こんにちは。ヤマザキです。
今回は『ニーア レプリカント ver.1.22474487139...』のクリア後の評価・感想・レビューになります。
『ニーア オートマタ』の前作に当たる『ニーア レプリカント』のリメイク作品である本作は発売前からかなり話題になった作品でした。
筆者もかなり楽しみにしていた本作ですが、同じように期待していた人も多いのでは?
この記事では本作の良いところや気になったところなど率直なレビューをお届けします。
気になる方は購入の参考にしてみてください。
※シナリオのネタバレはできる限りしないようにしていますが、気になる方は注意を
- 『ニーア レプリカント ver.1.22474487139...』の購入を検討している人
- 『ニーア レプリカント ver.1.22474487139...』の評価・感想を知りたい人
『NieR Replicant ver.1.22474487139… 』とは?
タイトル | NieR Replicant ver.1.22474487139… |
ジャンル | アクションRPG |
発売日 | 2021年4月22日 |
発売元 | スクエア・エニックス |
クリア時間 | エンディングまで10時間ほど 全ルートクリアまで50~60時間ほど |
採点 | 73点 |
『ニーア レプリカント』のあらすじ
主人公は辺境の村に住む心優しい少年「ニーア」。
公式サイトより
不治の病「黒文病」にかかってしまった妹「ヨナ」を救うため、
人の言葉を話す謎の書物「白の書」とともに、
一握の希望である「封印されし言葉」を探す旅に出かけます。
はじめに
本作は2021年4月22日にスクエア・エニックスより発売されたアクションRPG。
まず知っていていただきたいのが本作は、2010年4月22日に発売された『ニーア レプリカント/ニーア ゲシュタルト』のバージョンアップ作品にあたるということ。
バージョンアップというのはリメイクというほど根本から作り直しているわけではないが、リマスターではないという意図があるようです。
とはいえ、ゲーム性は変わらないものの、操作性などはほとんどのものが一新されており、リメイクと考えて大丈夫だと思います。
また本作はニーアオートマタの世界が生成されるようになった始まりの物語とされており、絶大な人気を誇る『ニーアオートマタ』とつながりがある作品になっています。
それまで本作は『ニーア オートマタ』から興味を持っても、PS3でしかプレイできない作品ということもあり、なかなか手を出しにくい作品になっていました。
そんな中での今回のバージョンアップ版。待ち望んでいた人も多いのではないでしょうか。
実は筆者もその一人で本作が発表されたときはすごく驚きましたね。
そんな本作の評価を述べるのであれば、原作を着実に作り直したことで、10年前のゲームにもかかわらず違和感なくプレイできる反面、全く変わらないシステムには古臭さも感じてしまう作品と言えます。
唯一無二の世界観と物語の魅力は強いものの、周回のストレスは強く、今の作品にしては洗練性に欠ける部分は否めません。
リメイク作品の在り方としてこれはこれで良いと思える部分もありますが、どうなんでしょうね…
評価点
その1:はかなくも美しい世界観と目が離せない物語
やはり本作の一番の魅力はここにあるにあるでしょう。
『ニーア オートマタ』や『DODシリーズ』に代表されるヨコオタロウさんが作る独自の陰鬱な物語とそれを表した世界観はなんというか…とてもきれいなんです。
荒廃した世界を舞台に生きる主人公ニーアの物語は非常に面白いですし、美しいグラフィックで描
かれる世界やプレイ中に流れる BGM などは滅びゆく世界の情景をより深く感じさせてくれると思います。
ニーアオートマタにも共通するこのヨコオワールドは本当に素晴らしいと思います。
『ニーア オートマタ』のファンであれば、間違いなくお勧めできる作品になっています。
その2:ファン必見!?周回で変わる物語の見方
本作は周回が前提になっています。
というのも本作はその陰鬱な物語と終わり方には間違いなく人を引き付ける魅力があるのですが、それらをすべて体験するためには周回をする必要があります。
