【ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期】クリアレビュー・評価|シリーズ最新作は賛否両論の問題作。プレイヤーはこの結末を受け入れられるか。

レビュー
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こんにちは。ヤマザキです。

今回は『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』のクリア後の評価・感想・レビューになります。
ダンガンロンパシリーズのゲームでは第3作品目にあたる本作ですが、一言でいえば大問題作です。
ここまで賛否両論という言葉が合う作品も珍しいように思います。

この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
気になる方は購入の参考にしてみてください。

※シナリオのネタバレはできる限りしないようにしていますが、気になる方は注意を

この記事はこんな人にオススメ!
  • ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』に興味がある人
  • ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』の評価が知りたい人
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『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』の基本情報

タイトルニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期
ジャンル推理アドベンチャーゲーム
発売日2017年1月12日
発売元スパイク・チュンソフト
クリア時間30時間ほど
採点60点
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はじめに

本作は2017年1月12日にスパイク・チュンソフトより発売された推理アドベンチャーゲームです。
ゲームではダンガンロンパシリーズのナンバリング3作目に当たる本作ですが、1作目・2作目とプレイしてきた筆者にとっても期待は大きいものでした。

結論から言って本作の評価は非常に難しいと感じています
良くも悪くもゲームとしてとんでもないことをやってのけた作品で、そこを評価する人もいれば、ファンとして受け入れられない人も数多くいたでしょう。
たった一つの要素を受け入れられるか」それだけで本作の評価は180度変わってしまうものでしたし、ここまでファンの中でも意見が分かれる作品は見たことがありません。

正直、ファンとしてみれば受け入れることはできないものでしたし、憤りを感じる部分もあります。しかし1つの創作物として見たとき、本作の挑戦は確実にこれまでにない驚きを与えてくれたものであり、一定の評価をされるべきであると思う気持ちもあります

本作の扱う特殊なテーマからどうしても客観的な評価というのは厳しいと思いますが、率直な意見を書いてみようと思います。

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評価点

その1:マンネリを感じさせない予想を裏切るシナリオ

シリーズ初の女主人公

まず一番に取り上げたいのはそのシナリオ部分です。
正直シリーズ3作目ともなるとどうしても似通ってしまう序盤の展開は作品の出来に関わらず退屈な部分もあります。しかしながら本作ではその退屈さを感じさせないための工夫がたくさん見られたと思います。今までシリーズプレイしてきたファンだからこそ騙される衝撃の展開がたくさんあり、序盤から引き込まれてしまいます。

また気になったのが事件のクオリティが高くなっていることです。
最後まで誰が犯人なのかを予想させない作り込みは推理ゲームとして圧倒的なクオリティの高さがありましたし、事件の真相が気になって夢中で読み進めてしまう面白さは本作でも健在でした。

その2:さらにパワーアップした学級裁判

学級裁判については基本的なベースこそ今までと変わりませんが、中身にはかなりの進化が見られ、面白さも上がっていた印象です。

パワーアップした要素や追加された要素の中からいくつか紹介しましょう。

●グラフィック・演出面における進化

進化した演出

まず一番に目につくのがこの部分、ベースとなるゲームシステムは変わらないとはいえ、前作から約5年の月日がたった本作では技術面の変化が見られました

個人的に好きだったのがその演出の部分で一人一人のキャラや一つ一つのシーンが目立つような工夫が加わっていました。小さな部分ではありますが、プレイヤーが体験する学級裁判の解像度が上がったような気がして良かったと感じました。

●3人が一斉に話し出す「パニック議論」

ここからは要素の説明に。

パニック議論は画面を3つに分け、3人が一斉に話し出すというもの。
今まで1画面で行われた議論が3画面で行われ、その中から論破していく必要があり、なかなか大変です。議論を飽きさせないスパイスとして役割ができていて個人的には良かったと感じました。

