『東京サイコデミック』とは?
『東京サイコデミック』は2024年5月30日にグラビティゲームアライズより発売を控える新作ADV。
未知のウイルスの流行により壊滅的な被害を受けた東京を舞台に、プレイヤーが未解決事件に立ち向かっていくというものです。今回はその体験版のレビューをお届けします。
公式のジャンル名は「2D×シネマティック・リアル科学捜査シミュレーションゲーム」。
本作の特徴は2Dと実写を融合した独自の表現とリアルな捜査シミレーションの部分にあります。これらが既存ゲームにはない唯一無二のゲーム体験を生み出しており、そのポテンシャルの高さには驚かされました。
ただ、気になる部分もあり、発売前の購入の参考にしていただければ幸いです。
多くの謎を残し、先が気になる物語

本作は未知の感染症が流行し、世界が壊滅的な被害を受けた後の東京が舞台になっています。
感染症が落ち着いた中で、主人公は連続して起こる超常的な事件を追っているようです。

体験版でプレイできる最初の事件が「人体自然発火事件」。
会社員の遺体が燃やされた状態で見つかったが、見つかったのは「足の部分だけ」。周囲に燃えた痕跡もなければ、なぜ燃えたのかも不明。そんなまるで人体から自然と発火したように見える事件の捜査を行っていくことになります。
体験版では、一通りの捜査パートをプレイすることができますが、事件の謎は解明されないまま。
この不可解の謎とその後の話がどのうようにパンデミックに絡んでくるのか、先が気になりますね。
2Dと実写を融合した独自の表現とその魅力

一番に目につくのがその表現方法です。
ゲームが始まってすぐ、実写による簡易的なあらすじのムービーが始まったかと思うと、実写の背景を舞台に3DCGのキャラがいたり、2Dの絵が挟まったり、捜査資料として実写の動画が出て来たり、2Dと実写の融合が図られた作品でもあります。
一見すると、かなりめちゃくちゃなようにも思えますが、これが意外と違和感を感じないもので、すんなり受け入れられました。特に操作パートでは捜査シミレーションゲームとしてのリアルさが増しているように感じ、非常に興味深い体験でした。

キャラはこのように3Dの立ち絵で表現されます。
この「2D×3D×実写」という試みは癖こそあるものの、本作にしかない独自性と魅力があり、キャラがそこにいる臨場感が増しているように感じます。
作品全体の没入感という面でもこの試みはうまく作用していたと思います。
作りこみがすごく本格的な操作パート

そして操作パートですが、何といっても作りこみがすごいです。
通常のゲームにおける操作パートというのは、基本的に形式的なもので、ほとんど考える必要がないのですが、本作ではプレイヤー自身が考え、操作を進めていく体験を忠実に再現しています。
本作の流れとしては証拠となる情報を集めるところから始めるのですが、証拠の数が非常に多いです。ボードに張られた写真や資料はどれも隅々まで見ることができるうえ、実写の監視カメラ映像まであります。

また証拠となるファイルを開き、2つあるモニターに移し、拡大や動画の再生・早送りまでプレイヤーにやらせるのでここはちょっとびっくりしました。ここまで操作という体験を突き詰めていくゲームも少ないでしょうから、「本格的な捜査」を楽しみたい方は嬉しいかもしれません。

また捜査を進めていくうえで、仲間の力を借りることになります。
体験版では詳しくは明かされませんが、彼らは何かしらの秀でた力を持っており、捜査の強力をしてくれるようです。今後の物語にどう関わってくるのか期待ですね。
気になるところ
現状のままでは説明不足で、入りこめない印象も強いシナリオ

本作の非常に作りこまれた捜査パートや2Dと実写を融合した独自の表現の魅力は非常に大きいものだと思っています。しかしながら、シナリオ単体で見たときの説明不足感は否めません。
パンデミックの世界観に関しても序盤の実写の動画の説明にとどまっており、その後どうなったのか描写は薄いですし、せっかく魅力的なキャラたちも現時点ではほとんど深堀がなく、愛着がない状態です。
やはりアドベンチャーゲームとして先が気になって仕方のないシナリオの面白さは求めたいところです。
しかしながら本作の現状はパンデミック的な世界観や独特なビジュアル表現にポテンシャルこそ感じるものの、シナリオ単体で見るとどうしても影が薄いように感じます。
こちらは今後の展開次第ですし、本編では体験版ではなかったボイスが収録されるということなので、期待して待ちたいところです。
洗練性に欠けるシステム面は気になる

もう一つ気になったのがUIなどのシステム面についてです。
筆者はSteamでプレイしていたのですが、まず序盤の主人公の名前を打つところで異様にカーソルが動きませんでした。明らかにマウスで操作するための最適化がされていないようでした。結局、パッドでプレイしたのですが、発売までに治っていると良いですね。
また、「メニュー画面が開けない」「テキストの自動送り」がないなどの問題も気になります。
特に前者に関してはかなり致命的かもしれません。筆者はテキストを読んでいる最中にオプションをいじろうとしてこの問題に遭遇したのですが、どのボタンを押しても開きませんでした。これはバグなのか、そもそもメニュー画面が存在しないのか、はたまた割り振りが特殊なのか。いずれにせよ、こうしたシステム面の問題は少し心配です。
まとめ

いかがだったでしょうか。今回は『東京サイコデミック』の体験版レビューをお送りました。
クリアまで1時間というプレイ時間ではありましたが、「2D×実写」の独自の表現と「緻密に再現された捜査シミレーション」は大きなポテンシャルを感じました。ただ、問題点も多く、ポテンシャルを面白さに変化しきれていないところも印象も強いので、ここは発売までにどこまで詰めれるかというところだと思います。
物語としてもパンデミックな世界観の中で、どのような真実が明かされていくのか、期待しながら発売を待ちたいと思います。
捜査シミレーションに興味がある方であればオススメしたい作品になっていますので、気になる方はぜひご自身で体験版のほうプレイしてみてはいかがでしょうか。


