こんにちは。ヤマザキです。
今回は『英雄伝説 閃の軌跡II:改』のクリアレビュー・評価になります。
この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
購入の参考にしてみてください。
なお、今回筆者はsteam版でプレイしていますのでその点ご了承ください。
- 『英雄伝説 閃の軌跡II:改』の購入を検討されている方
- 『英雄伝説 閃の軌跡II:改』の評価・感想が知りたい方
はじめに
『英雄伝説 閃の軌跡II:改』は、日本ファルコムより2014年9月25日発売されたPS Vita版『英雄伝説 閃の軌跡II』をベースに、ハイスピードモードや高解像度化といった様々な改善を加えた移植版です。衝撃的な結末を迎えた前作の直接的な続編であり、ファン待望の一作と言えるでしょう。
結論から言うと、相変わらず面白かったです…
テンポの良いストーリー展開、魅力的なキャラクターイベント、そして新要素によって進化した戦闘システムなど、プレイヤーを惹きつける要素が満載で、非常に遊びごたえのある作品に仕上がっています。前作から約1年後の発売ということもあり、ゲームシステム自体は大きな変化はありませんが、前作から続く壮大な物語とその緻密な作り込みは、プレイしたユーザーを圧倒するものになっています。
ただ、不満点もいくつかあり、今回、そういった点も含めて本作の魅力と課題について語っていきたいと思います。
『英雄伝説 閃の軌跡II:改』の魅力
その1: 圧倒的な物語の魅力
本作でも、物語の魅力は健在です。特に注目すべきポイントをいくつか紹介します。
衝撃的な前作の結末から始まる物語
前作は、ラスボスとの決戦後、主人公リィンがヴァリマール(騎神)と黒猫のような姿をした謎の存在・セリーヌと共にどこかへ飛ばされるという衝撃的なシーンで幕を閉じました。
本作は、その決戦から約1ヶ月後、辺境の雪山でリィンが目覚めるシーンから始まります。そこはリィンの故郷であるユミルに近い場所であることが判明し、リィンはセリーヌと共にユミルへと向かうことになります。前作のラストから繋がる緊迫感と、故郷への帰還という希望が織り交ざった、引き込まれるような導入となっており、目が離せない展開になっています。
仲間との再会
本作の物語序盤は、「仲間との再会」というテーマが大きな軸となっています。
前作のラストで離れ離れになってしまったリィンが、各地を冒険しながら仲間たちと再会を果たしていく過程が描かれます。それぞれの再会シーンは、感動的な演出と心温まる会話で彩られており、プレイヤーは仲間との絆の強さを改めて実感することできるものになっています。また、再会までの過程で描かれるそれぞれの成長した姿や、再会によって生まれる新たな関係性など、見どころ満載です。
内戦の行方とリィンたちの決断
そして、作中で描かれる帝国の不安定な情勢とリィンたちの決断にも注目です
前作の出来事を経て、物語開始時点では貴族派と革新派の内戦が激化しており、エレボニア帝国は不安定な情勢にあります。このような状況下で、リィンと仲間たちはどのような決断を下し、どのような結末を迎えるのか。彼らの選択と成長から目が離せません。内戦の行方はもちろんのこと、様々な立場の登場人物たちの思惑が交錯する複雑な人間ドラマも見どころです。
ボリュームもエンディングまで50時間程度の大ボリュームになっており、その点も心配ありません。
その2: 豊富なイベントと魅力的なキャラクターたち
「軌跡」シリーズを語る上で欠かせない要素の一つが、魅力的なキャラクターたちと豊富なイベントです。本作においても、その魅力は健在です。
圧倒的なイベント数と作り込み
本作では、登場キャラクターの増加に伴い、イベント数も膨大な量となっています。
戦闘に参加できるメインキャラクターだけでも非常に多いにもかかわらず、多くのイベントで行動を共にするメンバーを選択できるようになっています。驚くべきは、どのキャラクターを選んでも、物語の整合性を損なうことなく、自然なイベントが展開される点です。特定のキャラクター同士の組み合わせで発生する特別な掛け合いや、特定の条件下で発生するイベントなど、そのパターン数は膨大で、こだわりと作り込みの深さに感嘆させられます。
親密度イベント
特定の時期や特定のキャラクターとの親密度を深めることで発生する特別なイベントも用意されています。
これらのイベントでは、キャラクターの意外な一面や、よりパーソナルな物語に触れることができ、お気に入りのキャラクターへの愛着がさらに深まると思います。全てのキャラクターのイベントをコンプリートするために、セーブデータを活用して繰り返しプレイするのもおすすめです。
モブキャラクターの細やかな描写
メインキャラクターだけでなく、操作できないモブキャラクターたちの描写も非常に細かく作り込まれています。
前作に登場した学校関係者たちのその後なども確認することができ、彼らがそれぞれの場所で活動している様子が描かれています。また、モブキャラクターとの会話内容も状況に応じて変化するため、つい話しかけてみたくなる魅力があります。前作同様、モブキャラとの会話からも世界観の深みを感じ取ることができるでしょう。
もはやモブではありませんね・・・
その3: 新要素が加わって進化した戦闘システム
戦闘システムは基本的に前作を踏襲していますが、いくつかの新要素が追加され、より奥深い戦略性を実現しています。
オーバーライズ
本作で新たに追加された「オーバーライズ」は、戦術リンク中の仲間と協力して、戦闘を有利に進めるための強力なシステムです。
オーバーライズを発動すると、3ターンの間、連続での行動が可能になり、攻撃時に戦術リンク中の仲間による追撃が確定で発生します。また、CP(クラフトポイント)とEP(アーツポイント)の回復速度も上昇します。これらの効果により、敵に対して一気に畳み掛けることが可能になります。誰と戦術リンクを組むか、いつオーバーライズを発動するか、どの攻撃を選択するかなど、様々な要素を考慮する必要があるため、戦略性が高く奥深いシステムとなっています。
