今回は『英雄伝説 閃の軌跡I:改』の魅力と、クリアまで遊んで気になったポイントをレビューします。
大きなネタバレは避けているので、軌跡シリーズをこれから始めたい方や、購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
✓ 重厚な世界観と長編ストーリーをじっくり楽しみたい
✓ 仲間だけでなく、街の住人まで丁寧に描かれるRPGが好き
✓ 戦略性のあるコマンドバトルや育成を楽しみたい
はじめに
『英雄伝説 閃の軌跡I:改』は、2013年に発売された『英雄伝説 閃の軌跡』に、高解像度化やハイスピードモードなどを追加した移植版です。主人公のリィン・シュバルツァーがトールズ士官学院へ入学し、特科クラス《VII組》の仲間たちとともに、エレボニア帝国各地でさまざまな出来事に巻き込まれていく学園RPGとなっています。
筆者にとっては、本作が軌跡シリーズ初プレイでした。シリーズ作品が非常に多いこともあり、遊ぶ前は「途中の作品から始めても大丈夫なのか?」という不安もあったのですが、実際にプレイしてみると、重厚な世界観と圧倒的なキャラクター描写にすっかり引き込まれてしまいました。
特に印象に残ったのは、メインキャラクターだけでなく、学院の生徒や街の住民にまで生活や人間関係が用意されていること。ストーリーだけを追うのではなく、エレボニア帝国というひとつの世界で人々が生活しているように感じられる作り込みは、本作ならではの大きな魅力だと思います。
一方で、元が2013年の作品ということもあり、難易度設定や一部UIなど、現在遊ぶと気になる部分もありました。ここから、本作の魅力と気になったポイントを詳しく紹介していきます。
基本情報
| 発売日 | 2018年3月8日(PS4版) |
|---|---|
| ジャンル | ストーリーRPG |
| 開発 / 発売 | 日本ファルコム |
| 対応ハード | PS4 / Nintendo Switch / Steam |
| 価格 | 4,378円(税込・Switch版) |
| クリア時間 | 約40時間(ハイスピードモード使用) |
『英雄伝説 閃の軌跡I:改』の魅力
その1:帝国全体へ広がっていく重厚な物語

何といっても本作の魅力は、先の展開が気になる重厚なストーリーです。
物語は主人公リィン・シュバルツァーがトールズ士官学院へ入学し、特科クラス《VII組》へ配属されるところから始まります。学院生活では授業や仲間との交流を楽しみながら、定期的に行われる「特別実習」でエレボニア帝国各地を訪れることになります。この特別実習が物語上かなり重要で、地域ごとに異なる文化や産業、人々の暮らし、さらには帝国が抱えている社会問題まで少しずつ見えてきます。最初は「学生たちの課外実習」に見える出来事が、やがて帝国全体を揺るがす大きな問題へとつながっていく。
プレイヤー自身もリィンたちと一緒に世界を知っていく構成になっているため、自然とエレボニア帝国への理解が深まっていくのが非常に良かったです。
不穏な情景と陰謀渦巻く展開の描き方

一見すると平和な学院生活が続きますが、その裏では貴族派と改革派の対立が徐々に激化していきます。
街を訪れるたびに少しずつ不穏な出来事が起こり、それまでバラバラに見えていた事件が徐々につながっていく展開は、かなり先が気になる作りになっていました。学生という立場のリィンたちが、帝国の政治や身分制度、争いに巻き込まれていくことで、それぞれの立場や価値観も見えてきます。
学園ものとしての青春と、帝国を巡る政治的な緊張感が同時に進んでいくところも、本作の物語の面白さだと思います。
シリーズものとしての魅力も

本作は「閃の軌跡」4部作の第1作目にあたります。
第1作ということで「物語の導入だけで終わるのでは?」と思うかもしれませんが、筆者の場合、ハイスピードモードを使用し、一部のサブイベントや戦闘を省略してもクリアまで約40時間かかりました。1本のRPGとして十分なボリュームがありながら、まだこの先に3作品も続きがある。
クリアした時点で、「この世界やキャラクターたちの続きをもっと見たい」と思えること自体が、シリーズ作品として大きな魅力だと感じました。
その2:圧倒されるほど丁寧なキャラクター描写