しかし、微妙な難易度の高さがあり、ここは微妙か…

●嘘を使って論破する? 「偽証」

名前の通り、嘘の証言を使って議論進めるというもの
Xボタンの長押しで、証拠が嘘のものに変わり、それを該当の発言にあてていくというものです。

これに関してはゲーム性としてみるとあまり機能はしていませんでした
正直、ノンストップ議論中で「これは偽証を使って論破するのだな!」と理解できた場面は一度もなく、会話の繰り返しの際の「ここは嘘を使ってでもなんとかしなきゃ…」のようなヒントが与えられて初めて理解できました。

そのため、ゲームの中の仕様として面白くしていたかというとそんなことはないのですが、本仕様は大いにシナリオに対する没入感をあげてくれたと思っています。

プレイヤー自身が嘘の証言をすることで、自らがシナリオに関わっている感覚を強くしてくれるため、これはこれで良いのかなと感じました。

●意見が真っ二つに!? 「議論スクラム」

個人的に一番好きな新要素はこれかもしれません。

議論が真っ二つに割れた際、二手に分かれた議論が展開されるという内容で、ゲーム性自体は発言を正しい順番に並び替えるというシンプルなものでした。

ただ、これがかなり面白いです。
二手に分かれた議論を体験できるというのがなかなか新鮮でしたし、何より演出が良いですね。

●車を運転しながら推理していく「ブレインドライブ」

前作でいうところの「ロジカルダイブ」。
前作ではスケボーに乗りながら行うアスレチックのようなイメージでしたが、本作ではドライブゲームになりました。

車を動かす操作性は前作よりも良くなっていた反面、前作以上に時間が掛かってしまい、テンポの悪さを感じてしまったのは少し残念なポイントでした

その3:やはり魅力的なキャラ達

ダンガンロンパシリーズは全ての作品で言っているような気がしますが、キャラは個性的で魅力です。本作でも一癖も二癖もあるキャラたちが登場し、彼らの掛け合いは非常に面白いです。

才能が分からない?

少しシナリオとも関わりますが、個人的に本作ではキャラの想いや関係性の変化、それを通じた人としての成長にかなりフォーカスが当てられていて、これまでのキャラ以上に人間らしさが表現されていたと感じました

こういったキャラの内面の丁寧な描き方はキャラに対する愛着を強くしてくれる大事な要素ですよね。

不満点・問題点

ここではあの問題については語りません。後述するページをご覧ください。

その1:ゲーム性における不満

こちらもシリーズ3作目ということもあって、かなり洗練されていたように思います。
だからこそ不満点も少ないのですが、いくつかあげてみましょう。

●難易度の高い音ゲー

シリーズ恒例の音ゲーですが、やっぱり好きになれないんですよね。
裁判のネタバレを含むため画像は載せません。

もうこの際、あること自体は良いのですが、難易度が高すぎる
前述したとおり、技術的な進化で音ゲーもプレイしやすくなっている反面、ゲーム性が複雑化し難易度が向上しています。

ストレスはそのままに技術的にパワーアップしたような印象で、推理アドベンチャーゲームで音ゲーの難易度の高さにこだわる意味はどこに?

●意図が理解できない難易度の高さ

他にもこういった無駄な難易度の高さは散見された印象です。

最終章の調査パートではなぜかマップが開けず、目的地までの道のりを覚えてないとかなり迷うえ、なぜか時間制限があり、よくわからないままゲームオーバーになることもありました。

他にも当たり判定がシビアすぎるスポットセレクトや単語で文章を並び替える議論スクラムに全く同じ単語が出てくるなど意図していない難易度の高さが散見されるのは気になるところです。

その2:システム面や技術面における調整不足

本作はよくゲーム自体が落ちます
筆者は30時間のプレイ時間の中で4回ほどありましたし、その他にもフリーズやロード時間の長さは気になるところです。

他にも裁判中ゲームオーバーになった際、再開ポイントがものすごく前だったり、特に意味がない場面でファストトラベルポイントが使えなかったり、システム面や技術面における調整不足目立っていた印象です。

あの要素について

ここまで読んでいただいた方なら分かるかもしれないないですが、本作が問題作と言われる由縁は別のところにあります。

本作はシナリオ上のとある一つの要素のせいでファンからも賛否両論が巻き起こる作品になってしまいました。
ここからは物語の重大なネタバレを含みますので、ご注意ください。

