こんにちは。ヤマザキです。
今回は『じんるいのみなさまへ』のクリア後の評価・感想・レビューになります。
本作はそのクオリティの低さと価格に見合わないボリューム面から残念ながら世間からの評価は非常に低い作品。発売からすぐに価格が大暴落し、様々なメディアでクソゲーと評される始末です。
そんな本作は「本当にクソゲーなのか」そんな疑問も踏まえつつ、
この記事では『じんるいのみなさまへ』の良いところ、気になったところをお伝えします。
気になった方は是非ご覧ください。
- 『じんるいのみなさまへ』の購入を検討している人
- 『じんるいのみなさまへ』の評価・感想が知りたい人
- 「本当にクソゲーだったのか」「どこが悪かったかなど」の疑問が知りたい人
『じんるいのみなさまへ』の概要
タイトル | じんるいのみなさまへ |
ジャンル | ガールズアドベンチャー |
発売日 | 2019年6月27日 |
発売元 | 日本一ソフトウェア |
クリア時間 | 8時間程度(エンディングまで) |
採点 | 28点 |
『じんるいのみなさまへ』のあらすじ
目が覚めると、そこは秋葉原にあるホテルの一室。
じんるいのみなさまへ公式サイトより引用
「そうだ、みんなで秋葉原へ観光に来ていたんだっけ。」
少し寝坊してしまったけど、これからみんなで街を探索して、おいしいものを食べて…、うんうん!考えるだけでワクワクする…!他のみんなも起きたことだし、さーて、アキバ!いざ秋葉原だ!
あれ…?秋葉原って、こんな感じだったっけ…?目の前に広がる“秋葉原”はなんだかとっても、荒廃した街。草木は自由に伸び、荒れ果て、人の気配なんて、全くしない。
街のみんなはどこへ行ったの? 秋葉原は、“こんな感じ” だった…?何が何だか分からないけど、とりあえずみんなとの旅行は、楽しもう!
『じんるいのみなさまへ』とは?
『じんるいのみなさまへ』は2019年6月27日に日本一ソフトより発売されたアドベンチャーゲームです。
荒廃した秋葉原を舞台に少女たちがサバイバル生活を営むという内容で公式のジャンルはガールズアドベンチャー。コンセプトの斬新さと先の読めない雰囲気から発売前はそれなりに期待をされていました。
しかし蓋を開けてみると、ゲームとしてのクオリティの低さと価格に合わないボリューム面で悪い意味で話題になってしまった作品でした。巷ではクソゲーとして有名になってしまっていましたよね。
そんな本作、今回筆者もプレイしてみたのですが、やっぱりクソゲーだったと言わざる負えない…
私自身クリエイターということもありますし、あまりクソゲーという言葉は使わないようにしています。結果的にユーザーが楽しめなかったゲームでも、作り込みなどに良い点はあるものが多いからです。
ですが、本作は残念ながらゲームとして破綻しているうえ、少なすぎるボリューム面も含めて「クソゲー」と呼ばれても仕方がないと感じてしまいました。
しかし、本作にしかない魅力もあることもお伝えしたい!
少女たちの「サバイバル×百合」をテーマにした本作はシナリオやその雰囲気において間違いなく魅力がありましたしポテンシャルは随所に見せていました。
こういったコンセプトで作られるゲームって少ないので、個人的にもかなり好きなのですが…
破綻してしまっているゲーム性
基本的に移動しかやることがない
本作はそもそも何をするゲームなのか…?