実際にバージョンアップ版で新たに追加された要素Eエンディングにいくまでに最低でも4周、エンディングをすべて観るためには5周する必要があります。
周回で変わるのはエンディングだけではなく、追加ムービーや詳しくは言えないのですが、物語の見方が変わるようなゲーム体験を味わうことができるようになっています。
『ニーア オートマタ』でもありましたよね。
こういった周回すればするほど魅力が伝わるようなゲーム構造というのは今時のゲームでは珍しいですし、そういった発想自体はかなり面白いと感じました。
その3:シンプルな操作でスタイリッシュなアクションによる爽快感
戦闘は剣・槍を使った通常攻撃と遠距離のシューティングが合わさったようなものになっていて、か
なりシンプルです。何より操作性も良く、シンプルな操作でスタイリッシュなアクションが行えます。
得られる爽快感は非常に大きくなっています。
本作の独自要素でいえば、「白の書」を使った魔法要素。
基本的には遠距離のものが多めで、自身のスタイルによって組み合わせていくことが可能です。
「ニーア オートマタ」のポッドのようなもので、近接戦闘と白の書を使ったシューティングを組み合わせて戦っていく体験は面白いものとなっていました。
レベルなど育成・強化要素はほとんどなく、主人公を育てる楽しみがないのが残念なところではありますが、シンプルなアクションゲームとして見れば、普通に楽しめるものであったでしょう。
その4:バージョンアップ版になったことで前作から進化した要素
一応PS3版との違いについても触れておきましょう。
本作はバージョンアップ版という名前でリメイクされた作品になりますが、大きな違いもいくつかそんな辞します。
グラフィック・アクション性の進化
一番大きいのは技術的な部分です。
本作はいわばPS3で出た原作を現代でも違和感ないグラフィックや操作性に作り直したものになります。正直10年以上前のPS3のゲームを今からプレイするのはそれなりハードルもあったはずですから、この決断は非常に良かったと思います。
グラフィックや操作性に関して言えば『ニーア オートマタ』に近いスタイリッシュなものになっていて、アクションゲーム好きであれば間違いなく楽しめるものになっているでしょう。
追加エピソード「人魚姫」の追加
原作では予算の追加でカットされてしまったエピソードである「人魚姫」が追加されています。
設定資料集に掲載され、ファンの間で人気のエピソードとは聞いていましたが、かなり印象に残るものになっていました。
本作の魅力を象徴するようなエピソードになっていて、個人的にお気に入りです。
Eエンドの追加
本作はエンディングが1つ追加されています。
エンディングとはいえ、追加ストーリーのようなものになっており、本編のDエンディング後のカイネの物語を描く内容になっています。
元は過去の設定資料集に掲載されていたものらしいですが、ファンとしてこの追加は嬉しいですよね。
ここまで来るのが大変ではありますが、ファンならプレイ必須の内容となっていてぜひ体験してみてください。
不満点・問題点
その1:要素が少ないこと
前述した物語・世界観と戦闘面に関しては楽しい要素ですが、他の遊びの要素はほとんどありませ
ん。
仲間キャラは基本的に操作できないので、操作キャラは実質的には主人公のみ。
戦闘に関してもレベル自体はあるものの、育成など主人公を強化していく要素が非常に薄いです。
物語が進んでいくにつれてやれることが多くなっていくわけではなく、基本的に変化はありません。
他に何か要素があるわけではないため、遊びが非常に簡素なものになっています。
よく言えばわかりやすいため世界観や物語に集中できるという点はあると思いますし、このゲームの特質上、決してそういう方向性が間違っているとは思いません。
しかしながら、悪く言えばやりこみ要素という楽しみが薄いとも言えます…
その2:ファストトラベルがない・ロードが長い
人によってはあまり気にならないことかもしれませんが、自分は気になりました。
全体的にシンプルな内容で、物語やクエストの中で何度も移動する必要があるにもかかわらず、フ
ァストトラベルができないかつ、こまめにロードを挟みます。
移動に関しては世界観感じれる部分でもありますし、良い部分もありますが、お使いの比率が多い