クリックで開く 

●何が本作をここまでの問題作にしたのか

本作を問題作にした要素というのは最終盤におけるメタ要素です。

より具体的に説明すると…
ここまでのコロシアイから生き残り、黒幕の正体を突き止めた主人公たちにとある明かされます。

正直、複雑な内容なのでここでは簡単にまとめてみます。
完全には自分も理解しきれていないので参考までに

①「ダンガンロンパV3」の世界では「ダンガンロンパ1・2」の世界はゲームのフィクション作品で、苗木誠たちは存在しない。
②「ダンガンロンパV3」は「ダンガンロンパシリーズ」の最新作で視聴者参加型ゲーム
③「ダンガンロンパV3」の世界もフィクションで真の黒幕はコロシアイを望む視聴者たちである

このことがこれまでプレイしてきたV3のキャラの口から明かされます。

●ファンだからこそ受け入れられない展開

事実だけだとなかなか想像ができないかもしれませんが、これはなかなかにえげつない

ゲームにおけるプレイヤーは一般的に主人公を操作しながら、その物語を体験していきます。
主人公を操作するという没入感があるからこそ、主人公に感情移入し、そのシナリオに感動するのだと思います。いわば自分自身がフィクション作品に入り込んでいるからこそ、生まれる感情があるんです。

そんな中で本作がやったことというのはその没入感を全て削ってしまうものでした
今まで見てきたキャラたちの物語をその世界のキャラたちによって全否定される、その体験は人によっては「今までのダンガンロンパ」すべてを否定されたような気持ちになるでしょう。

正直、筆者もその一人でその失望は大きかったです。

●全てを丸投げしたようにも見えるエンディング

本作のテーマは「

本作は最終的にどこが嘘でどこが真実だったのかそれすら分からない状態で幕を閉じます。
そもそも「この世界はフィクションだった」ということ自体も嘘で「ダンガンロンパ1・2」の出来事は実際に起きたことなのかもしれないし、そうでないのかもしれない。

そんな多くの謎を残した終わり方はまとまってこそいるもののどう評価したら良いのか分からないそんな感情を残しました。

しかしながらこの章までは今まで通りのコロシアイの中で、黒幕の正体や世界の真相に迫っていく物語を丁寧に描いていたわけですが、これを「すべてフィクションだから」と言って丸投げしてしまった点は否めません。

ここまで丁寧に描いていたコロシアイはなんだったのか。そう思ってしまいます。

●誰もが予想できなかった。見たことない結末への挑戦

正直、本作の終わり方は個人的にはファンとして受け入れられないものでだったかもしれません。
しかし、ゲームという創作物におけるシナリオにおいてはこれまでにない斬新さをもっているということも確かです。

誰もが予想しえない衝撃の結末を描いた作品であることは間違いないですし、今での作品にはない挑戦をした作品ともいえるでしょう。

ただ、シリーズのキャラたちに愛着を持っていた1人のファンとしては「その挑戦をダンガンロンパではやらないでほしかった」と思ってしまいます。

総評

いかがだったでしょうか。今回は『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』の評価・感想・レビューをお届けしました。

シリーズ3作目の本作の誰もが予想できない、プレイヤーの予想を裏切る展開の作り方には脱帽しますが、「プレイヤーの予想を裏切る」ことはできているもののあまりにも攻めすぎてしまったようにも思います。良い意味でも悪い意味でもこれまでのダンガンロンパをぶち壊した作品になりました。

正直、本作のレビューを投稿するかは非常に迷いました。
本作のある要素を受け入れられるかで、本作の評価は180度変わってしまうため、どうしても客観性に欠けると思っていたからです。

正直言うと筆者は本作の結末には否定派です。
これまでのシリーズが好きだったからこそ、全てを壊されてしまったような感覚は強いです。
本作の挑戦や作り込みのすごさは感じるもののさすがにすぐには受け入れられない部分も多いです。

最後に言っておきますが、クオリティは非常に高い作品です
しかしファンだからこそ本作に触れないほうが良い人もいると思うので、注意が必要です。

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