こんにちは。ヤマザキです。
今回は『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~ DX』のクリアレビュー・評価になります。
この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
購入の参考にしてみてください。
- 『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~ DX』の購入を検討されている方
- 『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~ DX』の評価・感想が知りたい方
はじめに
「リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~ DX」は、コーエーテクモゲームスより2021年12月2日に発売されたRPGです。本作は、2017年に発売された「リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~」にDLCを全て収録した完全版に当たる作品です。
結論から言うと、本作は「ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~」(2015年)、「フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~」(2016年)に続く「不思議」シリーズ3作目、シリーズの集大成にふさわしい洗練されたシステムの魅力が際立つそんな作品となっています。
前作「フィリスのアトリエ」はオープンワールドを採用するなど意欲的な挑戦を見せていましたが、システムの粗さが目立ち、万人受けする作品とは言えませんでした。本作では、そんな前作の反省点を踏まえつつアトリエシリーズらしさを追求しており、素直に楽しめる作品に仕上がっています。
以下、本作の魅力について解説していきます。
『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~ DX』の魅力
その1:シリーズ独自の辞め時を失うゲームサイクルは健在
本作最大の魅力は、やはり調合を中心としたゲームシステムにあります。
プレイヤーは双子の主人公を操作し、国一番のアトリエを目指して錬金術師としての日々を過ごすことになります。メインストーリーで出される課題やアトリエの評判をあげるための「野望ノート」に記された様々な目標を達成するために、探索、調合、戦闘を繰り返し、時には装備やアイテムを見直しながら、進めていく体験はまさにアトリエシリーズならではの「辞め時を失うゲームサイクル」になっていました。
前作であがった課題も改善されている
また、本作は前作『フィリスのアトリエ』の挑戦的な要素をブラッシュアップしている点も高く評価できます。
『フィリスのアトリエ』では広大なオープンワールドが採用されましたが、移動時間が長くなり、レシピ発想の条件も厳しくなったことで、シリーズ伝統の調合の楽しさが希薄になってしまった印象でした。本作ではこれらの点が改善され、フィールドは『ソフィーのアトリエ』よりも広いものの、探索に適度な広さに調整されています。移動の負担が軽減されたことで、調合に集中できるようになりました。
さらに、レシピ発想の条件が緩和され、レシピ手帳を埋める楽しさが復活しました。いつでもアトリエで調合が可能になったことで、『ソフィーのアトリエ』のような調合中心のゲーム性を取り戻しています。調合システムについても、前作であった熟練度などの仕様はなくなり、分かりやすく触媒や素材を集めていくことで、強いアイテムを作成できるようになりました。
これらの改善により、本作は「これぞアトリエ」と言える仕上がりになっています。前作のプレイに戸惑いを感じた方にも、ぜひおすすめしたい作品です。
その2:双子の主人公を中心に家族の絆を描く暖かい物語
個人的に感銘を受けたのが、そのシナリオのテーマ性です。
双子の姉妹である主人公リディとスールは、亡き母との約束である「国一番のアトリエ」を目指して、父と共に奮闘する姿が描かれます。家族の温かさという部分が丁寧に描かれており、その絆には胸打たれる部分があると思います。また、子安武人さん演じる父ロディの個性的なキャラクターは良い味になっていて、すごく好きでした。
また本作は「不思議」シリーズ3作目ということもあり、過去作のキャラクターが多く登場するのも大きな魅力です。
久しぶりに再会するキャラクターや、彼らの成長した姿、そして前作をプレイした人なら思わずクスッと笑ってしまうような小ネタも散りばめられており、ファンにとっては嬉しい演出と言えるでしょう。特に、前作の主人公であるフィリス、ソフィーやその仲間のイルメニアたちの成長した姿には感慨深いものがありました。