ので、どうしてもストレスに感じてしまいます。
その3:周回前提なのに周回することを考えていないゲーム性
このゲーム、先ほどもお伝えした通り、ストーリー上周回前提になっています。
1周目・2周目・3周目でそれぞれ少しのシーンが追加されるうえ、エンディングをすべてみるためには 5 周程度の周回が必要です。
周回といっても青年編の途中からなのでそこまで大変ではないのですが、個人的にはこの周回要
素が一番の問題点だと思います。
物語が周回によって変化するのも、エンディングが複数あるのもそれ自体は良いと思いますし、このゲームの魅力でもあります。
しかしながら本作のゲームデザインは、致命的に周回に向いていないように思えます。
それは前述した二つの問題点にあり、そのせいで周回が非常にきついと感じます。
まず周回前提にもかかわらず、ストーリーを楽しむ以外で周回する理由がないです。
1つ目の問題点、遊びが非常にシンプルでやり込み要素が薄いため、1周目と2周目で全く同じ体験をしている感覚が強く、ただ作業で周回している感じです。
また2つ目の問題点、ロード時間・ファストトラベルも周回している最中は特に苦痛でした。
1周目は世界観を味わえたり、悪い点が目立たない傾向にあります。
しかし、2周目・3周目以降はこのテンポの悪さに対するストレスが大きくなっていきます。
この通り、周回前提なのに周回することを想定してないゲームデザインになっているように見えます。
その4:キャラの顔のグラフィックの違和感
ここは人によるところが多いですが、どうでしょうか。
本作はPS3版からグラフィックが一新され、基本的にきれいになり、遊びやすくなっているのは間違いありません。
しかしながら個人的には顔が好きになれないんです。
原作も原作で癖が強いのですが、本作のキャラの顔はどれもなんというか薄く、魅力を感じない気がします。
あくまで主観強めですが、少し残念でした…
リメイクではなく、バージョンアップだから…
もう一つこの話をしておきましょう。
「本作はリメイクではなくバージョンアップ版」という話がありましたが、これは忠実リメイクした作品で余計な改変はしていないという意味が込められています。
近年のリメイク作品は原作に大きく手を加え、原作から見ると別ゲーになっている作品が多くあります。そういった背景を踏まえた発言だと思いますし、実際にゲームデザインは PS3時代のままになっています。
私がこのゲームの悪い点を「一概に変更すべき!」と言えないのはこの部分にあります。
端的に言えば、自分があげた欠点は PS3 版でもそのままなのです。
前述した通り、ゲームデザインは非常に簡素ですし、周回を考えられていないゲームデザインには正直イライラした部分もあります。
ただ、変えなかったことで元の PS3版が持つ魅力は十分に再現されているように思います。
ゲームの欠点は良い点と表裏一体になっている部分も多いと考えております。
育成要素を充実させたら他のところに変更が必要になり、そのことでさらに他のところが…というようにゲームの根幹が変わってしまうこともあるかもしれません。
だからこそ、変えなかったことに一定の理解もできるんです。
リメイク作品としての在り方を考えさせられるものになっていたかもしれませんね…
総評
いかがだったでしょうか。
今回は『NieR Replicant ver.1.22474487139…』の評価・感想・レビューをお届けしました。
本作は10年前に発売された原作のバージョンアップ作品ということで、ゲーム性は基本そのままにグラフィックや操作性を今のものに進化させた作品になっていました。
それらが進化したことで、古い作品ゆえの遊びにくさがなくなり、興味がある人が作品に入りやすくなっていました。また追加されたEエンディングと人魚姫は作品の魅力をこれまで以上にあげてくれました。
しかしながら、原作に忠実なあまり、魅力と一緒に問題点もそのまま持ってきてしまった節があり、正直現代の作品としてプレイするにはストレスもかなり大きい作品にもなってしまいました。
せめてファストトラベルなど問題点を解決する努力は見せてほしかったとも思います。
ストレス以上の魅力がある作品ではありますが、その点も踏まえて購入を検討してみてはいかがでしょうか。