本作をプレイして特に驚いたのが、登場人物の多さと、その一人ひとりに対する作り込みです。《VII組》のメンバーだけでなく、その家族や教師、他クラスの生徒、各地で出会う人物、敵キャラクターなど、とにかく多くの人物が登場します。
しかし、単純に人数が多いだけではありません。それぞれに立場や人間関係、日常が用意されているため、キャラクターが「ストーリーを進めるためのNPC」ではなく、この世界で生活している人物として感じられるのがすごいところです。
モブキャラ一人一人にも個性がある

特に印象的だったのが、いわゆるモブキャラクターの作り込みです。
「町人A」のような汎用NPCではなく、一人ひとりに名前があり、物語の進行に合わせて会話内容も変化していきます。前に話したときとは別の悩みを抱えていたり、人間関係が進展していたりと、メインストーリーとは関係のないところでも小さな物語が進んでいる。
そのため、街を訪れるたびに「前に話した人は今どうしているんだろう」とNPCに話しかけたくなります。また、《VII組》メンバーの編成によってイベント中の台詞が変化するなど、細かな会話差分も非常に豊富です。
サブクエストでもキャラクターの人柄や背景が描かれるため、長い時間をかけて遊ぶほど登場人物への理解が深まっていきます。キャラクターを通して世界そのものに愛着を持たせる作り方は、軌跡シリーズの大きな魅力なのだと、本作がシリーズ初プレイだった筆者でも強く感じました。
その3:位置取りと育成が楽しい戦略性の高いバトル

戦闘システムは、オーソドックスなコマンドバトルをベースに、独自の要素が加わった奥深いシステムとなっています。
特徴的なのは、キャラクターの位置取りが戦闘に大きく影響する点です。同じ場所に複数のキャラクターがいると、範囲攻撃をまとめて受けてしまうなど、不利な状況に陥りやすくなります。一方、キャラクターを分散させることで、被ダメージを軽減したり、敵の攻撃範囲外から攻撃を仕掛けるといった戦略的な立ち回りも可能になります。
また、通常攻撃に加えて、EPを消費して使用する「アーツ」と、CPを消費して使用する「クラフト」を使い分けることも重要です。EPは主にアーツで消費し、CPは戦闘中の行動などによって蓄積されるリソースです。これらのリソースを管理し、状況に応じて適切な攻撃手段を選択する必要があるため、戦略性の高い戦闘を楽しむことができます。
また、特定キャラとの連携攻撃に当たるリンクアタックやCPをためることで発動できる必殺技(Sクラフト)
など、やれることは他にもたくさんあります。
戦術オーブメントによる戦闘の拡張性

また本作には、戦術オーブメントという要素が存在し、ここをカスタマイズしていくことで、詳細な育成が可能になっています。中でも、「クォーツ」は各キャラクターごとに8種類セットでき、それぞれが攻撃力強化、新たなアーツ獲得などの効果を持ちます。このオーブメントのカスタマイズはキャラクター強化の軸となる要素であり、様々な組み合わせを試すことができます。
クォーツは、マップ上の宝箱や特定の敵からのドロップなどで入手できます。そのため、探索や戦闘といったゲームプレイ自体が、キャラクター強化に繋がるという好循環が生まれています。多種多様なクォーツを組み合わせることで、キャラクターの育成や強化の自由度が高まっている点が素晴らしいと感じました。
その4:長編RPGを遊びやすくする丁寧なシステム

本作のシステム面は、元が2013年の作品であることを考えると非常に丁寧だと感じました。
いつでもメニューからセーブ/ロードが可能で、次の目的がクエストに明記されているなど、プレイヤーへの配慮が行き届いている印象です。 また、用語集で登場人物や専門用語などの詳細をいつでも確認できる点も、情報整理の面で優れていると感じました。
また、古い作品ならではのテンポの悪さはあるものの、「改」ではハイスピードモードが実装されており、テンポよく物語を進めていくことができます。
これほど充実したシステムは珍しく、高く評価できる点です。
ただ、セーブスロットが300個もあるのは少し過剰かもしれません…
気になったところ・注意点
原版は2013年に発売された作品のため、現在のゲームと比べると、操作性やUI、ゲームバランスなどに時代を感じさせる部分が見られるかもしれません。移植版とはいえ、いくつかの点には留意していただきたいです。
その1:ゲーム開始後に難易度を変更できない