ジャンルとしてはガールズアドベンチャーで、廃墟となった秋葉原でサバイバルというコンセプトがありますが、シナリオを進めていく上ですることは基本的に移動のみになっています。
移動→シナリオ→移動→シナリオ→移動→シナリオ…
という構造がエンディングまで続きます。
※シナリオはノベルゲーのような立ち絵が基本の紙芝居で進むパート。
ゲームにおいて目的地まで移動するとシナリオが進むという構造はよくありますが、それは移動のほかにアクションや育成などゲームの下地となるコンセプトがある場合が多いです。
しかし、このゲームにおいては移動以外することはないのです。
加えてその移動もPS1時代の3Dのマップをゆっくりとした速度でしかできないうえ、目的地の場所がマップ上でさされないなどかなりストレスがたまるものになってしまっています。
一応、素材を集める探索要素もありますが、その素材で何の役に持たたないものを作れるだけです。
後述しますが、サバイバル要素をうまく組合すことができていません。
ゲームの企画段階のどういうルールで何をさせるかというのが成り立っていないです。
例えば、スローライフやサバイバル系のように自分で町を切り開いて自給自足していくようなゲーム性があれば、メインストーリーが移動でシナリオが進んでいく仕組みなどやり方はあったようにも思います。
低クオリティで描かれる秋葉原の移動はかなり退屈
移動だけを見ても問題は山済みです。
この作品は移動の際、3人称視点なんですが、その意味も感じることができませんでした。
そのような視点を採用するメリットとしては、プレイヤー視点に近い視点で探索することで、臨場感を上げるという部分があると思います。
しかしながら、臨場感を上げたところで、まるでPS1時代のようなグラフィックかつどこも代り映えしない風景の秋葉原のマップをゆっくりと歩き回らせられても面白さは感じられないでしょう。
マップとしての作りこみがすごければ、歩いているだけでも探索の楽しさが生まれるんですが…
そのうえ、移動の速度が単純に遅いです。
ゆっくりとしたスピードで目的地まで進んでいくので、なかなかに時間が掛かります。
シナリオを進めようにも時間稼ぎされている印象を受けてしまうんですよね。
任意のタイミングでセーブができなかったり、ここまで移動に重点をあてたゲームなのにミニマップがなかったり、細かい不親切さも気になるところ。
何をさせたいのか?成り立っていないサバイバル要素
本作は移動しかすることがないと書きましたが、厳密には他のことはやる意味がない状態です。
サバイバルとある通り、素材を集め、料理を作ることができます。
畑で作物を育てたり、魚釣り、罠を使って動物を捕まえることまでできるのですが、素材を集めて料理を食べる意味は特にないんです。
まず、このゲームサバイバルといいつつ、ご飯を食べなくても何も問題がありません。
そのため、効率化して素材を集めて料理をする意味もないんです。
このように基本的にサバイバルゲームとしては成り立っていないので、素材などはトロコンのためのコレクション要素に過ぎません。ちなみに、素材を集めるにしても、特定ポイントまで移動してボタンを押すだけなので、やることはずっと移動です。
他にも集めた素材で道具を作ることができますが、特にシナリオ以外では作る意味がありません。
また、本作には画像のようにキャラごとに個性と能力というパラメータが設定されています。
知識や体力といった項目があるぐらいだし、何かをするときに誰が向いているとかそういった要素があることを想像するかもしれません。
こちらに関してはプレイ中に一切関係がありません。
というのも特に主人公以外を操作する場面がありませんからこのパラメータが活きることもないです。
こういった「何かやらせたい遊びがあったのかな…」という要素がけっこうあります。
このように本作はゲーム性として何をやらせたかったのかが分からない状態です。
それぞれの要素が嚙み合っていないためサバイバルゲームとしての体裁を保てていません。
予算的に元々作りたかった原案企画から要素を削っていったら何も残らなかったのかな?と考えてしまいます。
キャラとシナリオ面
シナリオはサバイバルを丁寧に描きつつ、物語の核心に迫っていくもの
シナリオに関してはそれなりに面白いです。
基本的に廃墟となった秋葉原で少女たちが自給自足のサバイバル生活をしていきます。
サバイバルをゲームとしては落とし込めていませんでしたが、シナリオ面ではしっかり描けていました。少女たちが自給自足していくために何をするのか、ここは丁寧に描かれていました。
また、なぜ秋葉原が廃墟となってしまったのか、少女たちの正体、における疑問をうまくひきに使っていてこちらも良かったのではないでしょうか。
終盤に明かされる真相はなかなかに衝撃的で、かなり盛り上がりますよ!