その3:配置と組み合わせが重要になる戦闘システム
本作の戦闘システムについても触れておきましょう。
基本的にはオーソドックスなコマンドバトルを採用しており、一番の特徴は調合したアイテムを使用できる点にあります。強いアイテムを作れば作るほど、戦闘時にそれを実感できる、地道にコツコツ装備やアイテムを強化していくことになります。
また、シリーズ恒例ではあるものの、ボス戦は歯ごたえのある難易度設定になっています。強力なボスを倒すために、装備やアイテムを見直し、より強力なアイテムを求めて素材を集め、調合を繰り返す…この繰り返しこそがアトリエシリーズの醍醐味であり、時間を忘れてプレイしてしまう魅力と言えるでしょう。
そして戦闘面で本作独自の要素として、キャラクターの配置と連携が重要な要素になっている点が挙げられます。
前衛と後衛にそれぞれ3人を配置し、配置によってスキルが変化します。さらに、前衛と後衛を同じ列に配置することで、後衛のキャラクターが援護を行うスキルが発動します。また前衛に双子がいると、「サポートガード」が発動するなど、組み合わせによって様々な戦略を立てることができます。
例えば、スキル攻撃を得意とするキャラクターを前衛に配置する場合、後衛にはスキル攻撃に対する援護の能力を持つキャラクターを配置することで、より効果的な攻撃が可能になります。このように、キャラクターの配置と組み合わせを考慮する戦略性も、本作の戦闘における大きな魅力と言えるでしょう。
気になったところ・不満点
本作ですが、「気になったところや不満点はなかったのか?」というと、正直なところ、ほぼありませんでした。
今からプレイすると遊びづらい部分は多少あるものの、前作を踏まえてほとんど部分は改善されており、ブラッシュアップがしっかりなされた結果だと思っています。
移動周りはまだ気になる
強いて気になる点を挙げるなら、移動の不便さが挙げられます。
本作はエリアマップからダンジョンやロケーションを選択してファストトラベルを行うのですが、この際、スタート地点は固定されています。特に複数の小マップで構成されたダンジョンでは、目的のマップが奥にあればあるほど移動するのに時間がかかり、例えば、4つ目のマップに行きたい場合でも、1つ目のマップのスタート地点から移動しなければならないイメージです。また移動速度も速くはなく、シナリオ終盤では、マップの最奥とアトリエを何度も歩きで往復する場面があり、さすがに煩わしい印象を受けました。
とはいえ、この問題は前作「フィリスのアトリエ」でもっと致命的な問題だったので、それを踏まえると、前作からかなり改善されています。前作をプレイした方は、ほとんど気にならないかもしれません。
前作未プレイでも楽しめるか
結論から言うと、問題はなく楽しめるものの、できれば前作のプレイをオススメしたいです。
本作は「不思議」シリーズ3作目であり、「ソフィーのアトリエ」「フィリスのアトリエ」に続く作品になります。前2作の主人公が登場するなど、過去作をプレイしているとより楽しめる要素が多く含まれています。
しかし、本作は本作だけで独立した物語となっているため、過去作を知らなくてもプレイに支障はありません。
特にリディ&スールのビジュアルやあらすじにひかれたなどの理由であれば、本作から始めても全く問題はないと思います。
ただこれらの作品は、リリース時期が近くグラフィックやシステム面で大きな違いがないことや、どの作品も既に発売から時間が経っていることを考えると、シリーズ未経験の方はあえて本作から始めるメリットは少ないので、その点は注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~ DX』の評価・レビュー・感想をお届けしました。
これまでの作品での反省点を踏まえ、ブラッシュアップされた本作は、まさにシリーズの集大成と呼ぶにふさわしい出来栄えになっていました。個人的には大満足の内容で、特にリディとスール二人の姉妹を中心とした家族の温かさを丁寧に描くシナリオや作品全体を包む温かい雰囲気は本作ならではの魅力だと感じています。
ぜひ気になる方は遊んでみてはいかがでしょうか。
余談にはなるのですが、本作をプレイしたことで、筆者は『ソフィーのアトリエ2』を含め不思議シリーズの全作品を遊んだことになり、アトリエシリーズ全体で見れば、本作で4作目となりました。どの作品も非常に面白く、高いクオリティを維持しながらハイペースで新作をリリースし続けていることには驚きを感じますし、1人のファンとしては、遊び続けられる作品が多いのは嬉しい限りです。今後もマイペースにプレイを続けていきたいと思える、素晴らしいシリーズでした。