騎神戦
本作では、巨大な人型兵器である騎神ヴァリマールに搭乗して戦う「騎神戦」が、前作よりも多くの場面で登場します。前作では最終版のみでしたが、本作では序盤から騎神戦を体験することができ、通常戦闘とは異なるダイナミックなバトルを楽しむことができます。敵騎神との迫力ある戦闘は、本作の大きな魅力の一つと言えるでしょう。
スロットの強化クォーツによる装備の拡張
キャラクターの能力をカスタマイズできる「オーブメント」システムも進化しています。
クォーツにはレア度が設定され、種類も増加しました。また、クォーツの装備枠も強化できるようになり、どのキャラクターにどのクォーツを装備させるか、戦略性が増しています。戦術リンクとの組み合わせを考えることで、より奥深い戦闘を楽しむことができるでしょう。
プレイアブルキャラクターの増加
本作では、使用できるキャラクターが大幅に増加しています。
「まさかこのキャラも使えるとは!」と驚くようなキャラクターも操作可能になり、総勢19名もの個性豊かなキャラクターを戦闘で使用できるようになりました。キャラクターごとに固有のスキルや効果があり、さらに掛け合いも豊富に用意されているため、様々なパーティ編成を試す楽しみが増しています。
その4:その他の魅力
快適な移動システム
本作では、移動手段の充実により、広大なフィールドを快適に探索できるようになっています。
特に、バイクと馬をいつでも呼び出せるようになった点、そして飛行船でのファストトラベルが導入された点は大きなポイントでしょう。
前作では、特定のタイミングでしか訪れることができない場所が多く、探索範囲が制限されていましたが、本作ではこれらの移動手段によって、より自由に世界を旅することができるようになりました。無駄な移動が減り、そのあたりのシステムが改良されている点は好印象でした。
ハイスピードモードで快適に
本作には、シリーズでお馴染みのハイスピードモードが搭載されています。
この機能により、イベントシーンやフィールド上の移動などを高速で進行させることができ、原作のテンポの悪さを解消しています。古い作品でありながら現代のゲームに求められる快適なプレイテンポを実現しており、ストレスなくゲームを進めることができます。特に、移動時間や戦闘アニメーションを短縮できるため、テンポ良くゲームを進めたいプレイヤーにとって非常に便利な機能になっています。
気になるところ・不満点
本作には、全体的な完成度の高さにもかかわらず、いくつか気になる点や不満点も存在します。
前作から1年しか経っていないため、前作から引き継がれている問題点も散見されました。本作独自の課題も含め、以下に詳しく述べていきます。
その1:物語における不満
前述の通り、本作の物語は魅力的な要素を多く含んでいますが、いくつか気になる点がありました。
まず、唐突な展開が散見される点は気になりました。特に終盤の怒涛の展開は、ちょっと置いてきぼりになってしまった部分がありました。もう少し丁寧な説明や描写があれば…と思ってしまいます。また、登場人物と専門用語の多く、理解しづらい点が多いことも没入感をそいでしまった要因の一つかもしれません。本作の登場人物の多さやシリーズならではの魅力はすごく感じているものの、時折状況把握が難しい場面もありました。
そして、最も気になったのは…ネタバレ注意
その2:ピンチエンカウントについて
本作では、敵に背後を取られるとピンチエンカウントが発生します。
この時、敵に先制攻撃されるだけでなく、パーティメンバーが後方から選出されるという独自の仕様になっています。このアイデア自体は面白いものの、それなりに戦闘の難易度が高い本作においては、個人的には非常に煩わしいシステムに感じました。
物語の進行上、強制的にピンチエンカウントになるシーンがあるのですが、特にこの時はストレスを感じました。本作は多数のプレイアブルキャラクターが登場し、様々なパーティ編成を楽しめる点は魅力ですが、全てのキャラクターを育成するのは厳しいものがあります。そのため、ピンチエンカウントで育成不足のメンバーが強制的に戦闘に参加させられることが多く、ぼこぼこにされる展開は理不尽に感じてしまいました。
その3: Steam版におけるシステム面の不具合
筆者はSteam版でプレイしていたのですが、いくつかのシステム面の不具合に遭遇しました。
特に、ゲームをプレイ中にバックグラウンドで他のアプリケーションを実行していると、マウスの挙動がおかしくなったり、ゲーム全体が重くなる現象が複数回発生しました。これは筆者のプレイ環境に依存する問題である可能性もありますが、Steam版をプレイする際は注意をしておくと良いでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は『英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ:改』の評価・感想・レビューをお届けしました。
前作に引き続き、魅力的な物語、個性豊かなキャラクターたち、そして奥深い戦闘システムなど、本作ならではの魅力を存分に味わうことができました。特に、仲間との再会や内戦の行方といったストーリー展開、そして膨大な数のイベントと緻密なキャラクター描写は、プレイヤーを強く惹きつけるでしょう。新要素であるオーバーライズや、より多くの場面で登場する騎神戦も、戦闘に新たな戦略性と迫力を加えています。
JRPGファンにとっては、間違いなくプレイする価値のある作品になっており、50時間以上にも及ぶ大ボリュームの物語、個性豊かなキャラクターたちとの交流は、プレイヤーに忘れられない体験を提供してくれるはずです。
気になった方はぜひ購入を検討してみてはいかがでしょうか。