魅力的なキャラたちによる掛け合いと百合要素
シナリオの引き立てていた要素としてキャラたちの魅力があります。
それぞれの性格や個性がしっかりと描けていたため、非常に魅力的に映りますし、そんな彼女らの掛け合いは観ていて楽しいです。
また、本格的なものではありませんが、百合要素もあり、キャラの関係性を見て楽しむのも良いかもしれません。
正直、少女たちのほのぼのとした日常を描くというコンセプト自体はすごく良いと思いますし、個人的にはかなり愛着がある作品でもあるんですよね。
ゲーム性を整理したうえで、シナリオとキャラの魅力、百合要素を伸ばしていければ、かなり良い作品になるように思います。
正直シナリオ面では文句の付け所がないだけにやはりもったいない印象を受けます。
ノベルゲーとしてなら楽しめるのか?
ただ残念ながらシナリオ単体でノベルゲーとしてなら楽しめるかというとそんなことはないように思います。
それはあくまで移動というゲーム性に合わせているためです。
そのため展開が遅いですし、ゲーム性の楽しさがない以上どうしても退屈な印象は受けますね…
その他雑記
このボリュームでフルプライス、価格に見合った価値はない
本作のクリア時間は8時間程度。
これだけでもかなり短いほうですが、そのうち4分の3は見どころのない秋葉原のマップを移動しているだけです。
どう見積もってもフルプライスに見合う価値はないと言わざる負えません。
本作を評価するうえでこのフルプライスという部分は非常に大きなマイナスポイントです。
私も発売日にフルプライスで買っていたらぶちギれていたかもしれません。
追い打ちをかける本編発売と同時配信の追加DLC
本作には本編の発売日に同時に配信された追加DLCがあります。
それは日本とロシア人のハーフのキャラクター「朱香CyxaЯ」が追加されるもので、価格は500円。
これは1周目をクリアすると、追加されるキャラで2周目の物語が変化するというものみたいです。
そこまで高くない価格とはいえ、「やりやがったな!?」と言いたい。
ここまで散々価格に見合った価値がないことを指摘してきましたが、これはちょっとひどいですよね。
2周目の物語に変化があることは嬉しいですが、なぜDLCにしたのでしょうか。
そりゃ、火に油を注ぐだけですよね…
DLCとは言わず、これくらいは最初から収録しておいてほしいですよね…
1000円~2000円程度。安く入手できる!
ここまで読んでいただいた方であればなんとなく察している方もいるかもしれませんが、低価格で入手可能です。中古であれば1000円台で入手できます。新品であってもそれほど高くはないでしょう。
ここまで荒れてしまいましたし、そもそものクオリティもお世辞にも高いとは言えませんから、当然と言えば当然かもしれませんが。
しかし、「ちょっと気になるけど、評判悪いしなぁ」と悩んでいる方はあまり深く考えず買ってみても良いかもしれませんよ。
正当続編!?『こちら、母なる星より』も発売中!
本作、続編があります!
ここまで悪い意味で話題になってしまった作品だからこそ、続編が作られるなんて…という気持ちはあったのですが、何はともあれ嬉しいですね。
個人的にコンセプトがすごく好きだったので、ちゃんと整理したうえで作り直してほしいと思っていたんです。筆者も購入済みです。クリアしたらまたレビューを挙げさせていただきますのでお楽しみに!
筆者のようにコンセプトなど気になる部分があった人はぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。
総評:クソゲーであることに変わりはないが、引き付ける魅力はある
いかがだったでしょうか。今回は『じんるいのみなさまへ』のクリア後レビュー・感想・評価をお届けしました。
本作はサバイバルゲームとしてゲーム性が破綻してしまっている点や価格に見合わない少なすぎるボリュームも含めて、悪い点を挙げればきりがなく決して1つの作品として評価できるものではありませんでした。
ただ、ある程度落ち着いたタイミングでプレイしてみると、「百合×サバイバル」というコンセプトで描かれるシナリオや作中の雰囲気には本作でしか味わえない魅力があったのも事実です。
決して万人にオススメできるわけではないですが、軽い気持ちでプレイしてみても良いかもしれませんね。