本作はゲーム開始後に難易度設定の変更ができません。
開始時の選択が重要になっています。一応、戦闘に敗北すると、「敵の強さを少し下げてリトライ」という選択肢が現れますが、これは一時的な効果になり、次の戦闘では敵の強さが元に戻ります。
ゲーム全体の難易度としては、それなりに歯ごたえがあるといった印象で、ゲームに不慣れなプレイヤーには難しいと感じるかもしれません。筆者自身はちょうどいい難易度だと感じましたが、途中で難易度を変更できないため、ストーリーを中心に楽しみたい方にとっては少し不便に感じるかもしれません。
その2:戦闘終了後も戦闘不能が解除されない
また、気になるのが戦闘不能の扱いについてです。
本作では、戦闘終了後も戦闘不能状態が解除されません。戦闘不能になった仲間を復帰させるには、その都度アイテムやアーツを使用する必要があります。戦闘中の難易度そのものが上がる仕組みではなく、単純に戦闘後の手間が増えるため、個人的にはかなり面倒に感じました。毒など一部の状態異常は戦闘終了時に解除されるだけに、「なぜ戦闘不能だけ残るんだろう?」という疑問もあります。
細かな仕様ではありますが、長時間遊ぶRPGだからこそ気になった部分です。
その3:その他気になる点
また、いくつかシステムはちょっと気になるところです。
- リンクシステムの設定が頻繁にリセットされるのが煩わしい。
- ミニマップの表示範囲が狭く、全体像を把握しにくい。
- 通常マップとファストトラベルマップが分かれており、UIが直感的とはいえない。
- 物語は明確に続編へつながる終わり方のため、1作で完結する物語を期待すると注意が必要。
些細な点ですが、気になる人は気になるかもしれません。
軌跡シリーズ初心者が本作から始めても大丈夫?

結論から言うと、筆者は『閃の軌跡I:改』から始めても問題ないと感じました。
本作はエレボニア帝国と新たな主人公たちを中心に物語が始まるため、過去作を知らなくてもメインストーリーは十分理解できます。実際、筆者自身も本作が軌跡シリーズ初プレイでしたが、大きく置いていかれることなく物語を楽しむことができました。
一部、過去作品に関連する人物や用語は登場しますが、それが分からないことで本作のストーリーが理解できなくなるほどではありません。そのため、「軌跡シリーズに興味はあるけど作品数が多すぎて始められない」という方にとって、『閃の軌跡I:改』はひとつの入り口になると思います。
ただし、『閃の軌跡II』以降は本作の物語を直接引き継ぐため、閃シリーズを遊ぶならIから始めることを強くおすすめします。
まとめ

今回は『英雄伝説 閃の軌跡I:改』のクリアレビューをお届けしました。
本作をプレイして特に印象に残ったのは、エレボニア帝国という世界そのものを感じさせる圧倒的な作り込みと、そこに暮らすキャラクターたちの魅力です。《VII組》の仲間たちはもちろん、学院の生徒や街の住民にまで名前や人間関係が用意され、物語の進行に合わせて彼らの日常も変化していく。長編シリーズだからこそできる、時間をかけて世界や人物への愛着を積み重ねていくRPGの面白さを強く感じました。戦闘システムも育成の自由度が高く、「改」ではハイスピードモードによって古さを感じやすい部分もある程度補われています。
一方で、途中で難易度を変更できないことや一部UI、戦闘不能の扱いなど、現在遊ぶと気になる仕様もあります。それでも、重厚な世界観やキャラクターをじっくり楽しめるJRPGを探している方には、ぜひおすすめしたい作品です。
筆者自身、本作が初めての軌跡シリーズでしたが、クリア後には「この先も追いかけたい」と思えるほど夢中になりました。


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