。さすがに雑魚的に合わせて、対策アクセサリの付け替えを行う気にはならないため、ただただ面倒に感じてしまいました。また、イベント戦闘で敗北した際、直前にセーブポイントがなく、レベル上げができなかったり、複数チーム同時攻略時の育成の煩雑さなど、やり直しが効かない設計も大きな問題だと感じました。
最終的に、筆者は人生で初めて「Very Easy」にしてプレイしました。
戦闘システムの魅力が薄れ、物語を楽しむだけの体験になってしまいました。誰もが高難易度のバトルを求めているわけではないので、もう少し誰にでも楽しめる難易度を「Normal」として設定してほしいというのが本音でした。
その他雑記
本作からシリーズに触れるのはお勧めできない
毎回、お伝えしていることではありますが、
本作は、「閃の軌跡」シリーズの4作目にあたるため、シリーズ未経験者が本作から始めるのはお勧めできません。
前2作で描かれた登場人物や複雑な状況を理解していないと、本作の内容を十分に理解することが難しく、ただでさえ多いと複雑に絡み合うストーリーは、大きなハードルと思います。閃の軌跡シリーズを初めてプレイする場合は、「閃の軌跡I」から始めることを推奨します。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は『英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-』の評価・感想をお届けしました。
シリーズ4作目にして閃の軌跡シリーズ完結編である本作は、過去シリーズからのキャラクターも登場し、高い完成度を誇る作品になっており、イベントの作り込みは素晴らしく、その魅力は健在です。
一方で、戦闘システムはシリーズからの変更点が少ないため新鮮さに欠け、難易度の上昇により、カジュアルに物語を楽しむことが難しい点が、個人的な不満として残りました。
それでも本作の魅力は大きいため、シリーズファンはもちろん、気になる方はぜひプレイしてみてください。